
ヤマハは11月4日に戦略的パートナーであるElectric Motion社(フランス/EM社)と共同開発中である電動モトクロスレーサー「YE-01 レーシングコンセプト」を発表した。ヤマハは2050年までにカーボンニュートラル達成という目標を掲げており、この「YE-01レーシングコンセプト」の開発もその一環とのことだ。
●文:谷田貝洋暁(ヤングマシン編集部)
2026モデルのモトクロッサーYZ450Fをベースに電動化
電動トライアルマシンの「TY-E」でFIMトライアル世界選手権EVクラスに参戦するなど、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みにも積極的なヤマハ。
電動トライアルマシンの「TY-E」。電動マシンではあるがクラッチとフライホイールを備え、通常のオートバイと同じようにフライホイールに回転運動エネルギーを溜め込み、クラッチで一気に放出するという使い方ができるようになっている。
今回発表した電動モトクロッサー「YE-01レーシングコンセプト」の車体は、最新モデルである2026モトクロッサーのYZ450Fの車体をベースとしたもので、サスペンションもやはりYZ450FベースのKYB製フルアジャスタブルサスペンション。このほかハンドルやステップ、シートポジションといった操作系のレイアウトもYZ450Fを踏襲し、可能な限り既存モトクロッサーのライディングフィールに近づけるような研究・開発が行われているようだ。
2026モトクロッサーであるYZ450F。メインフレームはもちろん、シュラウドなど多くの部分を共用しているよう。ただ、シートフレームの取り付け位置が異なっている。
搭載する電動ユニットはモトクロス競技用に専用開発された水冷式の電動パワートレインでMXGPレベルの出力を発揮するとのことであるが、これをYZ450Fの車体に最適な重量配分になるようにレイアウト。
この水冷式の電動パワートレインには、あらゆるコースコンディションに対応するため、パワーモードやトラクションコントロールシステムといった電子制御装備も搭載しているとのことだ。
水冷式の電動パワートレインのスペックなどの詳細は未発表だが、YZ450Fが採用している後傾&後方排気エンジンと同じように重心の最適化が行われているという。
面白いのは、やはり電動トライアルマシンの「TY-E」と同様に、クラッチとフライホイールを搭載していることだろう。通常の電動バイクというと無段変速でクラッチレバーもないのが普通だが、電動モトクロッサー「YE-01レーシングコンセプト」は、動力をカットするためのクラッチ機構を備え、さらには大きな重量物であるフライホイールまで搭載している。
トランスミッションはないものの、通常のエンジンと同じようにクラッチとフライホイールを装備し、クラッチレバーもある。このためリヤブレーキは通常のバイクと同じフットブレーキ式となっている。
ヤマハによれば、これらの機能は“電動パワーデリバリーを従来のヤマハの乗り味に可能な限り近づけるため”。…とのことだが補足すれば、不整地を走るモトクロス競技では微妙にトラクションを抜いたりするような場面ではクラッチによるパワーのコントロールが存在が不可欠。また瞬発的にパワーを発揮させたいような場合には、“フライホイールを回して回転エネルギーを溜め込み、クラッチをつないで一気にパワーを解放”する、といった使い方もする。
フレームと水冷式の電動パワートレインを長めのエンジン(?)ブラケットで連結。排気量の異なるモトクロッサーやエンデューロマシンの車体キャラクターをこのエンジンブラケットの剛性コントロールで自在に変化させるヤマハ。それだけに、この「YE-01レーシングコンセプト」のエンジンブラケットにも相当な工夫が詰まっていそうだ。
ヤマハによれば、プロトタイプ電動バイクの新カテゴリー“MXEP”に「YE-01レーシングコンセプト」を走らせる目的は、ヤマハの技術的専門知識とライダーの経験を強化・深化させ、将来のための貴重なデータ、知識、理解を蓄積することとしている。今後はヤマハのモトクロステストライダーによる様々なテストがMXEP選手権の開始に向けて実施される予定とのことだ。
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