バイク磨き用のケミカルは多数あるが、1959年に発売された商品が大きく形を変えることなく現在も販売され、一部ユーザーに熱く支持されていることをご存じだろうか。どこかで見たことある黄色い三角のボトル、広範囲に使えて輝きを得られ、さらには強力な汚れ落としにも使えるのである。
●文/写真:ヤングマシン編集部(ヨ)
1959年から支持され続けている!
ヤマハが純正採用品としてカタログに掲載し、希望小売価格550~770円(Amazon等では500円以下での販売も)というリーズナブルな価格や使いやすいボトルで長年にわたって人気商品であり続けている「ユニコン カークリーム」。石原ケミカルが製造する“ユニコン”シリーズのうちのひとつ、リキッドタイプのつや出し剤である。製造販売がはじまったのは1959年で、国産初のクリーム状自動車用つや出し剤とされた。
同社の沿革を見ると1953年に楽器・家具用液状つや出し剤「ユニコン」が発売とされ、これがシリーズはじまりと言っていいようだ。現在も楽器のほうのヤマハで「ピアノユニコン」シリーズが販売されており、そちらに造詣のある方はご存じかもしれない。
カークリームは、YSPなどのヤマハ系ディーラーでは以前からお馴染みで、店頭のバイクを磨いたり掃除したりする際に使用されるのを見たことがある方も多いのでは。
優れているのは、大まかに言って以下の4点。
1)作業がとても手軽
2)使用できる範囲が広い
3)しっかりツヤが出る
4)油汚れが場合によってはパーツクリーナーよりもよく落ちる
順に説明していこう。
1)作業が簡単
ボトルのフタをひねると先端からリキッドが出るようになる。適量をウエスなどに付けて、あとは磨くだけ。フタは上から見て半時計回りで開くが、いったん固くなるところを過ぎて回し続けるとフタが外れ、うっかり中身がドバっと出てしまうことがあるのはユニコンビギナーの通過儀礼である。しばらく使わずに放置していると先端の出口でワックスが固まりがちなのはご愛敬。細い棒などでつついて開通させよう。
2)使用できる範囲が広い
塗装面や金属面だけでなく、梨地処理された樹脂やマットカラー塗装に使っても、一般的な固形ワックスのように乾いたあと白っぽくなることがない。紫外線で色あせた樹脂などもツヤ出しできるほか、エンジンでもそれほど高温にならないクラッチカバーなどには使える(筆者の個人的経験によるものです。実際にはトラブルが出る可能性もあるので自己責任で試してください)。
3)ツヤが出る
ガラス系コーティングなどに比べればオールドファッションなワックス系の輝きになるが、この価格と手軽さを考えれば十分以上である。保管環境にもよるが、状態がよければ1か月程度もつと思っていいだろう。古いバイクではフォークのインナーチューブなどに防錆ワックス的に使うこともある。
4)汚れ落とし
これがユニコンの真骨頂と思っていいほど。チェーングリスで真っ黒になったホイールの汚れや、ステッカーを剥がしたあとに残ったベタベタ、さらに水垢などが簡単かつ綺麗に落とせるのである。研磨剤は入っていないので、汚れの中に砂などがなければガシガシ擦っても大丈夫。しかも汚れが落ちたあとは普通にツヤ出しが機能する。
もちろん、専用の洗剤を使って時間をかけて洗車し、コーティング剤や高価なワックスを使えばさらに綺麗に仕上げることもできるだろう。しかし、「これ1本」で手軽かつ安価に上記4点の仕事をこなすという点では、発売から65年が経った現在でもライバル不在と言っていい。
ちなみに筆者は1992年に免許を取得し、地元のバイク屋でアルバイトをはじめたが、その時点ですらクラシックなパッケージで歴史あるケミカル商品だと認識していた。当時でも発売から30年以上が経っているので、そりゃそうである。それが2024年になっても同じパッケージ(もしかしたらマイナーチェンジされてるかも? ご存じの方いたら教えてください)で買えるのだから恐れ入る。
スキンケア界ではニベアのクリーム(最初に発売されたのは1911年らしい)が今も一定の支持を集めているように、ユニコンの黄色い三角ボトルもまだまだ長い歴史を刻んでいくに違いない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
C型フックと貫通シャフトを標準装備するガレージREVOは、サーキットでも便利 サーキットのスポーツ走行は、それぞれのサーキットや走行会などのルールや走るクラスにもよりますが、バックミラーを外してヘッド[…]
ビスを緩めるドライバー、電動ツールやショックドライバーも欲しい フロートチャンバーやトップカバーなど、キャブレターボディ外部に取り付けられた部品の多くはプラスまたはマイナスのビスで固定されており、ビス[…]
