
かつてバイク乗りたちのロマンをかき立てた「最速」の2文字。未知の速度域を手中に収めるため、新たな技術が次々に開発された1980年代。ここではZ1系の次なるフラッグシップ機に相当するカワサキGPz900Rを取り上げよう。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
Z1から11年を経た”新基準”【カワサキGPz900R】
カワサキが水冷6気筒のZ1300を発売したのは1979年だったが、この頃からすでにZ1系に代わる次世代フラッグシップが模索されていた。
Zに改良を加えて世代交代を進めてはいたが、それだけではいつかライバルに追いつかれることは明らかだったからだ。
直6、直4、V4、空冷、水冷…。さまざまなエンジンが検討されるが、カワサキが最後に選んだのはやはり直4だった。
排気量は原点に帰って900ccに決定。最速マシンに要求される出力を達成するには、4バルブと水冷が必然だった。
また、振動対策の1軸2次バランサーの採用でダウンチューブが不要となり、旧来のクレードルフレームから、後部メンバーにアルミ材を採用した鋼管ダイヤモンドフレームへの移行も果たした。
【1984 KAWASAKI GPz900R[A1]】■水冷4スト並列4気筒 DOHC4バルブ 908cc 115ps/9500rpm 8.7kh-m/8500rpm ■228kg ■タイヤF=120/80V16 R=130/80V18 ※輸出仕様車
愛称はニンジャ、最高速度はついに250km/hの領域へ
前輪は流行の16インチ、リヤサスは当然リンク式モノショック。空冷GPzのスタイリングをさらに進化させた鋭角フォルムのフルカウルを装着し、最高速度はついに250km/hの領域へ──。
ニンジャの愛称が与えられたGPz900Rは、その卓越した動力性能で発売と同時に大人気を呼ぶ。
マン島TTではプロダクションクラスで1-2フィニッシュを達成、その実力の高さを証明して見せた。円高の影響もあって日本にも相当数が上陸し、国内販売の750版とともに多くのニンジャフリークを生むに至った。
ニンジャの呼称は後継のGPz1000RXやZX-10に受け継がれたが、900Rの人気は衰えず、1991年からは国内仕様も投入。
最速の座を退いてもなお愛され続けた900ニンジャの最終型は2003年式。販売期間が20年に迫る長寿モデルとなったのだった。
水冷4バルブやサイドカムチェーン、1軸2次バランサーなどは今でこそ当たり前だが、それを20年以上前に実現していた。このエンジンは最終的にZZR1200まで進化していく。
最高速だけではなく、900ccクラスの車体を生かした軽快なスポーツ性もニンジャシリーズの魅力だった。
カワサキGPz900Rの”系譜”
【1984 KAWASAKI GPz900R[A1]】初期型は赤×ガンメタと青×銀の車体色を用意。最高出力はフルパワー115ps(欧州仕様)、110ps(北米仕様)、69ps(スイス仕様)と異なっていた。
【1985 KAWASAKI GPz900R[A2]】基本的にカラー変更のみだが、後期生産分ではシリンダーヘッド周辺を改良。映画に登場して話題になったのはこの年式だ。またこの年の南アフリカ仕様だけにライムグリーンも設定された。
【1988 KAWASAKI GPz900R[A5]】ホイールが赤と白の2タイプ、車体色は黒×灰と赤×銀、青×銀の計3タイプ。前輪のディスクプレートをGPZ1000RXと同型の、穴の数を増やした改良型に変更。
【1990 KAWASAKI GPz900R[A7]】フロントタイヤを16→17インチとし、フロントフォークはφ39→41mmへ。フロントブレーキキャリパーも4ポット化され、足まわりを強化。翌年のA8から国内900も登場した。
【1999 KAWASAKI GPz900R[A12]】6ポットキャリパーとラジアルタイヤを標準装備とし、リヤショックも改良。逆輸入車はA16まであったが、国内仕様はこのA12が最終となった。
カワサキ初の750専用
