2018新型スポーツグライドの試乗インプレ

2017年12月21日に発売されたハーレーダビッドソンのスポーツグライドが編集部にやってきた。スポーツグライドが属するハーレーのソフテイルファミリーは、この2018年モデルでダイナシリーズを統合して全面刷新された意欲作。新生ソフテイル初試乗となる本誌執筆メンバーの「いち」がインプレする。

久しぶりのハーレーの進化に驚き

私は、5年程前までは各メーカーのクルーザーモデルに度々試乗しており、それなりに各車の走りは把握しているつもりでいた。しかし、2018年モデルのスポーツグライドには、「ハーレーといえば」という固定観念が当てはまらないスポーツ度の高さにイメージが覆された。一言いえば”シャキッとした”硬質な乗り味。限界の高そうな剛性感がこれまでの”ユルい”平和な雰囲気から大きく異なっており、VMAXやヴィクトリーのスポーツタイプに似ている。サスもどっしりと腰がありつつ乗り心地にも配慮されてる今時のもの。ブレーキは軽く握るだけで食いつくスポーティなタッチとなっていたのは最初面食らったところだ。そして、フロントでしっかり減速&コントロールできるあたりはスポーツバイクそのものと言っていい。新型ソフテイルシリーズは新フレームで65%も剛性が上がっているという劇的な進化に加え、スポーツグライドは倒立フォークなどの装備でスポーツ度を高めた結果だろう。試乗すると「ハーレーなのに!」と驚くことになるはずだ。

上から1~2枚目は新型ソフテイルシリーズのフレーム。エンジン下のリヤショックを引く構造から一般的な押す構造的に変更されたことがトピックだが、メインフレームの太さも走りに影響しているだろう。最下段は2014年に発売された新生インディアン・チーフのフレーム。メインはアルミダイキャストを使用しておりリヤサスはリンク式モノショック。走りはMT-01のようでクルーザーと言えども走りに重きを置く流れが、ハーレーにも影響を与えたことが伺える。

そしてスイッチバックを思い出した

スポーツ度で言えば、同じソフテイルシリーズの中で言うとファットボブ114が最も高レベルだろう。しかし、スポーツグライドにはさらにセールスポイントがある。トップ画面の写真のとおり、脱着に各1分とかからないカウルとパニアが装備されているところだ。街乗りではネイキッド、ツーリングにはカウルとパニアをつけて…という使い分けができるのだ。

上がスポーツグライドで下がスイッチバックの2012年モデル。スイッチバックはネイキッドにするとロードキング風、乗り味はおおらかだった。ステップボードもコーナリングで簡単に擦ってしまうため無理はできない。
上段がスポーツグライドで下がスイッチバック。どちらも工具なしでカウルとパニアケースを取り外すことができる。ケースは施錠することも可能だ。ヘルメットが入る程のケース容量はないが、1~2泊のツーリングには事足りるくらいは確保している。

総合するとNinja1000に近い?!

スポーツグライドを説明するのに最終的に思い浮かんだのはNinja1000だった。スイッチバックのような使い勝手の良さがあるがキャラクターが正反対。そしてファットボブ114ほどのスポーツ度はないが、レベルはかなり高い。ジャンルこそ異なるがこれは紛れもなくNinja1000のコンセプトに近い。2017年11月のイタリア・ミラノショーで初公開となった理由も、ツアラーが好まれる欧州市場を意識してのことだろう。加えてクルーザーならではの足着き性の良さが、疲れた時にありがたく感じられそうだ。

こちらは2015年に登場したインディアンの新生スカウト。アメリカ最古の2輪メーカーの伝統的ブランドに水冷DOHCエンジンを搭載している。パイクスピークに参戦したエンジンだけあってクルーザーにしておくのがもったいないくらいの走りを見せる。ハーレーにおいてもダイナシリーズをソフテイルに統合させるという判断や性能に振ったシャーシを開発するなど、決して伝統の保守一辺倒ではない戦略があるように思える。

スポーツグライド主要諸元

●色:黒、赤、銀 ●価格:227万5400円〜231万7400円

■全長2325mm  軸距1625 シート高680mm 装備重量317kg 4ストV型2気筒OHV4バルブ 1745cc 14.8kg-m 変速機形式6段リターン 燃料タンク容量18.9L ■タイヤF=130/70B18 R=180/70B16

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