
ドイツ生まれイタリア育ちの新鋭EVメーカー「GR1T」が、EICMAで最新の電動バイク「G1シリーズ」を公開した。定格出力11kWで欧州A1ライセンスに対応しながら、ピークパワー36hp、最高速度130km/hという本格的な走りを実現。85%以上の部品を共通化させた合理的プラットフォームにより、日常のコミューティングから過酷な業務用フリートまでカバーする注目のイタリアンデザインEVを紹介しよう。
●文:ヤングマシン編集部 ●写真/外部リンク:GR1T
85%共通プラットフォームがもたらす多彩な展開力
ドイツ・ベルリンで産声を上げ、デザインと開発の拠点をイタリア・ミラノに置く新鋭電動モビリティブランド「GR1T(グリット)」。世界最大級のバイク見本市であるEICMA2026の舞台において、彼らが満を持して披露する最新の電動バイクラインナップが「G1シリーズ」だ。このモデルにおける最大のエポックメイキングといえるのが、極めて高度に計算された製品プラットフォームの設計思想にある。
GR1Tは、メインフレーム、電動モータースペック、着脱式バッテリー構造、前後のホイールサイズにいたるまで、根幹をなす主要コンポーネントの85%以上をシリーズ全モデルで完全共通化させた。単一の骨格をベースに拡張性を高めることで、都市型のスタイリッシュなコミューターから過酷な現場で運用される業務車両まで、多角的なバリエーション開発をスピーディかつ低コストで実現している。単なる電動バイクの枠にとどまらず、次世代のモビリティシステムとして合理性を追求した設計となっている。
A1ライセンス枠を超絶する最高出力36hpと130km/hの動力性能
心臓部となる電動パワートレインには、定格出力11kWを発揮する高効率モーターを採用した。この出力設定は、欧州において16歳以上から取得可能な「A1ライセンス」カテゴリー、日本の区分では原付二種相当に合致する。若年層のファーストバイクとして、あるいは都市部で手軽な移動手段を求めるエントリー層に対して、広く門戸を開く仕様となっている。
しかし、その走りにおける実力はクラスの域を遥かに凌駕する。瞬間的な発進や追い越し時に解き放たれるピークパワーは36hpに達し、最高時速は130km/hをマーク。シティライドでの俊敏な立ち上がりはもちろんのこと、郊外を結ぶ幹線道路や高速域における巡航においても、ガソリン車に引けを取らない力強い走破力を発揮する。
さらに電源部には、車体から簡単に取り外せる着脱式バッテリーを採用した。ガレージのない集合住宅でも部屋やオフィスに持ち込んで一般的なコンセントから給電できるため、日常の利便性は高い。
ストリートから警察・消防・商用フリートまで応える4モデル
85%のパーツ共通化をベースに展開されるG1シリーズのラインナップは多種多様だ。シティコミューターとして軽快な走りを提案するスタンダードモデル「G1S Street」は7000ユーロからの価格設定で、洗練された都市型デザインが際立つ。ストリートの枠を飛び出し、オフロードや荒れた路面への冒険心を刺激する「G1X Scrambler」は8000ユーロからラインナップされる。
さらに注目すべきは極限状態での運用を想定した、EICMA2026初公開のモデル2種の存在だ。そのひとつ、特殊用途向け「G1XR Raider」は、ファーストレスポンダーや警察、消防組織の導入を見据えて開発されたヘビーデューティ仕様となっている。最大190kgの耐荷重を誇る強化大型ラックを備え、パワートレインの防水性能を大幅に強化。ライダーの手足を保護するプロテクション構造に加え、暗闇での任務を可能にする赤外線暗視カメラまで標準装備する。
もう一方の、リアフレームを大胆に後方へ延長した「G1M Mission」は、タンデムでの乗車はもちろん、追加の貨物や予備バッテリーの積載、サイドラックの増設に柔軟対応。配送業者やシェアリング事業者など、過酷な稼働率が求められる商用のニーズをカバーする。
先進のコネクティビティと鉄壁のセキュリティを凝縮
時代の先端を行く電動バイクらしく、デジタル技術を駆使した機能群も抜かりがない。車体には4G通信モジュール、キーレス解錠システム、スマートフォン用ワイヤレス充電ホルダーを標準搭載。専用の「GR1Tアプリ」と連携することで、ナビゲーション表示や車体ステータスのモニタリングをスムーズに行うことができる。
また、都市部での保管で不可欠となるセキュリティ性能も飛躍的に高められた。車体の不審な振動を検知して作動する「Wake-On-Shake」機能を筆頭に、高精度GPSトラッキング、遠隔操作で車体をロックするリモートロック機能、さらには車載防犯カメラシステムを統合。盗難や悪戯のリスクを物理的・デジタル両面から最小限に抑える構造を作り上げた。
イタリアのデザイン美学とドイツの質実剛健なエンジニアリングが融合したGR1T G1シリーズ。基本骨格を共有しながら、ストリートからプロユースまで自在に姿を変えるこの革新的EVは、7000ユーロからという現実的な価格帯で新たなコミューターの形を提示している。まずは欧州市場での本格展開や日本市場へのアプローチを含め、今後の情報を楽しみにしておこう。
GR1T G1 SERIES (2027model / EU) COLORS
GR1T G1 (2027model / EU) SPECS
| 項目 | 諸元 |
|---|---|
| モデル名 | GR1T G1 Series |
| 定格出力 | 11kW |
| 最高出力 | 36hp |
| 最高速度 | 130km/h |
| 適合ライセンス | A1ライセンス(欧州) |
| バッテリー形式 | 着脱式バッテリー |
| コンポーネント共通化率 | 85%以上(フレーム、モーター、バッテリー、ホイールサイズ等) |
| スマート機能 | 4G通信、キーレス解錠、ワイヤレス充電、専用アプリ |
| セキュリティ機能 | Wake-On-Shake、GPS、リモートロック、防犯カメラ |
| 車両本体価格 | G1S Street: 7000ユーロ(※VAT別) / G1X Scrambler: 8000ユーロ(※VAT別) |
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