![「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-A.jpg)
1960年代、スクーターの代名詞だったベスパに対抗し、独自の進化を遂げたイタリアの名門「ランブレッタ」。モーターサイクルに通じる車体構造とスポーティな走り、洗練されたスタイリングで多くの若者を魅了した。英国のモッズカルチャーとも深く結びついた、その傑作モデル「Li 125 Special」の魅力を1968年式の車両から振り返る。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●写真:RM Sotherbys
ベスパとは異なるアプローチを見せた「もう一つの至宝」
現在のクラシックスクーター市場ではベスパが有名ですが、かつてその絶対王者に真っ向から勝負を挑み、世界中のファンを熱狂させたブランドがありました。それがイタリア・イノチェンティ社の「ランブレッタ」です。
ランブレッタLi 125 Specialは1965~1969年まで作られたヒットモデル。こちらは1968年モデルのシリーズ3。
今回は、その歴史の中でもひとつの到達点と言える、1968年式の「Li 125 Special」にスポットを当ててみましょう。この時代のランブレッタを前にすると、そのメカニズムと佇まいから放たれるスポーツマインドに、思わず目を奪われてしまいます。
1960年代、イノチェンティ社は宿敵ピアッジオ(ベスパ)に対して明確な差別化を模索していました。単なる実用的コミューターではなく、よりスポーティで高級感のある路線です。その回答として、フラッグシップである「TV(ツーリスモ・ベローチェ)」のエレガントな外観を、扱いやすい125ccクラスに落とし込んで1965年に誕生したのが「Li Special」。
ちなみに同期の150や200はのちに「SX」の名を与えられて進化しますが、125だけは「X」を名乗らず、頑なに「Li Special」のネーミングを守り通しという絶妙な立ち位置もマニア心をくすぐるポイントかと。
フロントとリヤのキャリアは当時のオプションパーツで、クロームの輝きがレトロ感を大いに引き立てています。
走りの本質を追求した「鋼管フレーム」という贅沢な構造
ランブレッタがこれほどバイク好きを惹きつける最大の理由は、ベスパとは180度異なる独自のシャシー構造にあります。
鋼管フレームゆえに外板はほとんど外せるというメンテナンス性の良さ。ライバルとなったベスパとの大きな違いです。
ベスパが外板そのものを骨格とするモノコック構造を採用したのに対し、ランブレッタは頑丈な「センター鋼管フレーム」を一本通し、そこにスチール製のプレス外板を被せるという、モーターサイクルに近い構造を貫きました。
この恩恵は非常に大きいもので、フレーム自体の剛性が高いため、直進安定性をはじめ、コーナリング時の追従性において、明らかに一歩秀でていたとされています。「スクーターの形をしたスポーツバイク」と評される理由は、この骨格にあると言えるでしょう。
左右両持ちのツインボトムリンクを採用。これまた、ベスパの片持ちに対するアドバンテージといえるでしょう。
そして、空冷2ストローク単気筒123ccエンジンを搭載し、デロルト製SH1/18キャブレターとのマッチングにより、最高出力7.12馬力を発揮。クロスレシオの4速ハンドシフトを巧みに操れば、最高速度は時速82.5~90kmまで伸びたとか。
当時、免許制度や保険の兼ね合いからヨーロッパ市場で主流だった125ccクラスにおいて、「実質150ccクラスを喰える俊足マシン」として喜ばれたのも納得です。
スタイリッシュを極めたディテールと、現代へ紡がれるDNA
また、ランブレッタを語る上で外せないのが、1960年代のイギリスで巻き起こった「モッズ(Mods)」カルチャーとの深い結びつき。
細身のスーツに身を包んだロンドンの若者たちは、自らのアイデンティティを表現する相棒として、ベスパやランブレッタを選びました。スクエアなヘッドライトやシャープなフロントフェンダー、そしてサイドパネルに輝く「Special」のバッジを持つこのモデルは、彼らにとって最高のステータスシンボルだったに違いないでしょう。
ヘッドライトのリムといい、ミラーの位置といい、モッズでなくとも心躍るデザインでしょう。
多数のミラーやライトで過剰にデコレーションされた車両は、当時の最先端を走る若者たちの、洗練されたファッションステートメントだったのです。
さて、ご紹介しているカナリヤイエローとホワイトベージュの2トーンボディを見ると、スリムラインのシリーズ3であることが分かります。
高価なオプションだったクロームパイプのキャリアはフロント/リヤともにコンプリート。スペアタイヤもしっかり付属しています。ボディパネルの状態もストックであり、モッズ風カスタムが施された痕跡も見当たらず、コレクターズアイテムとしてこれ以上のサンプルは滅多に見つからないはず。
118マイル(約190km)は実測とのことですから、コンディションとしては新車と呼んで差し支えありません。
実際のところ、オークションでは3450ポンド(約72万円)と、60年代後半のランブレッタとしてはなかなか高価な落札価格となっています。
なお、2017年に奇跡の復活を遂げ、現代の日本でも走っているモダンなランブレッタ「V125 Special」のデザインやネーミングは、まさにこの1968年のLi Specialからストレートに受け継がれたものです。
こんにちは、ヤングマシン編集部(ナカ) さん
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ナンバー付きからレース専用車まで本格的スポーツ走行と模擬レースが体験できる 各地のサーキットには、ライダーの技量に応じてファミリー走行枠やスポーツ走行枠といったクラスが設けられていることが多い。また主[…]
軽量化への徹底したこだわりが生んだ、革新的なスーパースポーツ 1980年代、国内のバイク市場ではレーサーさながらの外観と高性能を備えた、レーサーレプリカの人気が急速に高まっていた。その流れを牽引する存[…]
悪評を覆し、世界中で熱狂的に迎えられた「GSX1100S KATANA」 GS750・1000はひとまずの成功を収めたが、スズキはさらなる高出力化を求めて研究を開始。新4バルブユニットには GSXの名[…]
初期型ゼファーの第一印象は「遅い!」だった 1989年に発売されたカワサキ・ゼファーは、レーサーレプリカ全盛期にデビューし、その後の「ネイキッドバイクブーム」の立役者となった一台です。 ちなみに「ゼフ[…]
Z1から11年、新基準を打ち立てた カワサキが水冷6気筒のZ1300を発売したのは’79年だったが、この頃からすでにZ1系に代わる次世代フラッグシップが模索されていた。Zに改良を加えて世代交代を進めて[…]
