第47回マシン・オブ・ザ・イヤー2019

後進も可能な「めざせ転ばないバイク」の最新版

モトロイドの研究成果を応用?! 繭型LMWのMW-VISIONはダブルウィッシュボーン型で未来を拓く

  • 2019/10/27

東京モーターショーでワールドプレミアとして公開されたヤマハの「MW-VISION」は、これまでとは異なる新型LMW技術をベースに、人とモビリティの新しい関わり方を提案したコンセプトモデル。そこには次世代にかけるヤマハの方向性の片鱗を見ることができた。

異なる方式のLMW登場を期待させるコンセプトモデル

MW-VISIONは、ヤマハが思い描く人とモビリティの新しい関わり方を提案する次世代パーソナルモビリティのコンセプトモデル。取り回しやすいコクーン(繭)状のコンパクトボディでライダーを取り囲み、これにLMWのリーン技術やリバース機能を融合。安心感や快適感にマプラスして、マシンと一体化してコーナリングするバイクの爽快感を与えるという、官能企業であるヤマハならではの新しい感動の創造を目指している。

そのLMW技術には、トリシティやNIKENに用いられているパラレログラムリンク式とは異なるダブルウィッシュボーンタイプのLMW機構を採用。これにより広いトレッド幅を確保することができるのが大きなメリットだと言う。さらに、このダブルウィッシュボーンのショックユニット下に内蔵された電動アクチュエーターにより、マシンが電子制御で車体本体を左右にリーン。通常のバイクでは、ライダーが体重移動によってマシンを傾けるのに対し、MW-VISIONではマシンの方が最適なバンク角へ傾けるというかたちになっている。つまり、バイクの経験がない操縦者でも、たちどころに爽快なコーナリング体験を得られるというわけだ。ダブルウィッシュボーン形式だが、一般的なリバースストライクとは異なって、フロントタイヤ自身もリーンするのでライダーに対するGのかかり方は、普通のバイクと一緒。2輪と同じ感覚の操縦感や楽しみが味わえるという。

さらにコクーン状のボディに限らずデザイン面でも随所にヤマハらしい提案を凝縮。「音と光による人とモビリティのインタラクティブ(相互作用)なコミュニケーション」をテーマに、音の面ではヤマハ株式会社の音響システムとViReal™デジタルサラウンド音響技術を活用し、光の面ではコクピット内部の側面に配されたLEDパネルが速度に応じて色を変えながら発光するといったギミックが用意されている。

また乗っている人間だけでなく、外から見ている人間にもMW-VISIONのいる風景やライフスタイルがすんなりと受け入れられるように工夫。コンパクトなスタイルに加え、ビル街など都市部だけでなく京都の町並みといった古風な場所でも溶け込めるよう、外装に和風テイストを感じさせる美しい螺鈿模様を取り入れるといった試みがなされている。

全体的に、次世代のモビリティライフにはLMW技術と高いデザイン性を軸に挑んでいくというヤマハの意気込みを感じさせるモデルとなっていた。

YAMAHA MW-VISION ディテール

YAMAHA MW-VISION

LMWにはダブルウィッシュボーンタイプを採用。一般4輪のダブルウィッシュボーンと違い、旋回時にホイールがリーンするのが特徴だ。この機構には、ノルウェーのBRUDELI社から’17年にヤマハが買い取った特許技術が応用されていると目されるが、ショー会場にいた開発者はそのことをあまり意識してはいなかった。ちなみに今回のMW-VISIONは人に優しいコミューターといったスタイルだが、BRUDELI社が過去に製作したプロトタイプはダートバギーのような3輪モデル。このダブルウィッシュボーン型LMWは、スポーツモデルにも、さらには4輪にも応用できる可能性に満ち溢れた技術と言えよう。

YAMAHA MW-VISION

車体をリーンさせる要となる電子制御アクチュエーターは、ダブルウィッシュボーンのショック下の部分に内蔵。予想よりも小型なのが印象的。制御的には「倒れないバイク」として前回の東京モーターショーを沸かせた同社のMOTOROiDとは違うものとなるが、同車の開発などで培われた研究成果や基礎理論といったものが応用されていると言う。

YAMAHA MW-VISION

動力面は、エコで人に優しい次世代型モビリティにふさわしく、エンジンで発生した電力を元にモーターで駆動することを想定している。リバース機能も搭載し、コンパクトなボディと合わせて取り回しのしやすいモデルを提案している。

YAMAHA MW-VISION

コクーン(繭)状ボディで操縦者を覆うことで、バイクを知らない人に安心感を与えることを考えている。これはMOTOROiDで腰まわりをそっとサポートしてくれる部分を彷彿とさせるだろうか。また、内部はヤマハ製の音響システムやLEDを用いた光による演出で、快適空間を創造している。なお、スマホを接続してそのままメーター代わりにするといった近未来のシームレスな使われ方を想定して、あえて車体側にメーターは付けなかったという。

YAMAHA MW-VISION

将来の市販車に応用されるかもしれないアイデアのひとつが、スイッチボックスの処理。デザイナーが、昨今のバイクは電子制御機能の充実とともにスイッチボックス部がどんどん複雑&肥大化に着目。もっとスッキリさせることができないかと、ふと自分の愛車を見てナックルガードを利用できないかと思いついたのがこれ。ここをバー状にして優先度の低いスイッチ類をいくつか移動させることで、既存のスイッチボックス部をスマートにまとめるというアイデアだ。

YAMAHA MW-VISION

ヘッドライトは3連LEDで、左右にマウント。どちらかというと4輪チックな趣のデザインだ。

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