
iB井上ボーリングでは、クラウドファンディング第1弾として2022年「アタラシイモノや体験を応援購入しよう」をキャッチフレーズにした「MAKUAKE」サイトにプロジェクトを掲載。カワサキ750SS/H2用アルミ削り出しシリンダーヘッドの製造支援者を募った。 そして第2弾は、2023年に500SSマッハIII/H1用の削り出しシリンダーヘッドの募集をし、成功を納めた。
●文/写真:モトメカニック編集部(たぐちかつみ) ●外部リンク:井上ボーリング
入手困難な旧車のパーツをクラウドファンディング
「群衆/Crowd×資金調達/Funding」という言葉を組み合わせた造語が「クラウドファンディング」。インターネットやSNSを通じて、不特定の賛同者に資金提供を呼びかけるスタイルなのは既に知られているところだ。
2023年で創業70年になるiB井上ボーリングでは、2022年にクラウドファンディング第1弾として、「アタラシイモノや体験を応援購入しよう」をキャッチフレーズにした「MAKUAKE」サイトにプロジェクトを掲載し、カワサキ750SS/H2用アルミ削り出しシリンダーヘッドの製造支援者を募った。モデルの性格もあって、カスタムマシン愛好家が高い興味を抱き、かつ支援者となってプロジェクトは見事に成功!!
【Makuake 井上ボーリング】で検索エンジンにかければ、クラウドファンディングの入口に辿り着くことができる。今後このような形でのパーツ開発は増えることだろう。
単純なパフォーマンスパーツではなく、アルミ無垢ブロックから削り出されたシリンダーヘッドは、何より剛性が高く、また燃焼室容積の均一化によって「3気筒エンジンの回転バランスが向上し、不快な振動が減った」との意見を支援者から聞くこともできた。
そのプロジェクト第2弾として支援者を募ったのが、500SSマッハIII/H1用の削り出しシリンダーヘッドだ。過去にピストン破壊やデトネーション経験がある燃焼室表面は、ザクザクの傷だらけになってしまい燃焼効率が悪いことで知られるが、精密かつ均一に燃焼室加工された削り出しシリンダーヘッドの搭載によって、H1もまたひと味違ったフィーリングを得られるようになるはず。
すでに目標金額は達成され、募集は終了している(Makuake)。次は何を予定しているのか? 引き続き創業70周年となるiB井上ボーリングの2023年の動きに注目したい。
一方で、クラウドファンディングではないが、さらに吉報がある。長期欠品することなく安定的な部品在庫を目的に、カワサキ750SS/H2用コンロッドキットを大手国内コンロッドメーカーへ独自オーダーしたという。
H2クランクをオーバーホールしたい際には、周辺部品を用意しなくてもiBではこれまで以上に積極対応してくれる。センターシール仕様/ラビリンスシール仕様、もちろんどちらを選ぶかは、オーナー次第である。
ピストンの焼き付きやデトネーション、希薄混合気によるピストンの穴あきなどが原因で、燃焼室にギザギザのダメージを負ったまま走っている2ストエンジンは多い。
純正デザインの完全なる復刻版ではなく、いかにも削り出しの雰囲気を残した仕上がりが印象的なシリンダーヘッド。鋳物と違って密度が濃い無垢材なので、高剛性なのだ。
国内コンロッドメーカーにオーダーした750ss/H2用のコンロッドキット。スモールベアリング付きで価格は2万2000円(1気筒分)。クランクのオーバーホール時に、交換部品の調達で困ることはなくなる。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
バイクいじりの専門誌『モトメカニック』のお買い求めはこちら↓
あなたにおすすめの関連記事
シンプルなメカニズムとスリムなスタイルが融合。絶版車だから味わえる空冷シングルの魅力 「無事之名馬(ぶじこれめいば)」の格言どおり、発売から40年に渡るロングセールスを記録したヤマハSR400は比肩す[…]
練習走行/模擬レース/オフミーティング…。キャブレターやサスペンションのセッティングにも使える貴重な機会 全国各地のサーキットで走行会やイベントが開催されている中で、このアストライドならではの魅力は、[…]
タンク内部や塗装のサビはサビキラーシリーズで強力除去 サビの上から直接塗れる塗料、サビキラープロを開発したBAN-ZIが、徹底的にサビを研究することで誕生したサビ取りケミカルが「サビトルキラー」と「サ[…]
グルッと回してスムーズにタイヤを外せる便利工具 過去に個人ガレージを取材した際に、このようなマニュアル式タイヤチェンジャー(DIYの手作り品)を見たことがあった。作業の様子も確認したのだが、それはもう[…]
コンパクトなのに3系統の電源が取り出せるキジマの「アクセサリーパワーユニット」 電気メンテやカスタムが得意なサンデーメカニックなら、電源の重要性は理解できるはず。USB電源やグリップヒーターを取り付け[…]
最新の関連記事(iB井上ボーリング)
熱膨張率の均一化によって様々なアドバンテージがある 2ストローク/4ストロークエンジンを問わず、エンジン性能を向上するためには様々な課題や問題がある。特に大きな課題は、“熱膨張率”に関わる問題だ。 「[…]
