
1980年代を通じて過熱し続けたレーサーレプリカブーム。このスペック至上主義の時代には、わずか1馬力の差がマシンの命運を分けることもままあった。今回はGSX-Rの系譜を継ぐ4バルブの250ccモデル、スズキGSX-R250を取り上げる。※本記事はヤングマシン臨時増刊『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク323選』からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
スズキGSX-R250:過激さ控えめ“アールニーゴー”
1983年のGS250FWでクラス初の水冷DOHC4気筒を開発したスズキ。
しかし、4バルブエンジンの投入は遅れを取り、1987年のGSX-R250まで待たねばならなかった。
心臓部はボア49mm × ストローク33mmの超ショートスローク設定に、独自のTSCCヘッドを装備。
400の流れを汲む2眼フルカバードボディだけではなく、計10個のピストンを持つ「デカピストン」キャリパーなどの装備も兄貴分譲り。
4スト250レプリカ最軽量の138kgも実現した。
だが、4気筒に2連キャブなどのマイルドな特性と鉄製フレームにより、スポーツ性能ではライバルに一歩譲った。
1989では4連スリングショットキャブとアルミフレームをレプリカスタイルに包んだ250Rを追加。
スポーティーさを増し、豪快なパワーを楽しめた。
【1987 SUZUKI GSX-R250】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 248cc 45ps/14500rpm 2.5kg-m/10500rpm ■138kg ■タイヤサイズF=100/80-17 R=130/70-17 ●発売当時価格:51万9000円
スズキGSX-R250の系譜
1987 スズキGSX-R250
【1987 SUZUKI GSX-R250】待望のDOHC4バルブ水冷直4で登場。2万円安でハーフカウル版もあった。
1988 スズキGSX-R250
【1988 SUZUKI GSX-R250】ビルトインウィンカーや黒いメーター文字盤などを採用。1989で外装を変更した。
1989 スズキGSX-R250R
【1989 SUZUKI GSX-R250R】4連キャブと新設計エキゾーストパイプでパワフルに。アルミフレームやレプリカ風カウルも投入。
1988 スズキGSX-R250 SP / 1989 GSX-R250R SP
スズキGSX-R250の前史
1983 スズキGS250FW
【1983 SUZUKI GS250FW】250では世界初の水冷直4を搭載。4スト250最強の36psをマークした。
1985 スズキGF250
【1985 SUZUKI GF250】GSの後継機として、丸眼ネイキッドに新生。41psにパワーアップ。
ユニークな派生モデルもいろいろあった
1989 スズキCOBRA:王道カウルレス版
【1989 SUZUKI COBRA】 250Rベースの丸眼ネイキッドで、4in1マフラーを装備。ミッションは5~6速をローギヤード化し、アップハンドルも採用。公道での扱いやすさを追求した。主要諸元■水冷4スト並列4気筒 249cc 45ps/15000rpm 2.6kg-m/11500rpm ■139kg ●発売当時価格:53万9000円
1989 スズキBANDIT250 / 1991 BANDIT250LTD:R250R譲りの直4を搭載
【1989 SUZUKI BANDIT250/1991 BANDIT250LTD】コブラの後継機として登場。400並みの大柄なシャーシに250Rの強心臓と4in2in1マフラーを採用した。兄貴分と同様、ロケットカウルのリミテッドを追加。1995でフルチェンジし、VC仕様も登場した。
1989 スズキACROSS:まさかのメットイン
【1989 SUZUKI ACROSS】 R250をベースにフルカバードボディを与えたツアラーバージョン。通常の燃料タンクの部分を25Lのメットインスペースとした。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
