2019-2020シーズンの世界耐久選手権がエストリル12時間耐久レースで最終戦を迎え、年間タイトルの可能性を残していたF.C.C. TSRホンダフランスは優勝したYARTからわずか25秒差の2位となった。年間タイトルはレースで4位に入ったSERTが獲得した。
新型CBR1000RR-Rの戦闘力を誰よりも早く高めたTSR
ポルトガルで開催されたエストリル12時間耐久レースは、2019-2020 FIM世界耐久選手権(EWC)の最終戦。今シーズンはコロナ禍から本来は最終戦となる予定だった鈴鹿8耐が中止になるなど波乱のスケジュールとなったが、2019年9月に行われた開幕戦ボルドール24時間から年末のセパン8耐、8月のルマン24時間(4月開催予定だったが延期された)、そして最終戦エストリル12時間耐久レースと、全4戦で年間タイトルが争われることになった。
2017-2018シーズン、日本国籍のチームとして初めて世界耐久選手権の王者となったF.C.C. TSR Honda Franceは、旧型CBR1000RRで2019年のレースを戦ったが開幕戦ボルドールで10位、第2戦セパンで13位と思ったような結果は残せず、その後のコロナ禍で今シーズンの開催数が減ったことからタイトル獲得も難しいかと思われたが、8月のルマン24時間で優勝(関連記事参照)。チャンピオンの望みを繋いで最終戦に臨んだ。
レースでは予選トップがYART(YAMAHA AUSTRIA RACING TEAM)、TSRは2位となり、ランキングトップのSERT(SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM)とのポイント差をわずかながら縮めて決勝レースへと臨むことに。
無観客開催となったことからスタート進行は超時短で行われ、ダミーグリッドについたらウォームアップ周回、そしてそのまま決勝レースがスタート。#5TSRは好スタートからトップ争いを展開し、#37BMWの転倒後は#7YARTとの一騎打ちとなった。ともに1分40秒台前半のペースで周回を重ねていくが、どちらのチームも逆転タイトルを獲得するには、勝利したうえでポイントリーダー#2SERTの結果を待つしかないという状況だ。
順位を入れ替えながら時間は経過していき、最後はたったの25秒差で#7YARTが1位(年間2位)、#5TSRは2位(年間3位)となった。3位にはポーランドのプライベートチーム、Wójcik Racing Teamが入り、年間4位を獲得。SERTは着実な走りで表彰台争いをしつつ4位となり、2016年以来16度目となるFIM EWCタイトルを獲得した。昨年のチャンピオンであったWEBIKE SRC KAWASAKI France TRICKSTARはレース6位、年間5位という結果に。
また、FIMスーパーストックワールドカップクラスでは、フランスのヤマハチーム、MotoAinがクラス優勝を果たし、2連覇を達成した。
F.C.C. TSR Honda Franceはコロナ禍のなかでマシン作りを開始し、2019-2020シーズン後半2戦では優勝と2位という結果を残したことになる。世界選手権で初にして現在唯一の優勝を新型CBR1000RR-Rで成し遂げたことは、来シーズンの戦闘力に大いに期待させる。来季がどのようなカレンダーになるのかは未発表だが、今から楽しみししておきたい。
F.C.C. TSR Honda France 藤井正和チーム総監督のコメント
「正直つらくて苦しいシーズンでした。この今の世の中の状況で、こういうことをやろう、成し遂げようと思うことそのものに、やはり少し無理があるのは端から分かってました。そんな中でもル・マンで優勝できたし、この12時間耐久も12時間走って25秒差。これはもう、胸を張ってみんなよくやったな、って言いたいですね。いい結果でした。来年に向けてしっかり仕込んで、強いチームを作りたい。そんな思いで一杯です。しっかりやります。ありがとうございました」
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