アルミスリーブは圧倒的な放熱性を誇る iB井上ボーリング(以下iB)が取り扱う内燃機加工修理の中で、とくに、大きなシェアを占めているのが“空冷エンジン”のシリンダー。 減らないアルミシリンダー「ICB[…]
何よりも高耐摩耗性の実現 圧倒的な耐摩耗性を誇るのが、アルミめっきシリンダーの大きな特徴である。iB井上ボーリングが、アルミめっきスリーブを作ろうと考えた最大の理由は、同社の社是でもある「減らないシリ[…]
現代のめっきシリンダー技術を、往年の名車や旧車エンジンに オイル交換をしっかりかつ定期的に行っていても、長年乗り続けることでどうしてもすり減ってしまうのが鋳鉄シリンダースリーブ。そんな鋳鉄スリーブに対[…]
減らないシリンダーづくりを現実的にした技術「ICBM」 金属表面の硬度を表すひとつの基準にビッカース硬度がある。鋳鉄の硬度が45から、硬いスリーブ素材でも140程度のデータに対して、ICBM®シリンダ[…]
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
製品の概要と価格情報 デイトナ(Daytona) オイルフィルターレンチ 96320は、カートリッジタイプのオイルフィルター脱着専用工具。仕様は14面 64mmで、ホンダ/ヤマハ/カワサキ向けのデイト[…]
原付バイクのオイル交換目安とは? 交換頻度のポイント 内燃エンジンにとって、潤滑/冷却/密封/清浄分散/防錆を担うエンジンオイルは、まさに血液とも言うべき重要なパーツです。 常に高温にさらされてエンジ[…]
バイクのドラムブレーキ「スパッ」と戻りますか? ブレーキの操作性ってバイクに乗るときの「気分」に影響しますよね? みなさんのバイクのドラムブレーキ、レバーを離した時に気持ちよくスパッ!と戻りますでしょ[…]
幻のモペット「ホンダホリディ」 昭和の時代、ホンダが開発したモペット「ホリディ」の正式名称は「ホンダホリディ」、型式はPZ50。1973年頃「ブーンバイク」というアイデアを基に、ホンダ社内のアイデアコ[…]
PROGRIP専用の信頼接着剤 デイトナ(Daytona)の「グリップボンド PROGRIP 耐振ゲルタイプ専用 12g 93129」は、PROGRIP用に設計された専用接着剤です。容量は12gで、初[…]
人気記事ランキング(全体)
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る ──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。 とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテ[…]
お手頃価格のヘルメットが目白押し! 【山城】YH-002 フルフェイスヘルメットが38%OFF コストパフォーマンスと信頼性を両立させた山城の「YH-002」フルフェイスヘルメット。大型ベンチレーショ[…]
後発のライバルとは異なる独創的なメカニズム 近年では、日本製並列4気筒車の基盤を作ったと言われているCB750フォア。もっとも細部を観察すると、この車両のエンジンには、以後の日本製並列4気筒とは一線を[…]
まさかのコラボ! クロミちゃんがホンダバイクと出会う ホンダがサンリオの人気キャラクター「クロミ」と、まさかのコラボレーションを発表した。クロミがバイクに乗りたくなるというストーリーのオリジナルアニメ[…]
世界初公開のプロトタイプ&コンセプトモデルも登場予定! ホンダが公式素材として配布した写真はモーターサイクルショー展示車および鈴鹿8耐時点のもの、つまりミラー未装着の車両だが、JMS展示車はミラー付き[…]
最新の投稿記事(全体)
10/1発売:カワサキ「Ninja ZX-25R SE/RR」 250ccクラスで孤高の存在感を放つ4気筒モデル、「Ninja ZX-25R」の2026年モデルが早くも登場する。今回のモデルチェンジで[…]
「世界初の量産250ccDOHC水冷4気筒エンジン」が生み出す最上の乗り味 1983年3月。デビューしたてのGS250FWに乗った印象といえば「速い!というよりすべてがスムーズ。鋭い加速感はないけど必[…]
スマホ連携機能で魅力を増した、ボッシュ製ARASを備える最高峰ツアラー カワサキは「ニンジャH2 SX SE」の2026年モデルを11月1日に発売する。カラー&グラフィックの変更およびスマートフィンア[…]
地面を感じる直進安定性で日常の移動を安心快適に 決勝レース1で自己最高となる2位を獲得した第3戦を終え、全日本ロードレース選手権は8月下旬まで約2ヵ月間の夏休み。その間もいろいろと忙しいのですが、やっ[…]
ゼファーとは真逆のコンセプトで独り勝ちを掴む! 1989年のカワサキZEPHYR(ゼファー)をきっかけに、カウルのないフォルムをネイキッドと呼ぶカテゴリーが瞬く間に人気となった。 続いて1991年に、[…]
- 1
- 2