真夏のバイク走行中、熱中症には本気で要注意! 初期症状や対策法を知っておこう

●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
今年の夏も厳しい暑さが連日続いており、体温を超える最高気温を記録する所もあったり。それでも、この夏休みにバイクに乗って旅行やツーリングを計画しているという方は多いことでしょう。
しかしながら、基本的に長袖長ズボンにヘルメットを着用したままバイクを運転することにもあって、ライダーは”熱中症”の危険性と常に隣り合わせである、と言えます。
夏だからこそ知っておきたい。熱中症はどういった時に表れやすい?
基本的に、熱中症を引き起こす条件は、環境/身体/行動の3つとされています。
まず「環境」要因については、気温/湿度の高さはもちろんのこと、風の状態にも左右されます。風が吹いてないと汗が蒸発しにくくなってしまい、体温の調節が難しくなることで脱水症状に陥りやすくなってしまうのです。
次に「身体」要因としては、健康状態の悪さや、激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じる、あるいは暑い環境に体が十分に対応できないことなどが挙げられます。
そして「行動」要因には、長時間の屋外作業/水分塩分補給ができない状況/激しい運動/慣れない運動などが該当します。
これら3つの要因が重なることで、汗/皮膚温度が調整できず、体温の上昇/調整のバランスが崩れてしまい、熱中症に陥りやすくなってしまうのです。
熱中症になると、まず初期症状として立ちくらみ/めまい/足がつるといった症状を起こします。これは、体温が上がって体の表面を流れる血液の量が増えることにより、脳に十分な血液が送られず酸欠状態になるためです。
気温の上昇だけでなく、湿度が高い空間にいても熱中症の要因となる。
では、もしもバイクでの走行中に熱中症の初期症状が表れた場合、どのような対応をすれば良いのでしょうか。
まずはとにかく、安全にバイクを停められる場所を探し、休憩しましょう。日陰で風通しのよい場所があれば、そういった場所を選んでください。エアコンの効いた屋内施設があれば、なお良いでしょう。
続いて、十分な水分補給をおこないます。飲料水でも問題ありませんが、不足した塩分/電解質を補給する役割のある経口補水液を口にすれば、さらに効果的です。
またこの際、冷たいペットボトルを首/わきの下といったの太い血管のある部分に当てて、身体を冷やすのも重要です。屋内施設で休憩できた場合、化粧室で手首を冷やしたり、濡れタオルを作って前述の部位を冷やすのも良いかもしれません。
なお、身体を冷やし水分を補給したからといって、すぐに出発してしまうと、短時間で再発する可能性が高く危険なので、絶対にやめましょう。体調が回復するまでしっかり休み、体温を下げることが大切です。
日陰と日向ではおよそ15℃の差があると言われている。
ライダーなら知っておきたい! 熱中症の対策方法とは?
では、熱中症を予防する対策として、どのような方法が挙げられるのでしょうか。
まず何よりも、こまめな水分/塩分補給を行うべきです。
当たり前ながら、汗をかくと通常よりも体内の水分を失う量が多くなります。熱中症に陥る可能性を少しでも抑えるためには、少なくとも15〜30分に一度、汗の量に応じて200~250ml程度を目安に、こまめに水分補給しましょう。
また夏場の運転の場合、前述のように電解質バランスが整えられた“経口補水液”を飲むのが理想的と言えます。ただここで注意したいのが、経口補水液を飲み続ける/多量に摂取しさえすれば熱中症にならないのでは? といった考えに陥ることです。
経口補水液を飲み過ぎると、糖分/塩分の思わぬ過剰摂取につながります。 実際、上記のような考えに陥った人が、経口補水液の飲みすぎで体調不良を起こした事例も数多くあるようです。
また、高血圧/糖尿病/心臓疾患/腎臓疾患などがある人は、事前に医師と相談して、適切な摂取を心がけましょう。
ちなみに、いわゆるスポーツドリンクの類いでも塩分を補給することはできるものの、それ以上に糖分が多く含まれているというデメリットもあるので、こちらも飲み過ぎには注意が必要です。
さて、その水分の摂り方についてですが、ドリンクホルダーが備わったバイクであれば、信号待ち時などで水分補給ができますが、それ以外のバイクに乗っている人にはなかなか難しいように思えます。
そのような場合、ハイドレーションチューブを利用して、背負ったリュックに入れた飲料水を吸引する方法もあります。これは鈴鹿8時間耐久ロードレースなどで実際にレーサーが利用している方法です。ヘルメットからチューブが伸びている様子を観たことのある人もいるかもしれません。
また、水分補給とは別に、冷感インナーを着用するのも熱中症対策には効果的。特に通気性/速乾性/吸汗性の高いものを選ぶことで、より快適に走行できます。ニオイが気になるという人は、消臭性能が備わったものを着用するのも良いでしょう。あわせてメッシュ生地が使用されたジャケットを着用するとさらに効果的です。
1年を通して長袖/ヘルメットを着用して走行するライダーにとって、特に夏場の走行は熱中症に陥る可能性が高まり、危険です。
