「遺産」「伝統」を意味するヘリテイジな外観に、スポーティな走りを融合したジャンル。欧州を中心に人気を博し、国産でも各メーカーの新作が相次いでいる。過去を蘇らせつつ現代のテクノロジーを注入したトライアンフやドゥカティ、そして今回のBMWなどに対し、そのまま地続きで現代に生き残ったバイクもある。ネオクラシックか、リアルクラシックか―――。
WEBヤングマシンで全33回にわたってお送りした新車アルバムをまとめたのがこのページ。カテゴリー別に分け、さらには排気量区分によりライバル車を直接比較しやすいように各ページにまとめてある。記事があるも[…]
つまるところ、エンジン選び
ラップタイムを切り詰めることが大きなウエイトを占めるスーパースポーツなどと異なり、ライダーに思い思いの楽しみ方でバイクライフを送ってもらうようにと生まれてくるヘリテイジスポーツ。それゆえにエンジン型式はまさしく様々で、特に海外勢は鼓動感のある2気筒や単気筒に集約されつつも、空冷と水冷、2気筒ならは並列かV型か、はたまた水平対向か、さらにはクランクシャフトの向きまで、本当に自由である。
スポーティな味付けであったり、スクランブラーやカフェレーサーに作り分けたりはされているものの、その個性の核となるのはエンジンだ。車体に対するエンジンの支配力が大きい大排気量モデルであるほど、エンジン型式によって乗り味のかなりの部分が決定づけられる。だからこそ、どのようなクセを持ったエンジンなのか、そのエンジンに対してどのようなライディングポジションで関わることになるのかで、フィーリングに合う合わないがとても鮮明になるのだ。
空油冷水平対向2気筒を採用するBMWのRナインTシリーズは、横に寝かされたシリンダーゆえに低重心で安定感があり、それでいて縦置きクランクの特性からロール(左右への傾き)方向の反応は軽快だ。また、スロットルを開ければ後ろから見て反時計回りにクランクが加速し、その反力は車体を右に傾けようとする。スロットルを閉じれば逆の現象が起こる。このクセが病みつきになるか、煩わしく感じられるかは、乗り手の感性次第だ。
同様のクランクによるトルクリアクションはモトグッツィにもあるが、ここで紹介するV7系やV9系は排気量が中間的なクラスのため、クセは大きくなく、これを程好いと感じるライダーもいることだろう。
ハスクバーナの単気筒は、KTMゆずりのハイパワーシングルで、太いトルクと鋭い吹け上がり、そして軽量ゆえのハンドリングがライダーを刺激する。ロイヤルエンフィールドのトコトコ感のあるシングルエンジンとは対照的といえるだろう。同じくロイヤルエンフィールドが間もなく発売する空冷並列2気筒がどのようなフィーリングなのかも、楽しみでならない。1200ccのVツインを搭載するインディアンFTRも、同様にデビューが待たれる1台だ。
BMW Rナインティ・シリーズ:BMW伝統のボクサーツインをクラシカルなスタイルで味わう
1169㏄のボクサーツインを搭載するヘリテイジスポーツで、当初は往年のR90をモチーフとしたSTDから発売されたが、ロケットカウルを装備したレーサー、R80G/SイメージののアーバンG/S、スクランブラーなどバリエーションが充実するようになった。共通プラットフォームとなる車体はカスタムを前提として、シートフレームは脱着が容易な設計となっているのも特徴だ。’19で他のボクサーツインは可変バルブタイミング機構が採用されたが、Rナインティシリーズは未採用だ。
1世代前の空冷ボクサーエンジンを搭載するヘリテイジファミリー。昨年7月に発売された人気モデル、アーバンG/Sの魅力に迫る! ※ヤングマシン2018年7月号(5月24日発売)より 【〇】シンプルだからこ[…]
ハスクバーナ ヴィットピレン701/スヴァルトピレン701:シングルエンジンが弾けるモダンスポーツカフェレーサー
ヴィットピレン701は、ハスクバーナとグループ会社となるKTMの690デュークをベースに誕生したシングルエンジンのモダンクラシック。セパレートハンドルや高めで後方に位置するシートが与えられ、硬派なライディングフィールのマシンだ。ナンバープレートやリヤウインカーはスイングアームにマウント。兄弟車となるスヴァルトピレン701は、アップのバーハンドルやサイドにゼッケンカウルを装備したフラットトラッカーイメージの’19新型だ。
