
ヤマハは欧州で、スーパースポーツモデル・R1(日本名:YZF-R1)のレースベース車「R1 RACE」およびパフォーマンス向上パーツを組み込んだ仕様の「R1 GYTR」を発表した。このほかGYTR PROショップではさらなる性能向上を可能とするオプションパーツをラインナップしている。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
MotoGPインスパイアのカーボン製ウイングレット!
ファイナルエディションが登場しそうとか、スーパーバイク世界選手権でのパフォーマンス向上のためモデルチェンジするのではないかなどさまざまな情報(憶測?)が飛び交っていたYZF-R1(欧州名:R1)だったが、欧州から一定の回答と言えそうな2025年モデルが発表された。
2車あり、ひとつは「R1 RACE(R1レースベース車)」、もうひとつはパフォーマンスアップのためのマフラーやサスペンション、電子制御などを組み込んだ上級仕様「R1 GYTR」だ。
欧州では公道仕様のR1が2024年モデルをもって終了すると告げられており、2025年モデルからはサーキット仕様のみ販売されることになる。
日本仕様がどうなるのかは調査中だが、例年で言えば来シーズンに向けたレースベース車の予約受付が始まる時期が迫ってきているので、こちらも近日中には何らかの回答をお届けすることができそうだ。
レースベース車の位置付けである新しいR1 RACEの外観を特徴づけているのは、なんといってもMotoGPにインスパイアされた空力パーツ、ウイングレットの存在だろう。アッパーカウルに取り付けられたウイングレットは、強度と剛性を確保しながらカーボン製とすることで重量増を最小限にとどめつつ、R1のアンチウイリー制御の効果を最大限に高めるとともにブレーキングやコーナリング時のフロントエンドのフィーリングを向上させるという。デザイン的にも流麗なR1のスタイリングを崩さずに、MotoGPマシン「YZR-M1」の雰囲気をうまくプラスしている。
R1 RACE[2025 model]
もちろんモディファイを受けたのはそれだけではなく、新設計のKYB製φ43mm倒立フロントフォークは右側がリバウンド減衰、左側には高速/低速2WAYのコンプレッション減衰力アジャスターを備えたものに。また、ベースバルブを装備したことでダンピングの応答性が向上し、接地感と安定性にも寄与するという。さらに、カシマコートを施したことで外観がダーク調になった。
フロントブレーキはブレンボ製のマスターシリンダーとStylema(スタイルマ)モノブロックキャリパーを新たに採用(リヤブレーキキャリパーはニッシン製)。入力に対するレスポンスと制動力パフォーマンスを新たなレベルに押し上げた。
このほかシートの表皮素材を改良したことで、ライダーの体重移動や入力が容易になり、ハンドリングの安定性を高めている。
R1 RACE[2025 model]
エンジンは公道走行に必要なコンポーネントを取り除き、よりリニアなトルクを発生。レース用に開発された電子パッケージは6軸IMU(完成計測ユニット)を基点に、トラクション コントロール (TCS)、スライド コントロール (SCS)、ブレーキ コントロール (BC)、リフト コントロール (LIF)、ローンチ コントロール (LCS)、3 モードのエンジン ブレーキ マネジメント (EBM) 、クイックシフト システム (QSS)、パワー選択モード (PWR) を制御する。
このほか、アルミ製スイングアームやマグネシウム製のリヤフレーム(シートレール)、マグネシウム鋳造ホイール、容量17Lのアルミ製燃料タンク、4.2インチTFTディスプレイ(トラックモード付)は従来の公道仕様に準じている模様。
日本でレースベース車の2025年モデルが登場するとしたら、このR1 RACEに近い仕様のものになる可能性が高そうだ。
ヤマハ純正の高性能パーツ『GYTR』を備えた高級仕様も登場
欧州ではヤマハの純正パフォーマンスパーツがGYTR(Genuine Yamaha Technology Racing)と名付けられ、現地のGYTRプロショップから提供されている。これらの一部を組み込んだ仕様「R1 GYTR」も併せて発表された。
こちらの仕様は以下のようになっている。
- ブラック仕上げのグラスファイバー製レースカウル&ウイングレット、ステッカーキット付き
- 新世代KYB フロントフォーク(新)
- ブレンボ製 フロントマスターシリンダー&Stylemaキャリパー(新)
- GYTR レースリヤセット(新)
- GYTR R1ハンドルバーセット(新)
- GYTR レーシング ECU (SST仕様)
- GYTR レーシングワイヤーハーネス
- アクラポヴィッチ製 レースマフラー(ミッドダンパーシステム付)※<100 dB
- GYTR AIS プラグセット
- 15/42T 520 スプロケットと 520 レーシング チェーン
- GYTR ABSエミュレーター
