
1993年、デビューイヤーにいきなり世界GP250チャンピオンを獲得した原田哲也さん。虎視眈々とチャンスを狙い、ここぞという時に勝負を仕掛ける鋭い走りから「クールデビル」と呼ばれ、たびたび上位争いを繰り広げた。’02年に現役を引退し、今はツーリングやオフロードラン、ホビーレースなど幅広くバイクを楽しんでいる。そんな原田さんのWEBヤングマシン連載は、バイクやレースに関するあれこれを大いに語るWEBコラム。第153回は、2025年シーズンのMotoGP・ポイントランキング順にライダーを振り返ってみます。
Text: Go TAKAHASHI Photo: Michelin, Rob Gray(KTM)
2025年もあとわずか。月日が経つのは本当に早いですね! 僕も今年はいろいろとドタバタして、ここまであっという間でした。2025年最後の今回は、MotoGPのポイントランキングを遡りながら、今シーズンを振り返ってみます。
第1位 マルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)
マルクに始まり、マルクに終わったシーズン……と言おうとしましたが、最後の4戦は欠場してしまいました。それでも余裕のチャンピオン獲得ですから、もはや何も言うことはありません(笑)。僕もここまでダントツの戦いぶりになるとは思っていませんでした。
ライバルの一角になると期待されていたホルヘ・マルティンがアプリリアに移籍し、ケガによりシーズンを棒に振ってしまった影響も、多少はあるでしょう。でも正直、移籍1年目のマルティンがマルクを倒せるほどのパフォーマンスを出せたかと言えば、疑問です。
もうひとり、最大のライバルになるはずだったバニャイアが苦しんだことは、間違いなくマルクを楽にさせたと思いますが、バニャイアが本調子で走れたとしても、マルクの敵だったかと言えば、うーん、と唸ってしまいますね。
それほど強いマルク・マルケス。若手もどんどん台頭してきていますが、マルク自身のケガやモチベーションダウン以外では、まだ誰かがマルケスの脅威になるような気がしません。彼の一強時代はまだしばらく続きそうです。
第2位 アレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)
アレックスは今年ものすごく飛躍しましたね。Moto2チャンピオンにこんなことを言うのは失礼かもしれませんが、こんなに活躍するとは思っていませんでした。どうしても兄マルクの影に隠れがちだった分、MotoGPライダーとしては地味な存在でしたが、レース強さとコンスタントさでトップライダーだということを証明したシーズンでした。
兄マルクよりは石橋を叩いて渡る慎重派ですが、ここぞというところでは意地を見せる場面も。息の長いレーシングライダーになるかもしれません。
兄弟という点では、僕の弟もレーシングライダーでした。向こうは兄である僕に対してライバル心を持っていたかもしれませんが、僕は負ける気がしなかったのでまったく気にしていませんでした(笑)。
同じように、現時点で兄マルクは弟アレックスをライバルとは見ていないかもしれません。だからうまく行っているのかも。いつか兄と弟で速さが逆転した時、マルケスファミリーはどうなるか……。家族愛が強いスペイン人だから、問題はないかな(笑)。
第3位 マルコ・ベゼッキ(Aprilia Racing)
アプリリアはだいぶ速くなりましたが、まだまだムラがありますね。コースによっての好不調がハッキリしていました。トラブルがちょっと多めな印象も。終盤になって安定してきたのは、マシンの煮詰めが進んだことと、ベゼッキ自身が乗りこなせているようです。
メインスポンサーがないままでよくMotoGP参戦を続けているものだと感心しますし、決して潤沢ではない資金でランキング3位につけているのですから、技術力もかなりのもの。マルティンが復活すれば、ベゼッキとの「チームメイト同士の争い」が勃発し、さらに進化が加速すると思います。
第4位 ペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)
すっかりトップライダーの仲間入りをしたアコスタですが、意外にも今シーズンは勝利を挙げることができませんでした。ライディングを見ていると、’24年の方が調子は良かったようですね。’25年は、得意としているはずの絶妙なブレーキングで転倒するシーンが目立ちました。
彼自身が壁のようなものに突き当たっている気配を感じますが、今のMotoGPは非常に繊細ですからね……。ミシュランのフロントタイヤとの相性なのか、空力パーツ変更の影響なのか。ブレーキングがうまければうまいほど、ちょっとした変化が大きな作用を及ぼしているはずです。
5位以下と、2025年の個人的ニュースについては年明けに改めて。
(続く)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事([連載] 元世界GP王者・原田哲也のバイクトーク)
現行レギュレーションは最後になる2026年 2月27日に開幕を迎えたMotoGP2026シーズン。注目のトピックスはたくさんありますが、僕が注目しているのは1000ccエンジンとミシュランのワンメイク[…]