2018年10月のインターモトショーから11月のミラノショーにかけて、世界のニューモデルが一気に登場したことは記憶に新しいだろう。WEBヤングマシンでは新車情報を逐一お届けしてきたが、本特集「2019[…]
ロイヤルエンフィールド:新型攻勢に乗り出す世界最古のブランド
世界最古のバイクブランドとなるロイヤルエンフィールドは、英国本社が倒産した後もインドで生き残り、近年は独自の進化を始めている。クラシカルながらユーロ4に対応する新エンジンを持つモデルをラインナップするなど、開発力が高まるいっぽうだ。EICMA 2018では1938年に発売された高級車KXをモチーフとしたVツインのコンセプトKXを参考出品し、その完成度に欧州勢も驚かされた。また、市販用には最新の空冷270度クランク並列2気筒エンジンを搭載した650シリーズも登場し、日本でも間もなくの発売となる。
東京MCショーで日本初公開されたロイヤルエンフィールドの新型空冷2気筒に、和歌山利宏がさっそく試乗。4月24日発売の本誌で詳報するが、まずはエンジン音を聞いていただこう! 走り出しから信頼できるエンジ[…]
2018年秋のミラノショーで正式発表され、大きな話題を呼んだロイヤルエンフィールド(インド)のネオクラシック×2機種が、ついに日本でも発売される。欧州で先行発表されていた価格から当WEBが予想した車両[…]
モトグッツィ V9シリーズ/V7Ⅲシリーズ:V9シリーズにスポーティなニューカマーが登場
縦置きVツインにこだわるモトグッツィは、排気量853ccのV9と744ccのV7Ⅲからなる2つのヘリテイジシリーズを展開。V9シリーズには、クラシカルなローマー、ボバースタイルのボバーに加え、’19では’20年代フラットトラックレースをモチーフとし、ファットタイヤとショートフェンダー、シングルシート、オーリンズ製リヤショックを身にまとったボバースポーツが追加された。いずれもABSやトラコン、コネクテッド機能といった先端技術も採用する。
V7Ⅲシリーズ
限定生産のカーボンをはじめ豊富なバリエーションモデルが揃う744ccのV7Ⅲシリーズでは、オーセンティックモデルのストーンに赤とグレーの新色が追加された。また、新登場したカスタムキットのコンセプトモデルとして、’70年代耐久レーサー風のファーストエンデュランストロフィーも発表されている。
モトグッツィのミドルクラスクルーザー・V9 BOBBER(ボバー)シリーズに、2019年モデルとして新たにスポーツカスタムの命を吹き込んだV9 BOBBER SPORT(V9ボバースポーツ)が加わる。[…]
インディアン FTR1200/S:1200cc Vツインのマッスルトラッカー
米国インディアンモーターサイクルの最新モデル。アメリカ最高峰のAMERICAN FLAT TRACKレースシリーズでチャンピオンを獲得したFTR750をモチーフに誕生した。新開発の水冷Vツインをスイングアームまでトレリス設計となるフレームに搭載する。LEDヘッドライトやクルーズコントロールを採用するほか、上級版のSには専用のゴールドサスやリーンアングル検知型のトラコンやABS、パワーモード、コネクテッド機能付きのタッチスクリーン式メーターといった装備がこれでもかと充実している。
FTR1200/Sは単にフラットトラックレーサーのスタイルに留まらず、豊富な純正カスタムパーツを用意して、もっとストリート側に寄せたり、ロングツーリング向けにしたりと幅広い世界を提案している。
米インディアンから、自社のフラットトラックレーサー・FTR750を再現したストリートスポーツが発表された。従来、ラインナップはクルーザーだけだった同社だが、このFTR1200は日欧のネイキッドなどとも[…]
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