手に入れれば、生活のすべてが変わる可能性を秘めている。それがハーレーダビッドソンという乗り物だ。そんな暮らしを満喫中の個性派オーナーたちを、ハーレー専門誌『ウィズハーレー』が全国を渡り歩いてピックアップ。今回はFLTRXSに乗るTさんのハーレーライフを紹介しよう。
●文/写真:森下光紹 ●取材協力: HIRO’Sハーレーダビッドソン
やっぱりタンデム前提ならロードグライド!
Tさんご夫妻に初めてお会いしたのは、’20年の秋。ハーレーダビッドソン埼玉花園が主催するキャンプツーリングに参加されていたのだ。その時に乗られていたのはスポーツスターフォーティエイトだったが、大きな荷物を自作キャリヤに積み込んで、なおかつタンデム。その姿が実に微笑ましくて印象に残ったご夫婦だった。
「やっぱり乗り換えちゃいましたね。スポーツスターはスタイルが大好きでずいぶん乗ったけど、彼女のことを考えるとツーリングモデルを選ぶのはごく自然と言いますか…」
人気モデルであるフォーティーエイトの下取り価格が良かったことも後押しの材料となったと笑うTさん。奥様も、もし他の車種への変更だったら賛成しなかったと笑う。
思い出の多いフォーティエイト。ビクトリーカスタムペイントでピンストライプを入れてもらったり、ヘルメットもバイクに合わせてカスタムを施して、それは今も夫妻が愛用するアイテムである。
「最初は中古車でも良いと思って見に来たんですけどね。程度の良い中古車よりやっぱり新車の方が良いから、迷わずに決めちゃいました。ロードグライドにするという選択は2人で決めたことで、シッシーバーの取り付けは、もちろん彼女のリクエストです」
’20年のキャンプツーリング以降、夫婦でのキャンプは行けていないものの、道具は着々と揃えているという夫妻。バイクで出かける時はほとんどタンデムで、マスツーリングよりも1台で走ることが多いという。
「まぁ、美味しいもの巡りですよね。イベントに出かけて行くのも好きですよ。今はなかなか行けないですけど。キャンプはもちろんまたやってみたい。2人で楽しめることなら何でもいいよね」
Tさんは、いわゆる遅咲きのライダー。以前はアメ車が好きでローライダーと呼ばれるカテゴリーにハマったが、40歳を超えてからバイクに乗ってみようと免許を取得。友人と一緒に来店したヒロズ(埼玉県)で、ハーレーのスタイルに惚れ込み、フォーティエイトを注文してから免許の限定解除をしたと笑う。
「でもそんな人、多くないですか? やっぱりかっこいいですもんね、ハーレーって」
奥様はご自分でライディングしようとは思わないようで、タンデム専門だ。常にふたりで居ることが幸せということなのだろう。しかし、トライクには少し興味があるようでもあった。
初夏の爽やかな風の中を、軽快に走るタンデムのロードグライド。それは珠玉の幸せを生む最上級の選択だった。
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