
スプロケット交換のタイミングで悩んでませんか?理想は「摩耗したら交換」だけどお財布事情もあるし。かといってそのまま放置すると危険な状態になるかも・・・? チェーンとスプロケットの摩耗が「急加速するポイント」をチェックしてみたいと思います~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
「バイクのスプロケットの交換タイミングはいつなんだろう?」
これは、バイク仲間や先輩、バイク屋さんやバイク雑誌などでも昔からとずっと語られてきたことで、今ではインターネット検索すればいくらでも情報が出てきますよね。走行距離で考える場合もあるし、スプロケットの歯先が「手裏剣みたいにツンツンに尖ったら交換!」といった目安もあります。
でもこれはちょっと極端な例で、そこまで摩耗するほど放っておく人はそうそういないでしょう。そんな状態で走ろうものならチェーンのコマ飛びが発生したり、うるさいほどの異音が出たりとまともに走れたもんじゃないんですよね。
走れなくなるまで放っておかない。でもかといって、ちょっと減ったらすぐ交換ってわけにもいかない。リアルな実際問題として「いつ交換するか?」で悩んでいるユーザーも多いのではないでしょうか。
てことで、参考例のひとつとして筆者の判断基準をお伝えしてみようかと思います。あくまで個人的な意見ですので、そこはあしからず。
スプロケットが摩耗するメカニズム
まず、スプロケットが摩耗するメカニズムについて。これはスプロケットの「歯」とチェーンの「ローラー」が嚙み合うことによって削られていくといった具合です。
ドライブスプロケット(フロントスプロケット)はチェーンを回転させることで摩耗して、ドリブンスプロケット(リアスプロケット)はチェーンに回転させられることで摩耗していきます。摩耗する方向は逆になりますが、摩耗するメカニズムはほぼ同じ。
まずこれが、新品のスプロケット(↑)。当然のごとく摩耗はゼロで綺麗なもんです。
そして、ちょっと走ったスプロケット(↑)。歯の部分が光っていますが、まだ摩耗はほとんど見られません。スプロケットって、最初はなかなか減らないものなんですよね~。
そんでもってそこそこの距離を走ったスプロケット(↑)。どうでしょう、摩耗しているのがお分かりいただけたでしょうか?
ココです。ここが削れて摩耗しているのです。
「スプロケットが尖る」っていうと、もっとツンツンになるイメージなのですが、実際には片方がどんどん削られていくことになります。バイクの加速と減速があるので、向きは逆になるはずなのですが同じようにはならないのでしょうね。
スプロケとチェーンの摩耗は「加速」する
新旧重ねると違いは一目瞭然。
こうしてみると削られている量はちょっとだけのような気もするのですが・・・。チェーンと組み合わせるとこんなに違う。
スプロケットの歯と、チェーンのローラーとの間にここまで隙間ができてしまうのです。
この「隙間」が曲者。スプロケットとチェーンがぴったり噛み合っている時は、潤滑成分さえあればスムーズに回って摩耗も少ないのですが、ひとたび隙間ができてしまうとそうはいきません。加速するにしても減速するにしても、いちいちガタツキが出てしまうので、金属同士がぶつかり摩耗してしまうのです。
チェーン調整しても、チェーンオイル給油してもダメ。根本的な隙間は調整しようがないのですよ。
ガチャついて摩耗すると、さらに隙間が広がって、もっとガチャつくようになって・・・と、ここからはスプロケットとチェーンの摩耗が一気に悪化していく負のスパイラルに陥っていくのです。摩耗をグラフにすると二次曲線。2ストのパワー曲線のようにギュイーンと悪化してく、そんな感じです(経験談)。
スプロケットを交換するべきタイミング
で、肝心の「交換するタイミング」なのですが・・・このスプロケット。
実際に「もうダメだから交換!」って思った時のもので、スプロケットの歯先がとんでもない状態に。片方が摩耗して、まるで「お辞儀」するかのようになっちゃったのです。
ここまで摩耗するとチェーンとのガタツキは相当なもので、まさに「摩耗スパイラル」まっしぐら状態。もちろん、スプロケットがこんな状態でチェーンを新品交換なんてしてしまうと、チェーンの寿命を大幅に短くしてしまう可能性が高いです。
てことで、こうなる前にスプロケットは交換したいところですね! 筆者が目安としているのは、スプロケの歯が最初は台形だとすると、それが摩耗していって垂直な壁になったところ。オーバーハングする手前には、交換するようにしています。
スプロケットもチェーンも、ツーリングなどで距離を走った際に想定以上に摩耗することがあります。思ぬトラブルにあわないためにも、日ごろからチェックしておきたいところですね。この記事が皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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