- GYTR ON/OFFスイッチ
- GYTR ブレーキラインセット
- GYTR レーシングフューエルキャップ
- GYTR エンジンカバーセット
- GYTR シャークフィンリアスプロケットガード
- GYTR ブレーキレバーガード
- スタンドフックセットとリヤレーシングスタンド
- GYTR ステアリングストッパー
- GYTR レーシングスクリーン
- ブレンボ製 Z04 レーシングブレーキパッド
このほか、欧州のGYTRプロショップでは多数のパーツ&アクセサリーをラインナップ。中にはオーリンズ製サスペンションやスーパーバイクスタイルのトップブリッジ、左手の親指でリヤブレーキを操作できるサムブレーキ/引くタイプの左手用リヤブレーキレバー、ハイスロやレース仕様のスイッチボックス、マルケジーニ製ホイール、リモート式ブレーキレバーアジャスターなど数え上げたらキリがないほど。
欧州では、R1 RACEは2024年11月よりヤマハディーラーに、R1 GYTRも同じく11月よりGYTRプロショップに並ぶ模様だ。
R1 RACE のスタイリングとディテール
R1 GYTR のスタイリングとディテール
R1 GYTR[オプション装着車]
R1 GYTR[オプション装着車]
R1 GYTR[オプション装着車]
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
2ストレプリカの原点にして、TZRへの橋渡し役だったRZシリーズ 最後の2ストロードスポーツを作るという情熱が込められ、1980年に登場したRZ250。同車が「最後」と言われたのは、環境問題も絡めて今[…]
スポーティ&ファッショナブルなブルー系が登場 ヤマハのスポーツ・ヘリテイジ(伝統・遺産)を標榜するXSRシリーズ。スーパースポーツやネイキッド」といった従来のカテゴリーを越え、レトロな外観やその背景の[…]
廉価&シンプルなハイブリッドシステムで燃費性能を向上! ヤマハモーターインディアは、15年以上にわたってシリーズ累計150万台以上を販売してきた人気モデル「FZ-S」の最新モデルとして「FZ-S Fi[…]
150万円切りはほぼ確実と思われるが…… ヤマハは台湾で、欧州および北米などで発表済みのスーパースポーツモデル「YZF-R9」の導入価格を発表。日本国内にも2025年春以降の導入が案内されており、正式[…]
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
人気記事ランキング(全体)
通勤からツーリングまでマルチに使えるのが軽二輪、だからこそ低価格にもこだわりたい! 日本の道に最適なサイズで、通勤/通学だけでなくツーリングにも使えるのが軽二輪(126~250cc)のいいところ。AT[…]
ライディングポジション関連を変更。実用性もアリ!! 基本構成はCB1000ホーネット譲りだが、各部のパーツは専用品が多い。とくに注目すべきはスマートキーだ。ホーネットでは物理キーを鍵穴に挿し込む一般的[…]
半クラッチは熱膨張で繋がる位置が変わる! ほんとんどのバイクは、エンジンのシリンダーよりちょっと後ろに丸い膨らみがある。これがクラッチ。 丸い膨らみの中には、エンジンのパワーを発生するクランクシャフト[…]
日本映画史の記憶に残り続ける『トラック野郎』シリーズ第1作 『トラック野郎 御意見無用』は、1975年に公開された鈴木則文監督による日本映画。東映製作/配給の『トラック野郎』シリーズの記念すべき第1作[…]
250A1、350A7に続く最速チャレンジャー真打ち登場!! 1966年に250ccA1サムライで、先行していたホンダCB72、ヤマハYDS3、スズキT20の性能を上回り、次いでボアアップした338c[…]
最新の投稿記事(全体)
各部に配された黒が車体を引き締める 1833cc水平対向6気筒エンジンを搭載するホンダのフラッグシップモデル、ゴールドウイング。2022年モデルは、2022年4月21日に発売した。 ここでゴールドウイ[…]
日本を含むアジア圏で人気のSUVスクーター 水冷4バルブのeSP+エンジンを搭載するアドベンチャー系SUVスクーター「ADV160」シリーズに新色が登場した。新たなカラーラインナップが発表されたのはマ[…]
エンジンはホーネットより低速寄り?! 152psを発生するスーパースポーツ譲りの直列4気筒+鋼管ダイヤモンドフレームというホーネットの基本構成を受け継ぐCB1000Fコンセプト。エンジンの詳細は不明だ[…]
上質な栃木レザーのハンドメイドキーケース このキーケースは、革職人が上質なレザーを用いてハンドメイドで製作。素材には、国産最高峰とされる栃木レザーが使用されており、使い込むほどに手に馴染み、美しい経年[…]
交換するだけで愛車がスポーツバイクにもツーリングバイクにもなる タイヤは、すごい。バイクのパーツで唯一路面に接しており、その接地面積は、たったクレジットカード1枚分と言われる。たったこれだけでバイクを[…]
- 1
- 2