開幕戦タイGPを前に WRCで大活躍している勝田貴元選手と食事をしました。彼は’24年からモナコに住んでいるんですが、なかなか会う機会がなかったんです。実はMotoGPもかなり好きでチェックしていると[…]
マルケスですらマシン差をひっくり返せない時代 ヤマハが2026年型YZR-M1を発表しました。直線的なフロントウイングの形状など、ドゥカティ・デスモセディチにやや寄せてきた感がありますね(笑)。一方、[…]
第5位 フランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team) こんなところにバニャイア……。ちょっと信じられない結果ですね。とにかく激しい浮き沈みの波に翻弄された、’25年のバニャイア。[…]
1度しか獲れなかったチャンピオン、でも得たものは大きかった 前回の続きです。これは僕の失敗談ですが、’95年、オランダGPの予選でのこと。すでにいいタイムを出していた僕に対して、監督のウェイン・レイニ[…]
最新の関連記事(モトGP)
速いヤツの方を向くしかない タイGPで気になったのはドゥカティだ。いよいよマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)の影響が及んできたのか、内部的に若干意見が分かれ始めているような感じが[…]
アコスタの初勝利、ベゼッキの独走 行ってきました、2026MotoGP開幕戦タイGP! タイは昨年半ばからカンボジアとの間で国境紛争があり、ブリラムサーキットは市民の主要避難所として使用されていた。だ[…]
現行レギュレーションは最後になる2026年 2月27日に開幕を迎えたMotoGP2026シーズン。注目のトピックスはたくさんありますが、僕が注目しているのは1000ccエンジンとミシュランのワンメイク[…]
SHOEIが1名増、「X-Fifteen マルケス9」はまさにリアルレプリカ WSBK(スーパーバイク世界選手権)で3度頂点を極めたトプラック・ラズガットリオグル(プリマプラマックヤマハ)のMotoG[…]
開幕戦タイGPを前に WRCで大活躍している勝田貴元選手と食事をしました。彼は’24年からモナコに住んでいるんですが、なかなか会う機会がなかったんです。実はMotoGPもかなり好きでチェックしていると[…]
人気記事ランキング(全体)
新設計の4気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツ CB400スーパーフォア Eクラッチコンセプトと同時発表でフルカウルスポーツも登場だ! 大阪モーターサイクルショーで姿を現したのは、こちらもいちおう[…]
ティーザー公開からもう決まったようなものだったけど! ホンダが新型「CB400スーパーフォア Eクラッチ コンセプト」を大阪モーターサイクルショーで世界初公開した。その名の通り、いちおうコンセプトモデ[…]
今に続くネイキッドの名跡。CB400SFが登場! ゼファーのひとり勝ちと言えたネイキッドの流行は、大排気量クラスにも拡大。’90年にはゼファー750、’92年にゼファー1100をリリースし、その存在を[…]
キリンの人気キャラクター3人のレプリカモデルがいよいよ登場! 『ワイバーンØ』は、90年代に大人気となったモデルの復刻版だ。そしてSHOEI公式ホームページのワイバーンØの製品紹介ページでは、バイク乗[…]
ついにベーシック機も「AIの目」を手に入れた! これまで上位モデルの特権だったBSD(死角監視システム)が、この「EVO」にも搭載されたのが最大のトピックだ。 リアカメラが後方の接近車両をAIで自動検[…]
最新の投稿記事(全体)
空冷CB-Fの時代はわずか5年弱だった ホンダビッグバイクの復権を見事に果たしたCB-Fシリーズだが、実は空冷時代の歴史は1978暮~1983年までの5年弱、国内では1979~1982年までの4年間と[…]
本家ポルシェが935を走らせたと同時に公道仕様を完成 レースヒストリーは本が何冊も書けるほどの実績を誇るクレーマーレーシングですが、その実力にほれ込んだ顧客向けに、数々のチューンドポルシェも作り上げて[…]
まるでスポーツカーのような佇まい! 都会に溶け込むクールデザイン 一目見ただけで「お、格好いいな」と思わせるのが、このバイクの持つ力だ。ヤマハの誇るスポーツスクーター「MAXシリーズ」のDNAを継承し[…]
オイルタンクを左前に移動、フレーム・足まわりとラジアルタイヤで大幅刷新! 1985年にヤマハがリリースしたSRX400/600(SRX-4、SRX-6)は、ご存じトラディショナル単気筒の象徴となったS[…]
バイクに乗っているかどうかは関係ない。 新宿マルイ メン1Fに3月20日、『ハーレーダビッドソン STYLE 新宿』がグランドオープンした。従来のディーラーとは一線を画し、日常のコーディネートにハーレ[…]
- 1
- 2












































