MotoGPヘルメットメーカー 2023年勢力図!! クアルタラロ×HJCの巨額契約にアルパインスターズの新規参入も
独自の哲学&戦略でサポートを続けるアライヘルメットとSHOEI
一般ユーザーに販売されるのと同じ製品を提供するのがアライヘルメットのこだわりだ。レジェンドライダーのレプリカモデル(左:ダニ・ペドロサ 右:ニッキー・ヘイデン)も根強い支持を集める
アライヘルメットは、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)と中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が、引き続き、使用します。
かつて公式Twitterで「アライを被る数多くのレーサーは、契約金に関係なく、うちのヘルメットを選んでくれています。プロモーションのために莫大な契約金を払ってまで被ってもらうぐらいなら、その分をさらに護れるヘルメットのための開発費に回します。うちは生粋のヘルメット屋ですから」と発信した同社だけに、ここ数年は契約ライダー数こそ多くないものの、ダニ・ペドロサがKTMのテストライダーとなった今も使い続けるなど、サーキットにおいてもその信頼感は抜群だ。
「MotoGP関連のレースに出ているサポートライダーにももちろん契約金はお支払いしておりますが、あくまでも弊社製品の“頭を護る性能”と“レースに集中できる性能”にご賛同いただいているライダーです。最高峰の2輪レースの現場での耐久性などの検証、今後の製品の開発も含めて被っていただいております」と硬派な姿勢を貫きます。
インドネシアのKYTも2名で並びます。ファクトリー入りしたエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)とMotoGP初年度のアウグスト・フェルナンデス(GASGAS・ファクトリー・レーシング)が着用します。
SHOEIを被って走るのは、マルク(レプソル・ホンダ・チーム)とアレックス(グレシーニ・レーシングMotoGP)のマルケス兄弟に、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)の3名。
こちらも数はさほど多くありませんが、長らくブランドの顔を務めるマルクとのコラボレーションモデルを幅広く展開し、ビッグネームの価値を販売戦略にうまく活用。「レーシングモデルをはじめとした製品開発及び宣伝広報面を考慮してサポートを行っております」とのことだ。
余談ですが、ビッグネームといえば、1992年と1993年の2年間、F1のアイルトン・セナがSHOEIを被っていて、当時、F1にハマっていた筆者は、ベースの4輪用に帽体の形が似ている『ワイバーン』を購入した思い出が(笑)
シャークも3名。ラウル・フェルナンデス(アプリリアRNF・MotoGPチーム)は、MotoGPルーキーの2022年はHJCユーザーでしたが、2021年まで被っていた験の良いシャークに戻した格好です。
同じくKTM陣営から離脱したチームメイトのミゲール・オリベイラ(アプリリアRNF・MotoGPチーム)、かつての旭日旗デザインが印象深いヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)が、フレンチブランドでレースに挑みます。
SHOEIはマルク・マルケスとのコラボレーションモデルも展開。ネームバリューを活用している
ロッシ門下生の多くが被るAGVが最大勢力!
