
その昔、乗りはじめてすぐに停車寸前で立ちゴケし、得体の知れない怖さと警戒心が長く続きました。そして最近、カーブで曲がりきれないとブレーキをかけたものの、ガードレールに擦りながら止まる恐ろしい目に遭いました。それでもバイクは乗り続けたいのですが、“怖がり”を払拭できるライテクはありませんか?
●文:ライドハイ編集部(根本健) ●写真:Shutterstock(stockphoto mania / roibu)
慣れるのを待っているより、安心できる状態を積み上げていく。
怖がりでいることは、身を守る上で大事な基本です。その上で安心できる状態に身を置いて、楽しいと思えるライディングを工夫していきましょう。
とにかくビビリーなんです…だからオートバイを意のままに操るなんて、夢のまた夢。怖がりだから、上達へのチャレンジなんてムリ! なんておっしゃる方が意外に多かったりします。
でも、何かあったらコケるリスクを伴うのがバイク。それでも走り出すと車体が自立して、颯爽と風を切る心地良さに、「おっかない」とか言いながらニコニコ顔…。どんなライダーでも、入り口は同じようなモノだったと思います。
で、まずは“ビビリー”だからダメと思われている方にひと言。そうした警戒心は基本的に大事です。これがなかったら、あり得ない無茶を冒してしまい、命がいくつあっても足りません。
でも、自分では怖いと感じるカーブが続くようなトコロで、平然と楽しそうに駆け抜けていくライダーもいる。あの人たちのように怖くない気持ちで走りたい、それにはどうしたら…。
そうした“怖い”と“怖くない”は、たとえば40km/hが限界! と思っていたのが、60km/hでもうちょっとイケるかも、と変わっていくのと同じで、まずは慣れが必要です。
ただ、この話のように、何かアクシデントがあって、そこに恐怖心が根づくと振り出しに戻ってしまいがちです。
そんな懲りた状態だと、ただ“慣れる”のを待っても時間がかかるばかり。そこで、どうやって安心できる気持ちを積み上げていくのか、バイクの操り方とサスペンションの設定など、バイクを馴染みやすくする方法を伝授しましょう。
そーっと操作するのは、かえって警戒心を煽るので逆効果!
どうなるのか心配で、こわごわスロットルを開ける(捻る)とき、当然そーっと探るように、ゆっくり少しずつ開けてゆきます。しかし、このどこから加速するのか、反応が始まるトコロを探っている状態は、いつ始まるのかに対し警戒する気持ちを強めます。
これは、加速が始まった瞬間にちょっとだけビックリしがちで、そう感じれば感じるほどに警戒心が強まる悪循環に陥ります。
では、どうすれば良いのかというと、エンジンのアイドリングよりちょっとだけ上の、2000rpmあたりの低い回転域で、そーっと探らずに、むしろ素早く大きめに捻って、自分の意思で加速させる操作にしてしまうのです。
一定のタイムラグを生じる“開けて待つ”操作で、まずは安心感を積み上げる。
エンジンには、低い回転域だと加速まで一定のタイムラグ、つまり遅れが生じる特性があります。つまり低い回転域であれば、グイッと素早く明確に捻っても、加速が始まるのを待つことになります。
慣れるまでは、ローギヤなどの発進時ではなく、一定の速度になってから4速とか5速の高めのギヤで、2,000rpmからスロットルを1/4もしくは1/3まで、徐々にではなくサクッと捻ってみましょう。すると加速が始まるまでひと呼吸あって、それからジワッと穏やかに加速します。
これを何度も繰り返すと、自分で捻った操作に対し、エンジンがいきなりではなく常に穏やかに反応することがわかってきます。
安心できる穏やかな反応で、しかも受け身ではなく自分の意図する操作に反応している…。これが愛車との距離を縮める第一歩になるはず。
慣れてくると、発進から素早くシフトアップを繰り返し、この安心な領域で走る心地よさが身につきます。
そして、次に大事なのが減速です……
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