今年の東京モーターショーの4輪ブースでは、各メーカーがEV車のコンセプトモデルおよび市販予定車を精力的に発表。EV時代の本格到来をうかがわせたのがひとつの特徴だった。2輪ブースでもホンダがBENLY e:、GYRO e:を発表。そして、ヤマハも、EVの免許区分に合わせたコンセプトモデルのコミューター2台を発表した。
都市型コミューターの2台を提案
ヤマハと言えば、これまでパッソルEやE-ビーノなどを製品化し、国内メーカーとしては市販2輪EVを牽引してきた存在だ。そんなヤマハが今回発表したのはE01、E02という2台のコンセプトモデル。E01は急速充電にも対応した125cc相当の出力を持つ都市型コミューターで、E02は着脱式バッテリーにより手軽に使える50cc相当のモデルとなっている。
EVを取り巻く最新環境では、この冬に車両区分を細分化し、定格出力20kW以上を超えるマシンは大型自動二輪免許が必要となる法改正準備が進んでいるなど、一気に動き出している。そんななか、現在の電動自動二輪車は原付二種(125cc以下)が定格出力1kW以下、原付一種(50cc以下)が定格出力0.6kW以下ということになっている。E01、E02はそうした車両区分に合致した具体的な使われ方を想像させるモデルとなっている。
125ccクラス相当で急速充電対応のE01
都市間を快適に移動する余裕を持った、急速充電にも対応する都市型コミューター。スクーター技術とEV技術を融合し、日常ユースでの実用性を従来のスクーターを上回る走りの上質感を両立したモデルだ。
バッテリーは、非着脱式の内蔵型。これは都市と都市をつなぐ中距離移動も想定することから、それなりの大容量大型バッテリーが必要となるため。さらに急速充電も欠かせない要素としている。ショー会場ではその充電にステーションを介して行うイメージで展示されていた。なお、このバッテリーシステムは、自社開発のものだという。
コンセプトモデルなので諸元は未発表だが、出力は125cc相当ということで車両区分に合わせると定格出力1kW(1.4ps)以下ということになる。ただ車両区分で最高出力は規定されていないので、都市間の移動も行う125cc相当となると、最高出力は定格出力の10倍である10kW(14ps)からバッテリー消費を考えた10ps相当の7.5kWあたりが現実的な線として見えてくる印象だ。
50cc相当で着脱式バッテリー採用のE02
E02は、50cc相当の出力を持つ都市内の移動に最適な次世代電動コミューターで、軽量で扱いやすいライトなボディに手軽な着脱式のバッテリーを搭載。電動ならではの滑らかでスムーズな走りを追求し、EVをより楽しく、より身近に感じる新しい価値を提案するとしている。
着脱式バッテリーということで、’19年春に国内4メーカーが共同して発足させた「電動二輪車用交換式バッテリーコンソーシアム」や、ヤマハと協業が進んでいるホンダがBENLY e:、GYRO e:でも採用した交換式の「Honda Mobile Power Pack」との関連性が気になるところだが、E02の交換式バッテリーには、ヤマハ独自開発のものが搭載されていると言う。
ちなみにヤマハは、台湾のEVメーカー・Gogoro社とも提携している。開発者によると社内では「全方位戦略」と呼んでいるようで、自社開発のものも含めて様々な方式や技術を研究。仕向地などに合わせて最適なバッテリーソリューションが行えるような態勢を敷いて、来たるべき本格EV時代に備えているようだ。
ヤマハはE01/02の他にも、トライアルレーサーのTY-Eや市販車のE-ビーノに加え、電動アシスト自転車のBMX系コンセプトモデルであるYPJ-YZなどEVモデルを多数ブース内に展示。LMWと合わせて、もうひとつのヤマハの未来を示唆していた。
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