スズキGSX-R400R:ダブルクレードルにフルモデルチェンジ GSX-Rは、1990年に3度目のフルチェンジを敢行。新設計エンジンに加え、φ33mmダウンドラフトキャブや倒立フォークまで備えた。 フ[…]
スズキGSX-R:斬新かつ孤高のネーム、走りもケタ違い 1983年は、世界耐久や鈴鹿8耐でスズキの耐久レーサーGS1000Rが旋風を巻き起こした。 その年の暮れ、晴海で開催された東京モーターショーに、[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
F1の英雄アイルトン・セナとドゥカティから続く熱い絆 セナとバイクのつながりが最初に報道されたのは、おそらく1990年のことでしょう。当時、ドゥカティのオーナーだったクラウディオ・カスティリオーニが8[…]
兄貴分とは一線を画す軽さと扱いやすさ ’72/’73年にZ1/2を世に送り出した直後から、カワサキは新時代の4ストモデルとして、コミューターの400RS、W1系の資質を受け継ぐZ750ツイン、Z1/2[…]
1300ccのX4エンジンで排気量アップ、冷却フィンがついて2本マフラーの出立ちに! 1992年、ホンダはCB1000 SUPER FOUR、別名「BIG-1」で水冷でノッペリしたシリンダー外観のビッ[…]
ENGINE:世界最速を目指してたどり着いた型式 ヤマハやスズキのような“専業メーカー”ではなかったけれど、’54年から2輪事業への参入を開始したカワサキは、基本的に2ストロークを得意とするメーカーだ[…]
初の2ストGPマシンNS500を応援するホンダファンは3気筒のエンジンのMVX250Fに目が釘づけ! 1979年、ホンダは世界GP復帰宣言で500ccの4ストロークV型4気筒(当初はオーバルピストン3[…]
人気記事ランキング(全体)
北米レブル300にEクラッチ仕様が登場 ホンダEクラッチが世界戦略進行中だ。欧州で人気のグローバル車・CBR650R/CB650Rを皮切りに、日本では軽二輪クラスのベストセラーであるレブル250に搭載[…]
乗ってみた! APトライク250 やっと乗るチャンスがやってきました。APトライク250を作った、株式会社カーターさんのご協力によるものです。ありがとうございます! 以前は同様にAPトライク125も体[…]
最新Z900/Z500らに共通する3眼LEDヘッドライトやファットバーを採用してデザイン刷新 カワサキは欧州で、2026年モデルとして新型車「Z650 S」を発表。つい最近、スタンダードの「Z650」[…]
世界初公開の2機種はいずれもモーターサイクル カワサキが発表したジャパンモビリティショー2025出展モデルで確定しているのは、日本初公開となる「Z1100 SE」、スーパーチャージドエンジンを搭載した[…]
新型CBは直4サウンドを響かせ復活へ! ティーザー画像から判明したTFTメーターとEクラッチ搭載の可能性 ホンダは中国がSNS『微博』にて、新たなネオクラシックネイキッドのティーザー画像を公開したのは[…]
最新の投稿記事(全体)
90年代の魂を注入! アールズギア×TSR「ネオクラシック・レベリオン」 CB1000Fコンセプトを大胆にカスタムした「Neo-Classic Rebellion CB1000F Concept Mo[…]
F1の英雄アイルトン・セナとドゥカティから続く熱い絆 セナとバイクのつながりが最初に報道されたのは、おそらく1990年のことでしょう。当時、ドゥカティのオーナーだったクラウディオ・カスティリオーニが8[…]
2023年ローンチのSmaChariシステムがさらに広がる! いつか自転車通学を楽にするものをつくりたい……。そんな想いでホンダの若手エンジニアが立ち上げた「SmaChari」は、自転車を電動アシスト[…]
防水・防寒性能も万全。オールシーズン対応のスタイリッシュパーカ:MOBLAST WP JACKET 街の景色に溶け込むことを意識した、スタイリッシュな防水パーカ。メイン生地に防水メンブレンとソフトシェ[…]
最新Z900/Z500らに共通する3眼LEDヘッドライトやファットバーを採用してデザイン刷新 カワサキは欧州で、2026年モデルとして新型車「Z650 S」を発表。つい最近、スタンダードの「Z650」[…]
- 1
- 2