ファビオ・クアルタラロ大活躍の発端をつくった人物

【青木宣篤の上毛GP新聞】求められるのは“悪人”!? モトGP流チームマネジメント術とは

  • 2020/2/3

ヤングマシン本誌に連載中の「上毛GP新聞(じょうもうグランプリしんぶん)」より、2019年シーズンからモトGPクラスへの参戦権を獲得したSRT(セパンレーシングチーム)のチーム代表に注目した話題をお届けします。

抜け目ない交渉と、お金を動かすパワー

発端は2018シーズン始め、パドックで流れた「2019年にマークVDSがモトGPから撤退する」という噂だった。素早く反応したのが、モト2/モト3に参戦していたセパンレーシングチーム代表、マレーシア人のラズラン・ラザリだ。

ラザリはさっそくドルナCEOのカルメロ・エスペラータを捕まえ5分ほど立ち話をし、いち早く2019シーズンモトGPのチーム参戦枠を手にした、と言われている。

ラザリはそのレースの帰りの飛行機でヤマハのマネージングディレクターであるリン・ジャービスに接触。ヤマハYZR-M1の獲得も果たしてしまう。ラザリには、ペトロナスというマレーシア国営企業のバックボーンがあった。

こうしたラザリの動きを察知したのが、フランス人の敏腕マネージャー、エリック・マヘだ。ランディ・ド・プニエのマネージャーを務める彼は、そこから得た資金をフランス人若手ライダーの育成に投資する、情熱的な人物である。

ファビオ・クアルタラロの才能を見出していたマヘが、ラザリに積極的に売り込み、ペトロナスヤマハSRTへの参入が決定したのだった――。

才能がありながらも、チームに恵まれていなかったクアルタラロ。敏腕マネージャー、マヘの力もあってペトロナスヤマハSRT入りを果たし、一躍時の人に。タイミングもよかった。

映画のあらすじのようにドラマチックだが、これが2019年のクアルタラロの大躍進の舞台裏だ。

登場人物のラザリも、ジャービスも、そしてマヘも、お金を動かすパワーがある。

ライダーの能力だけでは済まない、交渉の世界。キレイごとばかりではなく、グレーや黒をかいくぐりながら、狙い通りのチームを作り、狙い通りのライダーを走らせる。日本にもこういう力のある人がいれば、モトGP勢力図も変わるかもしれないのだが……。

ペトロナスヤマハSRT代表のラザリはセパンサーキットのCEOを務め、ペトロナスとのつながりも深い。実力者と呼べるだろう。

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