契約ライダー数が一番多いのは、イタリアのAGVで合計5名。
バレンティーノ・ロッシが被っていた影響で、『VR46ライダーズアカデミー』の弟子たちの多くが資本関係のあるダイネーゼのレーシングスーツと合わせてAGVを選択。ポル・エスパルガロ(GASGAS・ファクトリー・レーシング)は、KTM陣営へと復帰するのに当たって、ヘルメットもAGVに戻しました。
2020年王者のジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)は以前からAGVユーザーでしたが、ゼッケンがロッシの“46”に対して“36”、色も明るいイエローとあって、体制発表会での姿は、長身も相まって、なんとなくかつてのロッシを思わせました。
以前からAGVユーザーだったジョアン・ミルはレプソルカラーに合わせてイエローベースにデザイン変更。マシンにまたがるその姿は、長身も相まって、なんとなくかつてのロッシを思わせます
ロッシ門下生では、ディフェンディング・チャンピオンのフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)のみが、SUOMYのヘルメットにアルパインスターズのレーシングスーツというのが意外です。
【使用ヘルメット一覧】
■レプソル・ホンダ・チーム
36.ジョアン・ミル(AGV)
93.マルク・マルケス(SHOEI)
■LCRホンダ
30.中上貴晶(アライヘルメット)
42.アレックス・リンス(NOLAN→スコーピオン)
■モンスターエナジー・ヤマハ・MotoGP
20.ファビオ・クアルタラロ(スコーピオン→HJC)
21.フランコ・モルビデリ(AGV)
■ドゥカティ・レノボ・チーム
1. フランチェスコ・バニャイア(SUOMY)
23.エネア・バスティアニーニ(KYT)
■プリマ・プラマック・レーシング
5. ヨハン・ザルコ(シャーク)
89.ホルヘ・マルティン(シャーク→アルパインスターズ)
■ムーニー・VR46・レーシングチーム
10.ルカ・マリーニ(AGV)
72.マルコ・ベッツェッキ(AGV)
■グレシーニ・レーシングMotoGP
49.ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(SHOEI)
73.アレックス・マルケス(SHOEI)
■アプリリア・レーシング
12.マーベリック・ビニャーレス(アライヘルメット)
41.アレイシ・エスパルガロ(KYT→オージーケーカブト)
■アプリリアRNF・MotoGPチーム
25.ラウル・フェルナンデス(HJC→シャーク)
88.ミゲール・オリベイラ(シャーク)
■レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシング
33.ブラッド・ビンダー(HJC)
43.ジャック・ミラー(AGV→アルパインスターズ)
■GASGAS・ファクトリー・レーシング
37.アウグスト・フェルナンデス(KYT)
44.ポル・エスパルガロ(HJC→AGV)
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
2000年代に入って勢力を急拡大したスターライン MotoGP・第14戦サンマリノGPでアンドレア・ドヴィツィオーゾ(WithU ヤマハ RNF・MotoGPチーム)が20年にわたる世界GPでのキャリ[…]
世界的な人気を持つサッカーとモーターサイクルロードレースは、ヨーロッパを中心に発展してきたという共通点を持っています。 産業構造によって状況は異なり、特にたくさんの費用がかかるモータースポーツ人口は、[…]
「ドゥカティがベストなうちはマシンを変えるつもりはない」 近い将来、バレンティーノ・ロッシ率いるVR46レーシングチームがヤマハのサテライト・チームになると噂され、それについて問われた際にロッシが答え[…]
第二次世界大戦時に女性部隊へ入隊、バイクに乗る初めての王女に! 2022年9月8日、イギリスのエリザベス2世(エリザベス女王)が、96歳で亡くなられました。世界中から集まったVIPが参列した国葬の様子[…]
総合トップはドゥカティ3年目のルカ・マリーニ! 3日間に渡って開催されたオフィシャルライダーのセパンテストが終了。3日目トータルで速さを見せたのはドゥカティ、最終日もドゥカティ&アプリリアが圧倒的な速[…]
最新の関連記事(モトGP)
「自分には自分にやり方がある」だけじゃない 前回に続き、MotoGP前半戦の振り返りです。今年、MotoGPにステップアップした小椋藍くんは、「あれ? 前からいたんだっけ?」と感じるぐらい、MotoG[…]
