MVアグスタ(MV AGUSTA ) F4【音速の貴公子】アイルトン・セナが愛した限定モデル!「セナ仕様」のプレミア価値

MVアグスタ(MV AGUSTA ) F4【音速の貴公子】アイルトン・セナが愛した限定モデル!「セナ仕様」のプレミア価値

音速の貴公子、アイルトン・セナがバイクも大好きだったことは有名なエピソード。バイクのディーラーを所有したり、古巣・ホンダではバイクのCMに登場するなど、逸話には事欠きません。そんな彼を見込んだバイクメーカーが「セナ仕様」を作ったのも当然の流れ。無論、今となっては手に入りにくい限定車ばかりですが、時にはオークションに出品されることもあるのです。


●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotheby’s

F1の英雄アイルトン・セナとドゥカティから続く熱い絆

セナとバイクのつながりが最初に報道されたのは、おそらく1990年のことでしょう。当時、ドゥカティのオーナーだったクラウディオ・カスティリオーニが851SPを寄贈。

セナがカジバのディーラーを所有していたことと無関係ではないでしょうが、ドゥカティとカジバにとって絶好の宣伝チャンスとなったのでした。

ちなみに、セナなき後もドゥカティとセナ一族の関係が続いていることはご承知の通り、つい先日もセナをイメージしたカナリヤイエローのモンスターが限定発売されています。

ここで紹介する2003年モデルのMVアグスタF4 750セナは、300台限定モデル。こちらのサンプルはわずか800kmという走行距離で、新車に等しいコンディション。

慈善団体への寄付を目的としたMVアグスタ「F4 750セナ」

さて、カスティリオーニ氏は後にMVアグスタを復活させる立役者となるのですが、その際にもセナとのコラボモデルをリリースしています。

最初は2002年、F4 750 セナと名付けられたカーボンブラックのマシン。セナの事故死を受けて設立されたブラジルの子供向け慈善団体、インスティトゥート・アイルトン・セナに収益の一部が寄付される仕組みとなっていたとのこと。

鬼才、マッシモ・タンブリーニによって作られた新生アグスタの1号機がF4 750。4気筒DOHC 749ccから126ps12600rpm、7.5kgm/10500rpmを絞り出し、なにからなにまで最高級の工芸品に等しいバイクと称されるもの。

300台の限定とされたセナ仕様は、カーボンブラックの外装にレッドのトレリスフレームが特徴で、エンジンもファインチューンが施された模様。その結果、最高速286km/hとなりストックモデルよりいくらか増したとされています。

300台中、198番のシリアルナンバーを持った出品車両は走行距離800kmほどの新車にほど近いコンディション。また、純正ボディカバーをはじめ、オーナーズマニュアル等も完璧に揃った由緒あるもの。

F4 750は発売当初、350万円ほどでしたが、落札価格は約600万円となり、セナ仕様らしいプレミアがついたといえるでしょう。

シリアルナンバーが刻まれたセナ限定プレートがトップブリッジに埋め込まれています。300台中198番というのが認識できます。

F4のアイコンともいえるのが、特徴的な4本出しマフラー。このエキゾーストノートに聞き惚れないライダーもいないはず。

ブラックのボディカラー、レッドのトレリスフレームとホイールはセナ仕様だけのもの。

車体のいたるところにセナのトレードマークが散りばめられ、所有する喜びを感じることができるはず。

豪華カスタムと限定色で登場した進化版「F4 1000セナ」の価値

そして、F4 750は2005年に998ccへと排気量が拡大され、F4 1000へと生まれ変わりました。F4 1000 AGO(もちろん、アゴスティーニのイニシャルです)が発売された後、2006年には再び寄付を目的としてセナ仕様車が限定発売されることに。

台数は750と同じく300台でしたが、こちらはセナモデルだけの仕様が散りばめられ、よりプレミアムな仕上がりとなっていました。

たとえば、窒化処理されたフロントのインナーフォーク(50mm径のマルゾッキ製)をはじめ、コンプレッション/リバウンドともに調整可能としたザックス製リヤダンパー、ブレンボ製「セリエ・オロ」モノブロックキャリパーなど、金に糸目をつけないカスタムはMVアグスタの高い商品性をより充実させたもの(一部はベースとなった1000Rと共通)。

また、メタリックシルバーとグロス仕上げのカーボンブラックはセナだけのカラーリングとされ、シルバーのマルケジーニ製ホイールとのマッチングも絶妙。セナの疾走を象徴したブランドロゴも750より大きくあしらわれるなど、セナのファンにとって胸躍るバイクに仕上がっているのではないでしょうか。

オークションで落札されたサンプルはアメリカ仕様とのことですが、反射板がいくつか足されている以外に本国仕様との違いは見当たりません。走行距離は4500kmほどをこなしており、その間のプリペアは北米の正規ディーラーが行っています。

この距離に引っぱられたのか、落札金額は3万2400ドル(約485万円)と一般的な中古F4 1000に比べれば高いものの、限定のセナ仕様としてはなかなかのバーゲンプライスといえるでしょう。

2006年には発売され、北米で2007年に登録されたF4 1000セナ。300台限定のうち、北米仕様は65台のみなので、より希少性が高いといえるでしょう。

アグスタお得意のアルカンタラを使ったシートはF4 1000シリーズ共通ながら、レッドの生地はセナ専用。リヤカウルにもセナのロゴが入ります。

F4 750はブラック一色でしたが、こちらはシルバーとブラックの2トーンとなり、セナのロゴマークも拡大。より存在感が高まっています。

F4 750の初期はショーワとニッシンでしたが、1000ではマルゾッキとブレンボへと変更。インナーチューブは窒化処理が施された高級品。

ザックス製リヤダンパーはバンプ/リバンプ調整式を装備。このあたりも750に比べて進化していることがわかります。

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