最新の関連記事(ランブレッタ)
4/4:ドゥカティ「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」 ドゥカティの人気ネオクラシックモデルに、都会の夜を彩る新色「スクランブラー・ナイトシフト・エメラルド」が追加され、4月4日に発売となる。[…]
1964年の伝説が「Starwave」として現代に蘇る ひと目でそれとわかる、伝統の「黄金比」 新型Jシリーズの最大の魅力は、ひと目見ただけでランブレッタだと理解させる個性的な造形だろう。台形に長く伸[…]
モータリストの取り扱いブランドは多岐に及ぶ! 2020年9月に設立されたモータリスト合同会社は、「エンジン(モーター)を使い、タイヤを駆動して進む、このステキな乗り物をこよなく楽しむみなさまを、とこと[…]
ヨーロピアンスクーターの老舗ブランド・ランブレッタ 1947年にイタリアで最初のスクーターを発表したランブレッタ。1970年代にイタリア労働争議の嵐に巻き込まれ工場を閉鎖するも、根強いファンによってコ[…]
バイクは楽しい。その楽しさを増やしていきたい! 内燃機関と電動という違いはあっても、バイク(2輪)で遊ぶ楽しさを大切にしているモータリスト。2024年のモーターサイクルショーでは「バイクは楽しい。その[…]
人気記事ランキング(全体)
軽量化への徹底したこだわりが生んだ、革新的なスーパースポーツ 1980年代、国内のバイク市場ではレーサーさながらの外観と高性能を備えた、レーサーレプリカの人気が急速に高まっていた。その流れを牽引する存[…]
税込418万円で2027年1月23日発売! 国内限定300台のプレミアモデル 再導入の報から注目を集めていた2027年モデルのNinja H2 CARBONだが、注目の価格はカワサキケアおよびETC2[…]
国土交通省の性能等確認試験に適合した免許不要の特定小型EV四輪 ELEMOsが展開する特定小型EV四輪「エレポーター」および「エレポーターPRO」が、国土交通省の定める性能等確認制度に基づき、公益財団[…]
武骨で美しいファットバイクスタイルと16歳以上免許不要の手軽さ 一般的な電動キックボードや華奢な電動アシスト自転車とは一線を画す、圧倒的な存在感を放つのが「COSWHEEL MIRAI G」だ。 この[…]
冬ツーリングの天敵「底冷え」と「着ぶくれ」を克服するインナーの重要性 氷点下に迫る冬の道路を走る際、ライダーの体感を急激に奪っていくのが連続する走行風だ。寒さによって身体が強張ると、ブレーキやクラッチ[…]
最新の投稿記事(全体)
ベスパとは異なるアプローチを見せた「もう一つの至宝」 現在のクラシックスクーター市場ではベスパが有名ですが、かつてその絶対王者に真っ向から勝負を挑み、世界中のファンを熱狂させたブランドがありました。そ[…]
個性を主張する3つのグラフィック! 愛車のスタイルに合わせて選べ マルシンヘルメットブランドとしては初となる今回のコラボモデルは、ストリートからツーリングまで映えまくるオープンフェイス(ジェット)ヘル[…]
ナンバー付きからレース専用車まで本格的スポーツ走行と模擬レースが体験できる 各地のサーキットには、ライダーの技量に応じてファミリー走行枠やスポーツ走行枠といったクラスが設けられていることが多い。また主[…]
賑やかな空気に包まれた1周年感謝祭 「最初はグー!じゃんけんぽん!!」会場のあちこちから歓声が上がり、大人も子どもも笑顔いっぱい。豪華景品が用意されたウィズハーレー専属モデル・千羽ちゃんとのじゃんけん[…]
空力性能を追求したウイングレットとシャシージオメトリーの最適化 カワサキのフラッグシップスーパースポーツとして君臨するNinja ZX-10R。その走りのポテンシャルをサーキットでの戦闘力へ純粋に昇華[…]
- 1
- 2

![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-1-768x576.jpg?v=1793067481)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-2-768x576.jpg?v=1793067593)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-3-768x576.jpg?v=1793067652)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Specialのフロントタイヤ|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-8a-767x511.jpg?v=1793068561)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Specialのマフラー|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-4-767x511.jpg?v=1793067948)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Specialのエンジン|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-5a-767x511.jpg?v=1793068106)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-6a-767x511.jpg?v=1793068450)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Specialのメーター|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/7-2-768x576.jpg?v=1793068187)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-9-768x576.jpg?v=1793068857)
![1968年モデルの、イタリア・イノチェンティ社製 ランブレッタLi 125 Special|「スタイリッシュを極めたスクーター」60年前のロンドンの若者を魅了。バイク好きを惹きつける走りへのこだわり。[ランブレッタ Li 125 Special]](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2026/10/Lambretta-Li125-Special-10-768x576.jpg?v=1793068862)




























