7月上旬に日本への導入が発表されて話題沸騰となったスペインのメーカー・レオンアート。水冷2気筒エンジンを搭載し、全長は2.3mを超える車種もあるという堂々たる車格が特徴だ。すでにナンバーを取得済みの現車に触ることができたので、さっそくお届けしたい。
遊び心あふれるディテールと、バイク好きも納得の程好いマニアックさ 重低音とどろく迫力の排気サウンド、ちょっとクセのあるライディングポジション、意外にも素直なハンドリング、そしてド迫力の体躯とトルクフル[…]
原付二種なのに実測ホイールベースは約1670mm、サウンドはビッグツイン並み
まずは映像でエンジン音をご確認いただきたい。ヘリテイジ125のほうは125ccの排気量なり、もしくは空冷ツインを搭載した旧レブル250のようなサウンドと言ってよく、どこか牧歌的でホッとするような雰囲気がある。ところがパイルダー125は、ノーマルマフラーでありながら太くハスキーな排気音になっていて、不思議とうるさくはないものの、音質はレース管を装着したビッグツインのよう。排気量でたとえるなら、800cc~1000ccくらいの雰囲気がある。これで原付二種のピンクナンバーが取り付けられているのだから笑ってしまいそうになる。
とはいえ、このピンクナンバーさえ目に入らなかったら、これらのバイクを125ccだとすぐに看破する人は少ないだろう。なにせ車格が驚くほど立派なのだ。
HERITAGE 125/PILDER 125 の取りまわし感とライディングポジション
まずヘリテイジ125から。見た目には400cc~750cc前後のロードスターといった出で立ちで、よく見るとフィニッシュの甘さなどもあるものの、前後キャストホイールにリザーバータンク付きリヤショックなど装備も立派。スペックシートにホイールベース(軸距)が記載されていなかったので実測してみたところ、約1520mmあった。この車格と装備で税抜き38万円(税込41万8000円)である。
スタンドを払って押し引きしてみると、そこは原付二種。125ccにしては少し重いかな……という程度で、不安はまったくない。またがってみると、筆者(身長183cm)では膝が曲がるほどの足着き。とはいえ窮屈さもない。身長166cmの女性スタッフの場合でも、両足のカカトがベッタリと接地する。ステップ位置はフォワード気味でハンドル位置も高く、上半身は直立した姿勢になる。すでに試乗済みのスタッフによれば、ハンドリングも自然とのことだった。
続いてパイルダー125だが、こちらはホイールベースが実測で約1670mmにもなる堂々の車格。全長は2390mmもあり、スタイリングの似たハーレーダビッドソン・ブレイクアウト(1868cc/軸距1695mm)にも数値的には引けをとらない。リヤタイヤはスズキのハヤブサと同じサイズの190/50R17を履いていることもあって、目の前に置いてあって1200ccと言われたら信じてしまいそうだ。ダブルディスクのフロントブレーキに倒立フォーク、片持ちスイングアームなど、装備も税込み59万4000円とは思えない。
押し引きはヘリテイジ125よりもやや重めだが、それでも250ccクラス程度。やはり不安は全くない。足着き性も良好で166cmで両足のカカトが設置する。ライディングポジションはやや独特で、ミッドコントロールのステップ位置に対して燃料タンクが長く、ハンドルバーは166cmだとやや遠く感じられ、183cmだと許容範囲といったところだ。ステップ位置がそれほど後退していないので、上半身を支えるのにそれほど苦労はしないと思う。試乗したスタッフによれば、ハンドリングにはやや癖があるが、ヘリテイジ125よりもかなりパワフルに感じられるとのこと。
今回の取材に協力してくれた金城IVY Racing(きんじょうアイビーレーシング)にはすでに上記2車が試乗車として配備されているので、気になる方はご自身で触って確かめてみてほしい。WEBヤングマシンとしても、追って試乗レポートをお届けする予定だ。
“密”を避けるために公共交通機関よりもバイク通勤を選ぶユーザーが増え、原付二種の販売台数が伸びている現在だが、実用性だけでなくちょっとした遊び心を求めたいライダーも少なくないだろう。入手しやすい価格帯も含め、面白い選択肢が増えたと思う。ただし、置き場所のスペースについては、通常の125ccの感覚では考えないほうがよさそうかも……。
取材協力:金城IVY Racing 埼玉県三郷市戸ヶ崎2100-3 TEL:048-956-2780
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