どうも! バイク好きの映画監督、ナカモトユウです。賃貸ガレージユーザーの僕は、自宅でバイクのカスタムや整備をすることが多いのですが、ここ最近願望がありまして…。それは…エアコンを設置したい!!! 9月[…]
エアクリーナーエレメントがエンジンをぶっ壊す可能性 これはつい先日、筆者が実際に体験したノンフィクションです。 これはスズキRG400ガンマ。1985年製、すっかりレトロになってしまった2ストロークマ[…]
1分でわかる記事ダイジェスト ブレーキフルード・・・密閉されているのになぜ劣化する? ブレーキフルードは、マスターシリンダーとキャリパーと、ブレーキホースの中に入っているが、なぜか劣化する。「密閉され[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
違いますよね、分かってます。でも比べてみたんです。 原付二種・異種格闘技戦勃発?! 今回は人気の125ccの中から趣味性の高いマニュアルトランスミッションモデル、いわゆる“ギヤ付き”のヤマハXSR12[…]
クラッチ操作不要、ハンドシフト可能なMTモード/ATモードを搭載 ヤマハは、注目のトランスミッション機構「Y-AMT(Yamaha Automated Transmission)」を搭載したニューモデ[…]
通勤エクスプレスには低価格も重要項目! 日常ユースに最適で、通勤/通学やちょっとした買い物、なんならツーリングも使えるのが原付二種(51~125cc)スクーター。AT小型限定普通二輪免許で運転できる気[…]
新種のジョグだとすれば電動と考えるのが妥当か ホンダは2023年に初のパーソナルユース向け電動スクーター「EM1 e:(イーエムワン イー)」をリリースし、「BENLY e: Ⅰ(ベンリィ イー ワン[…]
大型二輪免許は18歳から取得可能! バイクの免許は原付(~50cc)、小型限定普通二輪(~125cc)、普通二輪(~400cc)、大型二輪(排気量無制限)があり、原付以外には“AT限定”免許も存在する[…]
人気記事ランキング(全体)
エンジンもシャーシも一気に時代が進む 第1回の記事では、新型CB400がトータルバランス路線を取り、77psを発揮するカワサキZX-4Rのような高性能路線には踏み込まない…という情報に対し、プロは「バ[…]
日本で登場したときの想定価格は60万円台か カワサキはタイに続き北米でも「W230}を発表。空冷233cc単気筒エンジンはKLX230のものをベースとしているが、レトロモデルにふさわしいパワー特性と外[…]
世界初、デイタイムランニングライトにウインカーを統合 ホンダは欧州で新型「X-ADV」を発表。ヘッドライトまわりを含むフェイスリフトに加え、テクノロジーやオールラウンドな扱いやすさに磨きをかけたという[…]
1441cc、自然吸気のモンスターは北米で健在! かつてZZ-R1100とCBR1100XXの対決を軸に発展し、ハヤブサやニンジャZX-12Rの登場からのちにメガスポーツと呼ばれたカテゴリーがある。現[…]
車検のある機種は熊本製作所で作る? 新開発の400cc4気筒エンジンを搭載し、CB400スーパーフォアの後継機として、開発中のホンダ新型CB400。WEBヤングマシンでの注目度もとても高く、2025年[…]
最新の投稿記事(全体)
Moto2チャンピオンに向かってまっしぐら。2009年の青山博一以来の日本人世界チャンピオン誕生までカウントダウンに入った。 厳しいコンディションでもレコード更新する凄まじさ MotoGP日本グランプ[…]
ライダーを魅了してやまない「ハイパーVTEC」 CB400SF(スーパーフォア)に採用されていることでも有名な、バルブ制御システム「ハイパーVTEC(HYPER VTEC)」。この口コミを検索してみる[…]
世界屈指のバイクを味わい尽くすには、日本最高峰の鈴鹿サーキットをおいてほかにない 近畿/東海圏でBMWディーラーを展開するミツオカグループ(光岡自動車)。店舗ごとにさまざまなイベントを随時開催している[…]
違いますよね、分かってます。でも比べてみたんです。 原付二種・異種格闘技戦勃発?! 今回は人気の125ccの中から趣味性の高いマニュアルトランスミッションモデル、いわゆる“ギヤ付き”のヤマハXSR12[…]
エンジンもシャーシも一気に時代が進む 第1回の記事では、新型CB400がトータルバランス路線を取り、77psを発揮するカワサキZX-4Rのような高性能路線には踏み込まない…という情報に対し、プロは「バ[…]
- 1
- 2