バイク転倒時、タイヤが曲がっても安心な2つの修復方法【工具なし/ありで解説】
楽しいはずのツーリングが一瞬で暗転する「転倒」
なんたって2輪は本来、不安定な乗り物。転倒でもしようものなら、ケガしたり、バイクも壊れたりと、気分も落ち込んでサイテーな事態になる可能性は否めません。しかも・・・
バイクを起こしてみたらフロントタイヤが変な向きに曲がっていた!! ・・・という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。これ、ホイールが歪んだのかと驚いてしまいがちですが、転倒の衝撃でシャフトやフロントフォーク、ステムの取り付け部分の歪みが原因になっていることがほとんどなのです。
実際に、オフロード走行では割とメジャーな症状で、転倒すると間違いなくフロントホイールがあさっての方向に向いちゃうのですよ。
歪んだホイール向きの直し方(工具なし編)
この前タイヤが、左右どちらかに歪んだ状態で走行できないことはないのですが、当然のごとくハンドルをまっすぐにすると、バイクが曲がっていってしまいます。また、フロントフォークやその他諸々が歪んでいるので、ゆっくり速度なら走れないことはないのですが、バイクの許容その他諸々で危険な状態に間違いありません。
てことで、ちょいと(かなり)強引な方法ではありますが、ホイールの方向を強制する方法をご覧に入れましょう。
まず、ホイールの向きが曲がってる方向をしっかり確認して、その反対方向にハンドルを切ります。このとき、ハンドルストッパーに当たるまでしっかり切っておくことが重要です。そうしたら・・・
乱暴かと思われるかもしれませんが、中途半端に蹴ると戻らないので、思いっきり蹴るのがコツ。一発か二発蹴れば、さしものホイールもかなり戻ると思うので、今度はそのホイールを両足の間に挟んで、ハンドルを持って左右にウニウニとヒネってやります。
最初は大きく。そして、振れ幅を徐々に小さくしていくと、各部品の歪みが矯正されて、暫定ではありますが、フロントホイールがまっすぐに向いてくれるはずです。
この方法、オフロード走行では日常茶飯事にやる矯正で、草レースなどでも草むらに突っ込んだり転倒したマシンのフロントホイールを、ばっこん!ばっこん!と蹴っている姿を見ることができます。
ただしこの方法は、衝撃で曲がってストレスがかかっている部品に対して、逆にストレスを与えてしまう、応急処置的な方法です。走ってる最中に戻ってしまったり、不自然な挙動が出てしまうことがあるので、安全な場所までゆっくり走って、工具を使った次の方法で直してください。
歪んだホイール向きの直し方(工具あり編)
工具が使える場所に移動できたら、今度は工具を使って正式に歪みを直します。
まず、取り付けボルトを緩めます。
といっても全部緩めると意味がないので、真ん中にあるステアリングステムのアンダーブラケット(三又)のフロントフォークをクランプしているボルト、これだけは残して、それ以外の「アクセルシャフト」「トップブリッジのフロントフォーククランプボルト」これらを少し緩めてください。
これらのクランプボルトを緩めることによって、フロントフォークに蓄積されたストレスが解放されるので、比較的容易に矯正が可能となります。
やっぱりここでも、ホイールを両足の間に挟んで、ハンドルを持って左右にウニウニとヒネってやります。
最初は大きく、そして振れ幅を徐々に小さくしていくと、各部品の歪みが矯正されて、それぞれの部品が本来あるべき場所に落ち着いていくはずです。
正面から目視で確認してみて、フレームの中心点と照らし合わせて、フロントホイールとフロントフォーク、ステム、ハンドルがまっすぐになっていたらOK。
忘れないうちに、緩めたボルトすべてを適切なトルクで締めつけてください。
いかがでしょう?工具なしで矯正したものに比べると、段違いにまっすぐになっているのが見て取れると思います。
不安があれば必ずプロのチェックを!
いかがでしたでしょうか? バイク、とくにオフ車に転倒はつきものですが、歪んだまま走るのはとても危険です。まずは応急処置で大まかな歪みを直してから、整備ができる場所までゆっくり走って、それから工具を使って矯正すれば、軽度の歪みならば、そのほとんどを直すことが可能です。
ただし、ぱっと見はまっすぐになったように見えても、ハンドルバーが曲がってしまっていたり、ひどい状態になれば、フロントフォークが曲がることもあります。ご自身の判断に不安がある場合は、迷わずバイク屋さんや、ディーラー整備工場などのプロへの修理依頼しましょう。
とはいえ、転倒しないのが一番なんですけどね! 皆様、ツーリングは安全第一で楽しんでください。この記事がイザという時の皆様の参考になれば幸いです。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました~!
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