![4年という短い生涯が伝説を生んだ「待望のナナエフが大ヒット!」俺達の“F”烈伝[1979-1983]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2025/07/honda_cb750f_1979-1.jpg?v=1753807104)
CB750FOURが生んだ“ナナハン”の呼び名が国内バイク最高峰の敬称に。そしてCB750Fがその栄誉を復権! 兄貴分のCB900Fとの違いはシリンダーフィンの枚数のみ。その豪華な佇まいに誰もが憧れた!
●文:伊藤康司 ●写真:YM Archives
ナナハン復権の号砲! CB750Fは、わずか4年で劇的進化
CB900Fと同時進行で開発された750F。ところが1979年早々から欧州で900F、北米で750Fが発売されたにもかかわらず、なぜか日本ではオーソドックスなデザインのCB750Kを販売するのみ。
当時は自主規制の国内排気量上限により、900Fは望むべくもなかったが「日本にもFを!」の声は大いに高まった。そして海外より遅れること半年、1979年6月にCB750F(FZ)の国内販売が始まった。
すると発売1か月で1340台の登録台数を記録! 当時の免許制度(教習所では中型限定自動二輪免許までしか取得できず、大型バイクに乗るには運転試験場で限定解除試験を受けるしかなかった。合格率は地域によるが3~5%程度)の中で、驚くべき販売台数といえるだろう。
最先端の4気筒DOHC4バルブエンジンやインテグレート・ストリームラインのスタイルはもちろん、CB900Fとなんら遜色ない豪華装備や高品位な作りが人気を集めた。
その後もFA、FB、FCと型式を進めるごとにリファインを重ねる。ちなみにFCのブーメランコムスター(前後18インチ化)や、フロントフォークのTRAC(アンチノーズダイブ機構)などは、750Fでは国内仕様のみに奢られる装備だ。
生産期間はわずかに4年だが、その間に熱烈なファンを生み出した。
最新鋭装備で進化を続け、3年連続でトップセールスを記録したCB750F[国内仕様]
CB750Fz[1979年]すべてが斬新なスポーツバイクの革命機
排気量こそ当時の自主規制で750ccに収められたが、1気筒当たり4バルブのDOHCエンジンをはじめ、ジュラルミン製セパレートハンドルやトリプルディスク、斬新なスタイルなど欧州900Fと同一の数々の新鋭装備は、当時の国内ナナハンの常識を大きく覆した。当時としては低いハンドルや後退したステップによる前傾ポジションも新鮮だった。
CB750Fz ■空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 68ps/9000rpm 5.9kg-m/8000rpm ■車重228kg(乾) ■タイヤF=3.25H19 R=4.00H18 ●発売年月:1979年6月 ●新車当時価格:53万8000円
FZ発売当初のカラーはシルバーとブルーの2色だが、ほどなく限定車として欧州の900(FZ)と同系のレッドが追加。STD車のサイドカバーはステッカーだが、こちらは立体エンブレムで“BOL D’OR”の文字が入る。1981年にも限定車が発売されたため“ボルドール1”と呼ばれる。
CB750K[1978年]先行発売したベーシックなK
欧米では750Fと同時発売だが、国内ではFより半年前に発売。エンジンの諸元はFと共通だが、セッティングの違いで最高出力65ps。シャシーも基本的に共通だがフロントはシングルディスクでリヤはドラムブレーキ。4本マフラーや威風堂々としたスタイルはCB750FOURの血統だ。
CB750K ●発売年月:1978年12月 ●新車当時価格:49万8000円
CB750FA[1980年]FZベースで小変更し熟成を図る
カラーはシルバーとブルーの継続。スイングアームのピボットをナイロンブッシュからニードルローラーベアリングに変更して作動性を向上し、リヤブレーキのパッドの厚みを増して耐久性アップ。ヘッドライトをシールドビームからFZでオプション設定だった60/55Wのハロゲンを標準装備。欧州900FAは裏コムスターに変更したが、国内750FAは見送り。
CB750FA ■空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 68ps/9000rpm 5.9kg-m/8000rpm ■車重228kg(乾) ■タイヤF=3.25H19 R=4.00H18 ●発売年月:1980年6月 ●新車当時価格:54万8000円
CB750FB[1981年]70psにパワーアップし、40か所以上もリファイン!