こまめな水分補給/冷感インナーの着用などの対策を講じて、夏場でも快適なバイクライフを過ごしましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(夏の暑さ対策)
500mlの水で7時間、上半身全体をクールに この涼神服、シャツの裏面に中空糸膜が縫い付けられており、これを通じて生地全体がしっとりと濡れる仕組みとなっている。気化熱を利用して体温を吸収し、涼を得ると[…]
夏場のライディングは暑さ対策ばかりに目が行きがちですが、男女関係なく日焼け対策も同時に講じておくと安心です。 日焼けと聞くとシミ/シワの原因になるもの、と捉えている人も多いかもしれませんが、そのほかに[…]
暑さの厳しい8月。この時期は特に脱水症/熱中症の危険性が高く、夏場にツーリングを予定しているライダーは対策を練っておきたいところです。 脱水症/熱中症を予防するためには、定期的な水分/塩分補給が欠かせ[…]
全国各地で熱中症警戒アラートが発令されるほどの猛暑が続く、2023年の夏。しかし夏場であっても、基本的にバイクに乗るときは長袖長ズボン/ヘルメット/グローブなどを着用しなければいけません。その際に特に[…]
夏は外に出るのも億劫な季節。特に10年に1度の猛暑と言われているこの夏は、日中の最高気温が35℃を優に超え、40℃に迫る地域も珍しくありません。 ただ、どれだけ暑くてもバイクは運転したいもの。しかし、[…]
最新の関連記事(Q&A)
高速道路の中央分離帯に植物が植えられているワケ SAやPAなど、高速道路の至るところに存在する大小さまざまな緑地。特に走行しているとしばしば目に入ってくる中央分離帯の緑地は、いつ見てもきれいに整備され[…]
全国各地で熱中症警戒アラートが発令されるほどの猛暑が続く、2023年の夏。しかし夏場であっても、基本的にバイクに乗るときは長袖長ズボン/ヘルメット/グローブなどを着用しなければいけません。その際に特に[…]
『通称』と『道路交通法における区分』、『道路運送車両法による区分』がある バイク雑誌やWEBヤングマシンの記事を読んでいて「これってどうなってるの?」と思った方、正直におっしゃってください。我々も混乱[…]
ヘルメットには、ライダーの命を守る重要な役割があります。そのため定期的な手入れは必要不可欠ですが、どのように行うのが適切なのでしょうか? 汚れたら/臭くなったら洗うのではなく、手入れは定期的に 近年は[…]
今年の夏は例年よりも暑く、ライダーにとっては非常に厳しい季節。実際、すでに体温に近い最高気温を観測する日が続いています。 普段の生活であれば、暑くなったら涼しい衣服を着用して暑さに対処しますが、バイク[…]
人気記事ランキング(全体)
とにかく絵になる永野芽郁さんとハーレーダビッドソン 11月23日に東京・日本武道館で行われた、女優・永野芽郁さんの単独イベント「非公開」の会場に、永野さんがカスタムした自身のハーレーダビッドソン「スト[…]
NS→NSRへとつながった、MVXの苦い経験 1980年代前半から1990年代にかけての250レーサーレプリカブームの主役と言えば、前半はヤマハRZ250/スズキRG250Γ/ヤマハTZR250。そし[…]
どうして不必要に思えるほどシフトアップを繰り返すのか? A. 4,000rpm以上の中速域でパーシャルスロットル(加速も減速もしないスロットル開度)を嫌うからです。他にも常に少し駆動している状態をキー[…]
「黒船」が来た! 中型クラスに異状あり! 400㏄クラスという排気量カテゴリーは、免許制度の関係で生まれた日本独特の排気量帯で、ヨーロッパでは日本で販売するモデルの500㏄版を販売するなどしてきました[…]
どのメーカーにもない鮮烈なカラーとして“ライムグリーン”に着目! カワサキといえばライムグリーンがブランドのイメージカラー。なんと50年以上もの長きにわたり、変わらず定着しているのだが、なぜこの色だっ[…]
最新の投稿記事(全体)
電子制御デバイスを充実させてより快適で安全なバイクを求めやすく ロードスターとは、クルマではオープンカーを意味し、狭義では幌付きのものをいう。しかしBMWがバイクに対して使うロードスターとは、ネイキッ[…]
“ツアークロスV”に込められた思い Vol.1【11年ぶりのモデルチェンジ! アライヘルメットの中で最も高級な多機能ヘルメットに!】>>記事はこちら 様々なニーズに応えるマルチパーパスヘルメット アド[…]
本来なら特例税率を停止する「トリガー条項」が発効する条件になっているが…… 岸田内閣の、というよりも岸田首相の迷走が止まらないなか、これまでかたくなに拒絶してきたガソリン税を一部軽減する「トリガー条項[…]
ハーレーデビューにうってつけ 普通二輪免許で乗れるハーレーの世界戦略モデル「X350」、そしてビッグバイクビギナーにも最適な「X500」の販売が好調だ。 2023年10月に発売したばかりだが、わずか1[…]
第2世代となったBMWヘリテイジは世界初のテレスコ採用モデルがモチーフ BMWヘリテイジシリーズとして登場した『R nineT』は、BMW創業90周年に合わせて登場したモデルで、それまでRシリーズに搭[…]
- 1
- 2