【1986 KAWASAKI GPX750R】軽量コンパクトな750専用設計車で、その実力には定評あり。試験車両も存在した。■水冷4スト並列4気筒 748cc 77ps 7.0kg-m ■車重195kg(乾)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
YZRやYZFワークスマイン直系のデルタボックスフやEXUP装備とコスト高おかまいなしのファイナルFZRだった! ヤマハの250cc4気筒は1985年4月のFZ250 PHAZERがルーツ。 250c[…]
ゼファーよりも早い登場だったが当初は人気で圧倒されていた 1990年代に日本でもっとも輝いていた400ccミドル級アメリカン(今ならクルーザーと呼ぶのが一般的かな)といえばホンダのスティード(STEE[…]
勝利しか認めぬホンダの本気。ワークス直系、Force V4。 世界初の水冷V型4気筒を搭載したマシンは、1982年に登場したホンダVF750マグナ/セイバーとなるが、400クラスでは同年12月発売のV[…]
水冷、フルチェンetc…第2世代も登場【ZRX/バンディット/ゼファーχ】 各メーカーの活発な新型リリースに対し、ゼファーでネイキッドブームの火付け役となったカワサキがまたも動き出した。’94年、もう[…]
和のテイストを煮詰めた神社仏閣デザイン ホンダ・ドリームといえば、今でこそディーラー名として知られてはいるものの、元をただせば1949年に発売されたホンダの大ヒットモデルです。「ドリーム=夢」と名付け[…]
人気記事ランキング(全体)
実は9000台程度しか生産されなかったレアモデル 実のところヨーロッパは、1966年から1975年の間に9000台程度が製造されたにすぎません(諸説あります)。ロータスの会社規模を顧みれば、それでも多[…]
クラシックなトリコロールが存在感を放つ! これまでにもタイのカブハウスではスターウォーズやドラゴンボールなどとコラボした限定エディションが多数登場しており、今回のFTRリミテッドエディションもその系譜[…]
本家ポルシェが935を走らせたと同時に公道仕様を完成 レースヒストリーは本が何冊も書けるほどの実績を誇るクレーマーレーシングですが、その実力にほれ込んだ顧客向けに、数々のチューンドポルシェも作り上げて[…]
まるでスポーツカーのような佇まい! 都会に溶け込むクールデザイン 一目見ただけで「お、格好いいな」と思わせるのが、このバイクの持つ力だ。ヤマハの誇るスポーツスクーター「MAXシリーズ」のDNAを継承し[…]
勝利しか認めぬホンダの本気。ワークス直系、Force V4。 世界初の水冷V型4気筒を搭載したマシンは、1982年に登場したホンダVF750マグナ/セイバーとなるが、400クラスでは同年12月発売のV[…]
最新の投稿記事(全体)
1.「裏ペタ」という不思議なカスタム SS系やストリートファイター系のカスタムバイクで、時折見かけることがある「裏ペタ」。要はナンバープレートを、リヤフェンダーの内側に貼り付けるカスタム(!?)のこと[…]
YZRやYZFワークスマイン直系のデルタボックスフやEXUP装備とコスト高おかまいなしのファイナルFZRだった! ヤマハの250cc4気筒は1985年4月のFZ250 PHAZERがルーツ。 250c[…]
モーターサイクルショーに展示されていたのはこの6台 2026年の大阪モーターサイクルショーに出展したモータリスト。ブース内に所狭しと並べられていたのはファンティックモデルを中心とした下記6台だった。そ[…]
ゼファーよりも早い登場だったが当初は人気で圧倒されていた 1990年代に日本でもっとも輝いていた400ccミドル級アメリカン(今ならクルーザーと呼ぶのが一般的かな)といえばホンダのスティード(STEE[…]
街頭犯罪を「XR」の機動力で制圧! 今回納入されたのは、2020年のデビュー以来、その全天候型の走破性と扱いやすさで定評のあるF 900 XRだ。 心臓部: 105psを発揮する894cc並列2気筒エ[…]
- 1
- 2













