吸気系の変更やマフラーの左右連結などで70psにアップ。裏コムスター+デュアルピストンキャリパー&スリット入りディスク+イコライザーパイプ付きのセミエアFフォークと足まわりを強化。ペダル類がジュラルミン製になり、Fフェンダーはフィン付きに、テールカウルに小物入れを装備。
CB750FB ■空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 70ps/9000rpm 6.0kg-m/7000rpm ■車重227kg(乾) ■タイヤF=3.25H19 R=4.00H18 ●発売年月:1981年4月 ●新車当時価格:59万5000円
CB750FC[1982年]足まわりをより強化した国内Fの集大成!
ブーメラン・コムスターに変更し、前後18インチでリム幅が前2.50/後3.00に広がり、タイヤも偏平に。Fフォークがφ39mmになりTRAC(アンチダイブ機構)を装備。Fディスクのデザインを変え、セミメタルパッドを装備。ステッププレートが肉抜きされ、エンジンはブラック塗装。
CB750FC ■空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 748cc 70ps/9000rpm 6.0kg-m/7500rpm ■車重231㎏(乾) ■タイヤF=100/90-18 R=130/80-18 ●発売年月:1982年6月 ●新車当時価格:64万円
CB750FBB[1981年]限定モデルと離れ業でカウル装備車を販売
1981年の鈴鹿8時間耐久レース優勝を記念して150台限定で発売。FBをベースに欧州900F2Bと同様の赤×白カラー(赤フレーム、金ホイール)を施し、サイドカバーに“BOL D’OR-2”のデカールを装着。また当時国内ではカウリングやオイルクーラーが非認可だったため、購入後に販売店が“後付け装着”する形でF2BB(下段)も販売された。
CB750F BOL D’OR-2 ●発売年月:1981年7月 ●新車当時価格:61万5000円
CB750F BOL D’OR-2[1981年](FBB)
CB750F2C[1982年]カウリング装備のインテグラ
国内でカウリングが認可されたのを機に正式デビューしたFCのカウル装備バージョン。カウル本体は基本的にF2BBと同形状だが、バックミラーの形状が異なりライトグラスは非装備。当時のホンダのカウル装備車の総称としてINTEGRA(インテグラ)のサブネームが付く。カウル内に電圧計と時計を標準装備。カラーは赤×白のみ。
CB750F2C ●発売年月:1982年8月 ●新車当時価格:75万円
CB750F[欧州仕様]
CB900Fと同時に開発したが、750Fがヨーロッパに正式に出荷されたのは約1年後から。全モデルがコンチタイプのパイプハンドルで、コストを抑えた作りが好評価を集めた。
CB750FA[1980年]1年遅れで欧州登場
エンジンやキャブレターは国内FAと共通だが79psを発揮。裏コムスターを履くが、ブレーキは1POT。
CB750FB[1981年]フィン付きFフェンダー
Fフォークがφ35→37mm(調整機構ナシ)に。ブレーキは1POTと国内FB同様の2POTが平行。フレームを強化。
CB750FC/F2C[1982年]カラバリが豊富!
裏コムスター&前19インチを継続するが、後リムを2.50に拡大。2POT標準化。カウリング装備のF2Cも登場。
CB750FD/F2D[1983年]欧州750最終モデル
基本的にFCのカラー変更だが、仕向け地によって肉抜きステッププレートや小物入れつきテールカウルを装備。※写真はF2D
CB750F[北米仕様]
北米仕様は最高出力75ps。立ち上がったパイプハンドルと前進したステップで、ライディングポジションはアップライト。毎年シャシーや足まわりを強化し、全米各地のレースで活躍!
CB750FZ[1979年]初代FはKベース?
北米750は最高出力75ps。リヤショックは減衰調整機構を持たず、三つ又もCB750Kと同様のタイプを装備する。
CB750FA[1980年]裏コムスターに変更
フレームの肉厚を増して剛性アップ。三つ又を変更してトレールを5mm短縮。リヤにFVQダンパーを装備。
CB750FB[1981年]ブレーキも強化!
Fフォークをφ35→37mmセミエアに変更(フォーク間隔も拡大)。リム幅を2.50に変更してタイヤ幅も拡大。
CB750FC[1982年]やっぱりスペンサー!
左右マフラー連結で低中速を強化。900Fと共通のスペンサー・カラーに統一。エンジンもブラック塗装に変更。
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