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2023年4月よりロイヤルエンフィールドのヒマラヤに新色が加わる。ヒマラヤの自然環境にインスパイアされたカラーリングをまとったニューバイクのニュースを見て、2022年8月に訪れたインドでの光景がまざまざと脳裏に蘇った……。またヒマラヤでヒマラヤを走りたいな! あの景色をまた眺めたいな! そんな思いに駆られつつ、中断していたヒマラヤツーリング「モト・ヒマラヤ」を振り返りたいと思う。
●文:ミリオーレ編集部(村田奈緒子) ●写真:河野正士、Moto Himalaya 2022クルー、@dustino_dstn、村田奈緒子 ●外部リンク:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム
【 Moto Himalaya 2022 】ヒマラヤ旅のレポート
準備〜インド入国編:ヒマラヤでヒマラヤを走る! バイクに乗り始めて7カ月、早くも壮大な夢が実現?【with HIMALAYAN vol.10】
Moto Himalaya 2022:Day01-02 高山病予防の休息日、とにかくヒマラヤだらけの街で過ごすの巻【with HIMALAYAN vol.11】
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Moto Himalaya 2022:Day06 ヒマラヤでインド人のバランス感覚に思いを馳せるの巻【with HIMALAYAN vol.15】
「ただいま」。そして再び「いってきます」
ここまでを簡単に振り返りたいと思う。40歳でバイクに乗りたいと思い立ち、普通二輪&大型二輪の免許を取得。2022年2月に人生初バイク・ロイヤルエンフィールドのヒマラヤを購入したと同時にバイクライフが本格的にスタートしたミリオーレ営業・ムラタ。「いつかヒマラヤでヒマラヤを走れたらおもしろいですよね〜」と常々冗談のように話していたのだが、その夢がバイクに乗り始めて7ヶ月でかなった! まさに夢の日々だった2022年の夏……。
ということで、標高3500〜5000mを駆け抜けるヒマラヤ冒険ツーリング旅の7日目。レーの常宿から見た朝の景色は美しく、そして野犬はうるさい。つい数日前にはじめてここに泊まった時はすべてが新鮮だったが、数日のテント泊を経験してレーに戻ってきて感じたのは「ただいま」的な感覚。
宿の1階にあるストールやラグを扱うショップの兄さんは「おかえり〜、飲む?」とチャイをもてなしてくれるし、ホテルのシェフだって「今日のは辛くないよ」とカレーの辛さを私たち向けにアレンジしてくれる。もう我が家じゃないか、ここ? シャワーだってお湯が出るし、夜はアルコールもある! 快適すぎる一晩を過ごして、旅の疲れがほぐれていくのを感じたのだった。
とはいえ我々の目的はモト・ヒマラヤを完走することである。途中離脱した私だが、今日からはバイク復帰するぜぃ! と意気込んだものの、5日目の転倒で痛めた足が痛い。とはいえ、バイクで走りたいんです(涙)と思っていたら、ツアーに帯同しているドクターが朝イチにきてくれて痛み止めを処方してくれた。至れり尽くせりのケア、ありがたしである。
標高4500mの高原にある湖「ツォ・モリリ」へ
前の晩に食堂に掲示される翌日のスケジュール。
この日はレーから出発し、標高4500mの高原にある湖「ツォ・モリリ」を目指す。走行距離は約220km。
チベット北西部からラダック南東に広がるチャンタン高原にツォ・モリリはあるのだが、平均標高が高い場所にも関わらずツォ・モリリ以外の湖も点在する場所とのこと。冬はマイナス30℃以下になることもある厳しい環境だが、現地にはチャンパと呼ばれるチベット遊牧民が暮らしているという。
岩肌がむきだしの谷を走り抜け、やがて舗装路がなくなり、はい! みんな大好き川渡り〜。なんて冗談が言えるほど、ここまでの川渡りの想像を超える川渡りがこの後、私たちを待ち受けていた……。
橋がないなら、川を渡ればいいのさ!
悪路もありつつも、どこまでも青く続く空、見飽きることのないヒマラヤの景色に魅了されてこの日のゴールを目指していたのだが、途中しばらくストップすることがあった。
豪雨で渡るはずだった橋が工事中となっており、予定していなかった川渡りが登場。流れも早く、川底も見えないような深さのある川で、1台ずつ渡るため渋滞ができていたのだ。
自分の順番がくるまでドキドキしながら待つのだが、目の前では運悪く川の途中で転倒し、ずぶ濡れになるメンバーも続出。渡り切れば拍手と歓声が、転倒したらその場にいる全員の「あーーー!(残念)」という落胆と励ましの大声。
目の前で転倒&ずぶ濡れになるメンバーも……川が深すぎて、足がつくつかない含めてすべては運次第。とはいえ、転倒したらクルー(ドクター含む)が救出してくれる! ありがたい!
運を天に任せるしかない……とアクセルを回して川にドボン。あわわわわわわ……自分で進行方向がコントロールできないと思っていたら、川底のくぼみで停止。とはいえ、なんとか足がついたのでふんばっていたら、なんとクルーメンバーがかけよってきてくれて支えてくれたのだった(涙)。
何度かエンストしながらくぼみから脱出し、えっちらおっちら渡り切ったら「ナオコサーン、Good!」とか「You’re strong woman」と知らないインド人に褒められたり。バイクに乗り始めて7ヶ月、とりあえず川も渡れるようになった。着実に進化しているなと自画自賛したのだった。
川渡りのスタート地点で、私たちの後ろについたライダーのなかにいた女性。私がスタートするときに目が合ったら「Good Luck!」と声をかけてくれたのだが、私の後に渡った彼女も転倒することなく無事にゴール! お互いよかったねぇ〜!と喜び合う。彼女はデリーからラダックまで1000kmツーリング旅の途中というつわもの。バイクはYAMAHA FZ-S150。旅の合間のほんのひとときだが、心に残るなにかを共有できたと思う。
好奇心をつねにかき立ててくれるヒマラヤの自然
デザート?おやつ?にスニッカーズも用意してくれていた。
無事に川渡りを終えたら、クルーが用意してくれたランチで青空ピクニック。川渡りでブーツの中まで浸水したので、靴下などを乾かしがてら裸足でのんびりくつろいだら、この日の宿泊地でもあるツォ・モリリを目指す。
その道中は、毎度のことながらガードレールがない未舗装の峠道あり、ガレ場あり、渋滞ありといろいろだが、そんなことではもう動揺せず。道を進むたびに眼前に広がる景色に感激し、その景色に飽きることはなく、もっと見たい、もっと奥地に行ってみたいという好奇心が生まれる。
この先になにがあるのだろうか? そんな思いに応えるかのように、ヒマラヤはどんな道も力強く進んでいく。決して馬力のあるバイクではないのだが、ヒマラヤを走るために生まれたバイクの由縁を身をもって知ったように思う。
ツォ・モリリと埃などでドロドロに汚れながらもたくましく走るロイヤルエンフィールドのヒマラヤ。
日が暮れる前に、ツォ・モリリの湖畔ちかくにあるテント宿泊地に到着。各々のテントにはバケツいっぱいのお湯を用意してくれており、足湯で旅の疲れを癒す。
明日はどんな景色と出会えるのだろうか? 1.5日ぶりにバイクに乗れたことにも喜びを感じながら、この日は就寝した。
I want to go to the Himalayas again with Himalayan!
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