[ビギナーQ&A] タコメーターって、なんで名前に“タコ”が入ってるの?
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
エンジンやモーターの回転数を示すタコメーターは、特にMTバイクの運転中に活躍する計器ですが、この”タコ”とは何を意味しているのでしょうか。
素朴な疑問…“タコメーター”の名前の由来とは?
バイクにはさまざまな計器が搭載されており、走行に必要な情報はコックピットから確認することができます。
近年では、メーター類のデジタル化に伴い、燃費/外気温/走行モードだけでなく、ナビ/オーディオ機能などクルマ顔負けのメーターディスプレイが搭載されているモデルも登場しています。
そのなかで、計器のひとつである”タコメーター”は、エンジンのクランクシャフトの回転数を示す役割をもち、スピードメーターとともにアナログの時代から第一線で活躍してきました。
タコメーターは主に、機械式と電気式の2種類に大別されます。機械式は古いバイクでよく使用されていたもので、クランクシャフトの回転をギヤとワイヤーで取り出し、直接計測器に伝達する仕組み。電気を使用しないため、アナログ表示一択となります。
一方で、電気式は現状メインとして使用されている機構で、エンジンの点火回数をセンサーで感知し、計測器に伝達する仕組みです。
バッテリーレスを除いてほぼすべての車両に後付けすることができ、機械式と異なってアナログ表示とデジタル表示両方のラインナップがあるという特徴もあります。
このようにバイクには欠かせない装備であるタコメーターですが、名前に“タコ”がついているのには何か理由があるのでしょうか。
タコメーターという名前の由来は8本足の海洋生物であるタコから来ているわけではなく、古代ギリシャ語で速度を表す”TAXOS”を由来としているのです。
ちなみに「タコメーター(tacho meter)」はアメリカ英語であり、イギリス英語としての表記は「レブカウンター(rev counter)」です。”rev”は”revolution”の略で、回転を意味します。
タコメーターが表すエンジン回転数、何かメリットはある?
では、エンジンの回転数を知ることで、一体どのようなメリットが生じるのでしょうか。
まず最大のメリットとして、エンジンの状態を可視化できるところにあります。
現代の高性能/高品質なバイクではあまり見られませんが、ひと昔前までのキャブレター仕様のバイクでは、点火系に異常をきたす不具合が多く発生していました。
こうした不具合原因の究明のためには、まずエンジンの状態を理解する必要があります。
タコメーターによって回転数を定量的に把握することで、ある程度ですが、想定される事象や確認すべき部品を絞り込むことができたのです。
特に古いバイクでは、空気の密度が異なる夏と冬において混合気の割合も変わってしまうため、キャブレターのパイロットスクリューでガソリンの濃度を調整する必要がありました。
この調整において、適切な回転数でのアイドリングや、ふけ上りなどのスロットルレスポンスを確認するため、タコメーターによる回転数の可視化は非常に役立つものであったのです。
次のメリットとして、最適な走行の仕方がわかることが挙げられます。オートマチックやCVTが主流となった自動車に対して、バイクは未だマニュアル人気が根強く、車種も豊富です。
走行に応じて自動でシフトチェンジしてくれるオートマチック車とは異なり、マニュアル車はライダー自身が適切にシフトチェンジする必要があり、そのためには回転数の把握は必須となります。
例えば、坂道発進時での回転数不足はエンストを引き起こしやすく、立ちごけを誘発します。また、高回転時のシフトダウンは過回転およびエンジンブレーキによるショックが大きくなり、エンジンにもライダーにも大きな負荷がかかります。
また、エンジンの性能を最大限に引き出すためには、とにかく回転数を上げればよいと言うものでもありません。最大トルクおよび最大馬力はそれぞれ発生する回転数域が異なるため、スポーツ走行などではその域を把握し維持することが重要となります。
前述の通り、タコメーターの名前の由来は、古代ギリシャ語で速度を意味する”TAXOS”から来ています。タコメーターは、高性能化した現代のバイクにおいて必須ではないものの、エンジンの状態を把握するためには便利な計器なので、マニュアル車のライダーにとっては大事な存在と言えるでしょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(Q&A)
スーパースポーツの前傾姿勢は特にコーナリング向き! A.スーパースポーツとネイキッドでは、前傾度の違いだけでなく、シート座面へ体重の載る位置、重心となるエンジン位置とライダーの関係も違います。体幹移動[…]
ハイグリップ仕様でなくても溝が少なく浅い最新スポーツタイヤ! A. 確かに最新のツーリングを意識したスポーツタイヤは、少し前のサーキット専用のハイグリップタイヤのように、トレッドに刻まれた溝が少なく、[…]
車体を傾けたら真っ先に接地する“バンクセンサー” カーブを曲がるために深くバンクさせると、車体のどこかが地面に接地して、ゴリッとかガーッという音と共にステップから衝撃がきてビックリしたことがあるライダ[…]
振動の低減って言われるけど、何の振動? ハンドルバーの端っこに付いていいて、黒く塗られていたりメッキ処理がされていたりする部品がある。主に鉄でできている錘(おもり)で、その名もハンドルバーウエイト。4[…]
自賠責保険をカバーする任意加入の保険 自賠責保険との違い 任意保険は、自賠責保険と同じく、事故で生じた莫大な損害を金銭で解決するため仕組みではありますが、両者では賠償額および適用範囲が異なっています。[…]
人気記事ランキング(全体)
私は冬用グローブを使うときにインナーグローブを併用しています。防寒目的もありますし、冬用グローブを清潔に保つ目的もあります。最近、長年使い続けたインナーグローブが破れてしまったこともあり、新品にしよう[…]
TRIJYA(トライジャ):カフェレーサースタイルのX500 パンアメリカやナイトスターなど水冷ハーレーのカスタムにも力を入れているトライジャ。以前の記事では同社のX350カスタム車を掲載したが、今回[…]
高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないとバルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁! 回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっている[…]
従来は縦2連だったメーターが横2連配置に ヤマハは、2004年に欧州で誕生し、2017年より日本を含むアジア市場へ(250として)導入されたスポーツスクーター「XMAX」の2025年モデルを欧州および[…]
2018 カワサキ ニンジャ400:250と共通設計としたことでツアラーから変貌(2018年8月30日公開記事より) 2018年型でフルモデルチェンジを敢行した際、従来の650共通ではなく250共通設[…]
最新の投稿記事(全体)
アッパーカウルはフランスで882.5ユーロ 1980年代のGSX1100S KATANAをモチーフにしたスペシャルモデルを製作することは、S2コンセプトのスタッフが何年も温めていたアイデアだった。それ[…]
元々はブレーキ液の飛散を防ぐため フロントブレーキのマスターシリンダーのカップに巻いている、タオル地の“リストバンド”みたいなカバー。1980年代後半にレプリカモデルにフルードカップ別体式のマスターシ[…]
ライトグレーのボディにライトブルーのホイールが新鮮! ヤマハが「MT-25」の2025年モデルをインドネシアで世界初公開した。欧州で発表済みの兄弟モデル・MT-03に準じたモデルチェンジ内容で、現地価[…]
欧州&北米で昨秋登場した新型YZF-R3の250cc版 ヤマハはインドネシアで新型「YZF-R25」を発表した。2024年10月に欧州&北米で登場した新型YZF-R3と同様のモデルチェンジ内容とした2[…]
【’09VMAX開発秘話】2リッター「音魂(オトダマ)」は失敗だった 新VMAXの開発には実に十数年の歳月が費やされた。このプロジェクトを長い間推し進めてきた中心人物は開発の経緯をおよそ次のように語る[…]
- 1
- 2