MotoGPライダーが参戦したいと願うレースが真夏の日本にある もうすぐ鈴鹿8耐です。EWCクラスにはホンダ、ヤマハ、そしてBMWの3チームがファクトリー体制で臨みますね。スズキも昨年に引き続き、カー[…]
クシタニが主宰する国内初のライダー向けイベント「KUSHITANI PRODAY 2025.8.4」 「KUSHITANI PRODAY」は、これまで台湾や韓国で開催され多くのライダーを魅了してきたス[…]
決勝で100%の走りはしない 前回、僕が現役時代にもっとも意識していたのは転ばないこと、100%の走りをすることで転倒のリスクが高まるなら、90%の走りで転倒のリスクをできるだけ抑えたいと考えていたこ[…]
電子制御スロットルにアナログなワイヤーを遣うベテラン勢 最近のMotoGPでちょっと話題になったのが、電子制御スロットルだ。電制スロットルは、もはやスイッチ。スロットルレバーの開け閉めを角度センサーが[…]
最新の関連記事(ヘルメット)
8月上旬発売:Kabuto「AEROBLADE-6 ADACT」 軽量コンパクトなフルフェイスヘルメットで、99%の紫外線と74%赤外線を軽減する「UV&IRカットシールド」を装備する。これによってヘ[…]
バイク用ヘルメットに特化した消臭・除菌機 MAXWINの「MUFU MF-C1」は、バイク用フルフェイスヘルメットなどの小空間に特化したオゾン除菌/消臭機で、ニオイのこもりやすいヘルメット内を15分〜[…]
2026年以降のFIM安全基準に合致したレーシング仕様フルフェイスヘルメット このたびRX-7Xに追加される『RX-7X FIMレーシング#2』は、2020年よりFIMカテゴリーのレースにおいて義務化[…]
1980~90年代を代表するイタリアンライダー、ルカ・カダローラのレプリカを復刻! ルカ・カダローラはイタリア出身のレーシングライダーで、1984年に世界GP125にデビュー。’86年にチャンピオンを[…]
コンセプトが異なる3種のフルフェイスにニューグラフィック登場 KabutoのフラッグシップであるF-17は、耐貫通性と衝撃吸収性を備える高強度複合素材帽体『A.C.T.-2』に、徹底した空力特性を加え[…]
人気記事ランキング(全体)
ミニカーとは何かがわかると登録変更のハードルもわかる まず「ミニカー」とは、法律上どのような乗り物として扱われるのか、基本的な定義から押さえておく必要がある。実はこれ、道路交通法上では「普通自動車」扱[…]
昭和レトロの世界が広がる神奈川県『中古タイヤ市場 相模原店』 昭和の夏休みって、どんなでしたっけ? 朝はラジオ体操に行って、午前10時頃からは仮面ライダーやウルトラマンの再放送。昼は学校や地域のプール[…]
2025年6月16日に83歳になったアゴスティーニのスペシャル仕様 MVアグスタは欧州で、同ブランドが2025年で創立80周年を迎えるとともに、Agoことジャコモ・アゴスティーニ氏が83歳の誕生日を迎[…]
ガレージで眠っているマシンを引っ張りだそう! 今後の展開も期待されるポテンシャルの高さが魅力 コンストラクターの手によるオリジナルフレームを用いたシングル&ツインレースが流行した1990年代、オーヴァ[…]
初心者からベテランまで、老若男女だれもが一日中楽しめる オフロードバイクさえあれば、初心者だろうとベテランだろうと、老若男女だれもが一日中楽しめるフリーライドイベントとして企画されたのがエンジョイライ[…]
最新の投稿記事(全体)
FXLRSローライダーS:パワーユニット強化で走りはさらにアグレッシブ 許容リーンアングルが深めに設定されるなど、スピードクルーザーとして絶対的な人気を誇る「ローライダーS」 。2025年式は最高出力[…]
冷たさが最大16時間続く、ピーコックの持ち運べる氷のう 炎天下の休憩で火照った体を一気にクールダウンさせたい。そんな時におすすめしたいのがピーコックの「アイスパックシリーズ」だ。 アイスパックは、創業[…]
初心者向けの溶接機は? 「初心者ですが、溶接機は何を買えばいいでしょうか?」そんな質問をいただくことが、最近増えています。折れたステーの修理から始まり、フレーム補強やスイングアーム自作、極めつけがフレ[…]
8月上旬発売:Kabuto「AEROBLADE-6 ADACT」 軽量コンパクトなフルフェイスヘルメットで、99%の紫外線と74%赤外線を軽減する「UV&IRカットシールド」を装備する。これによってヘ[…]
カワサキZ1系:1973~1978 1973 900super4 (Z1) 初期型となる’73年型。北米向けは橙×茶の「火の玉」のみだが、欧州仕様は黄×緑の通称 「イエローボール」も設定。長いリヤフェ[…]