バイクの根源的魅力“風になる”をEVでさらに昇華

ホンダの本格スポーツEVバイク「WM7」が遂に登場! 600㏄のパワーと1000㏄のトルクで新次元の走りに期待大!!

ホンダの本格スポーツEVバイク「WM7」が遂に登場! 600㏄のパワーと1000㏄のトルクで新次元の走りに期待大!!

ホンダはEICMA2025にて、初の電動モーターサイクル「WN7」を世界初公開。FUN領域の本格電動ネイキッドモデルとして、新たな一歩を踏み出した!


●文:伊藤康司(ヤングマシン編集部)

風のように静かで、1000㏄並みにトルクフル!

ホンダは昨年のEICMA2024で「EV Fun Concept」を出展したが、今回のEICMA2025では「WN7」を発表。基本スタイルは踏襲するものの、車名から“Concept(コンセプト)”の文字が外れ、ついに量産化。熊本製作所にて生産し、グローバル市場に供給するという。

WN7は開発コンセプトを「風になる(Be the Wind)」とし、ICE(内燃機関)では体験できなかった電動車ならではの静粛性により、街中の人々の会話や木々の葉のざわめきなどを走行中でもダイレクトに感じ、風のように自由に走る楽しみを得られる。

HONDA WN7[2026 EU model]

ちなみに車名のWは風(Wind)、Nはネイキッド、7は出力クラスを示しており、最高出力50kW(68ps)で600㏄相当のICE(内燃機関)に相当し、最大トルクは100Nmでこちらは1000㏄に匹敵する。

さらにWN7は「減速度セレクター」を装備。これは走行中にスロットルを戻した際のモーターによる電力回生、および回生ブレーキの強さをレベル0から強回生のレベル3まで4段階に選べる機能だ。ライディングモードのレインではレベル1、スタンダードとスポーツではレベル2、そしてEVならではのECON(ブレーキを使わずにスロットル操作のみで極低速までスピードをコントロールするモード)ではレベル3が基本設定だが、走行中に左ハンドルのスイッチで任意に減速度セレクターのレベルを切り替えることも可能だ。

また、押し引きの取り回しなどで便利な「ウォーキングスピードモード」も装備。左ハンドルのボタン操作で微速前進・微速後進でき、スロットル操作によって最速5km/hまで速度調整が可能な便利機能だ。

他にも走行スピード上限を任意に設定できる「セレクタブルスピードリミットアシスト」も装備。これは街中と郊外で制限速度が大きく変わり、取り締まりの厳しい欧州で要求される機能だが、もちろん日本でも活用できるだろう。

そしてEVバイクで気になる部分は充電時間と航続距離。WN7はCCS2(電気自動車急速充電機用コネクター)を使用すれば、バッテリー残量20%から80%まで約30分で“継ぎ足し充電”でき、約89㎞の追加走行が可能となる。また0%から100%のフル充電は、一般家庭用の普通充電Mode3で約2.4時間、Mode2なら約5.5時間で完了。そしてフル充電からの航続距離はWMTCモードで140㎞となる。

CCS2(電気自動車急速充電機用コネクター)を使用すれば、バッテリー残量20%から80%まで約30分で“継ぎ足し充電”できる。0%から100%のフル充電は、一般家庭用の普通充電Mode3で約2.4時間、Mode2なら約5.5時間で完了する。

ライダーがポケットに入れたまま起動できる「Hondaスマートキー」を装備。

WN7はEVバイクならではの近未来的なデザインが目を引くが、固定式リチウムイオンバッテリーのアルミ製バッテリーケースを骨格の一部とする“フレームレスシャシー”も大きな特徴。バッテリーケースの前端にフロントフォークのトリプルクランプ(三つ又)を支える「ヘッドパイプホルダー」を接合し、ケースの後ろ下部にスイングアームのピボットブラケット、そしてケースの後ろ上部にシートレールを締結する分割構造となる。とくにヘッドパイプホルダーのしなりやたわみを工夫することで、乗り味を作り込んだという。

このフレームレスシャシーを採用することで、大きくて重さのあるバッテリーを搭載しながらも、800㎜のシート高や左右35度のハンドル切れ角を持つスリムな車体を実現。ホイールベース1480㎜で車両重量を217㎏に抑えている。

現時点では発売時期や販売価格は未発表だが、すでに3色のカラーバリエーションや純正アクセサリーも発表されているので、もはや発売は秒読み段階かも。国内販売も大いに期待され、一日も早く走行体験したいものだ。

WN7用にリアシートバッグをはじめ、モード2 AC230V充電ケーブルやモード3 6kVA充電ケーブルを純正アクセサリーとして用意。この辺りも市販化の近さを予想させる。

HONDA WN7[2026 EU model]

主要諸元■全長2156 全幅826 全高1085 軸距1480 最低地上高139 シート高800(各mm) ■水冷モーター 定格出力18kW 最高出力50.0kW 最大トルク100Nm 電力消費率81Wh/km WMTC航続距離140km■ブレーキF=φ296mmダブルディスク+4ポットキャリパー R=φ256mmディスク+2ポットキャリパー タイヤサイズF=120/70R17 R=150/60R17 ●価格未発表 ※諸元は欧州発表値

HONDA WN7[2026 EU model]Graphite Black

HONDA WN7[2026 EU model]Graphite Black

HONDA WN7[2026 EU model]Graphite Black

HONDA WN7[2026 EU model]Graphite Black

HONDA WN7[2026 EU model]Pearl Deep Mud Grey

HONDA WN7[2026 EU model]Matte Pearl Morion Black

WN7 のディテール

ICE(内燃機関)のクランクケースの張り出しやマフラーが存在しないため、非常にスリムな前後ビュー。

ICE(内燃機関)のクランクケースの張り出しやマフラーが存在しないため、非常にスリムな前後ビュー。

フラットなハンドルにバーエンドミラーとすることで開放感のある開けた視界を提供するコクピット。

メーターは5インチのフルカラーTFT。平均電力消費量や航続可能距離、充電時間などEVバイク特有の情報も表示。専用アプリHonda RosdSyncによるスマホ連携機能も搭載。

SHOWA製φ43㎜倒立フォークにNISSIN製2POTキャリパー&φ296㎜ディスクを装備

ギヤチェンジ不要なので左ステップはペグのみとシンプル。

リアは片持ち式のプロアームにSHOWA製モノショック。リアブレーキは1POTキャリパー&φ256㎜ディスクを装備。

後輪はベルト駆動を採用し、車両コンセプトに沿った静粛性を追及。


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