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現行車の中大型モデルのフロントフォークは“倒立式”が圧倒的に多い。1980年代後半に登場した倒立式は、当初、超高性能モデルにのみ採用されるスペシャルパーツ的な存在だった。それ以前のフロントフォークといえば正立式が当たり前で、現在の旧車ムーブメントにおいても、足まわり部品の主役は正立式フロントフォークだろう。ここでは、オイル漏れが始まったホンダGB250クラブマンの正立式フロントフォークのオイルシール交換を、高品質な丸中洋行が販売するNTBブランドの規格部品を使い実践しよう。
●文/写真:モトメカニック編集部 ●外部リンク:丸中洋行
良質な規格部品を使って安心確実に修理!! GB250の正立式フロントフォークの分解と組み立て
フロントフォーク内部に組み込まれる部品(NTB規格部品)をおおよそ並べてみたが、じつにシンプル。オイルシール下に入るスペーサーリングの入れ忘れや誤組に要注意。間違えてしまうと、オイル漏れ/吹き出しの原因になってしまう。なお、今回用意したNTB規格部品のフォークシール類は、さまざまな車種用が用意されている。気になる車種がある場合は、NTBオートパーツリサーチで検索してみよう。他にもオイルフィルター/ワイヤー類/ガスケットなどを購入できる。
トップボルトは、ステアリングステムに組み込まれている段階で緩めよう。フロントフォークを抜き、トップボルトを外したら、スプリングを抜いてオイルを排出。立てかけたフォークを倒さないようにボトムケースを固定。
特殊工具のダンパーシートパイプ用ロックツールを、長いT型ハンドルに取り付ける。ボトムボルトはインパクトレンチで一気に緩めることもできるが、ダンパーシートの供回りをこのロックツールで押さえれば緩められる。
ボトムボルトが供回りして、分解しにくいこともある。こんなときに便利なのが大型万力だ。ボトムケースにダメージを与えないように、キャリパーホルダーでクランプ。ホルダーがないモデルは、万力に口金を取り付けて要対応。すべてを分解後、ボトムケースのクリア塗装と本体を研磨して腐食を落とし、塗装した。
抜き取ったインナーインナーチューブは、脱脂洗浄してから2本をピタリと寄せて合わせ、光にかざしてチューブの曲がりや部分打痕の有無を確認。表面汚れは♯2000耐水ペーパーにオイルを塗布し、回転方向に磨く。
ダンパーシートはトップボルト側から差し込む。1970年代前半の正立フォークには、ダンパーシートのボトムケース側固定式もある。上側にはダンパーシート用樹脂製ピストンリングが付き、これも交換部品のひとつだ。
ダンパーシートを上から差し込み、インナーチューブの下側から先端を突き出したら、オイルロックピースと呼ばれる部品をパイプ端末に差し込む。これらのインナーパーツは、組み立て復元前に徹底洗浄しよう。
ロックツールを差し込んだロングTレンチをインナーチューブに差し込み、ダンパーパイプを押し込みながらボトムケースを上に逆さまにする。Tレンチを押し付けながら、オイルロックピースをボトムケースに押し付ける。
ボトムボルトを洗浄し、銅製ガスケットワッシャーを新品のNTB規格部品に交換。ネジ部分に緩み防止のロック剤を塗布して、ボトムケースの底からボトムボルトを仮締めする。最初から一気に締め付けず、最初は手締めの仮締めだ。
ボトムケースを固定してから、インナーチューブをフルボトム。その状態でチューブを回転させながらボトムボルトを徐々に締め付け、規定トルク(20Nm)で固定する。この作業でロックピース+ダンパーをセンタリング。
ボトムケースにアウターメタル (摩耗時には要交換) を挿入したら、オイルシールを圧入する前にスペーサーを組み込む。このスペーサーが、アウターメタルの浮き上がりを防止する大切な役割を果たす。
新品のNTB規格部品のフロントフォークオイルシール。オイルシールのリップ部分に、シリコン系のラバーグリスを適量塗布する。ラバーグリスは金属部品×ゴム部品の摺動抵抗を減らす潤滑材だ。オイルシールの外周にもラバーグリスを薄く塗布して、組み立て性を高める。
オイルシールリップを傷めないテクニックのひとつが、このような方法。インナーチューブのトップにビニール袋を被せ、ラバーグリスを塗布併用しながらオイルシールを差し込む。シールリップにダメージを与えないように。
オイルシールをボトムケースまで挿入したら、オイルシールドライバーと呼ばれる専用工具で、シールリップを傷めないようにスライディングハンマーの要領で叩き込む。この際、外周に薄く塗ったグリスが作業性を高める。
ボトムケースのシールホルダー部分にある加工溝をオイルシールの端面が越えていることを確認したら、オイルシールの抜け止め用セットリングを組み込む。切り口部分を先に覗かせるように押し込むと、パチッとはまる。
ホンダ純正フロントフォークオイルのATFを利用。フォークオイル量の表示には油面の高さと注入量があるが、旧車の場合は後者指示が多い。このフロントフォーク(GB250初期型)は、片側205〜210cc指定。
目見当で注入するのではなく、ガラス製で厳密な精度の商品でなくても良いので、メスシリンダーで指定量注入しよう。正しいオイル量も大切だが、左右同量のフォークオイルを注入することも大切な作業だ。
オイル注入後は手早くエア抜きを行う。この際にはトップボルト部を手のひらで押さえつつ、フォークを押し込んだところで手のひらを開放。また、フリーで圧縮してから手のひらを当て、伸ばしてから開放。繰り返そう。
手早くエア抜きを終えたら新品のNTB規格部品のダストシールを挿入して、ボトムケースのトップエンドへ固定しよう。このダストシールリップにも、ラバーシールを薄く塗布。
このフロントフォークのインナースプリングはピッチが細かい方を下側に組み込む指示となっていた。純正サービスマニュアルでは、自由長426mm以下でヘタリと判断され、新品スプリングへの交換指示となっている。
トップボルトへ組み込むOリングは、純正の新品部品に交換した。ボルトの頭を手のひらや工具で押し込みながらインナーチューブ側を回すことで、ネジ山がかかりやすくなる。この段階では手締めの仮締めで良い。
あると便利な工具は、ダンパーパイプの回り止めとオイルシールドライバーだ。ダンパーパイプエンドが六角形状の場合は、六角レンチピースとソケットレンチを組み合わせて利用することもできる。
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