「近未来テイストがたまらない…」80年代デザインが逆に新鮮! 44年前のスズキの名車。当時認可が下りず日本では販売されなかった悲運のレアマシン。[XN85]

「近未来テイストがたまらない…」80年代デザインが逆に新鮮! 44年前のスズキの名車。当時認可が下りず日本では販売されなかった悲運のレアマシン。[XN85]

1980年代初頭のバイク業界に巻き起こったターボブームの中で誕生したスズキ「XN85」。GS650Gをベースにした673ccエンジンにターボチャージャーを組み合わせることで、最高出力85psを発揮。名車カタナの系譜を感じさせる近未来的なハーフカウルを纏い、当時の最新技術を惜しみなく投入された、悲運の輸出専用モデルの魅力に迫っていこう。
※2025年6月刊行の『ニッポン旧車烈伝 昭和のジャパン・ビンテージ・バイク 323選』より、個性派名車を抽出。加筆して配信しています


●文:ヤングマシン編集部

80年代ターボブームを駆け抜けた近未来フォルムと先進装備

XN85は、空冷4気筒エンジンを搭載する「GS650G」をベースにスズキが作り上げたターボチャージャー搭載モデルである。当時の日本ではターボ車の認可が下りなかったため国内で販売されることはなく、総生産台数もわずか1,100台あまりと非常に少ない、極めて希少な輸出専用モデルとなった。

1982年 スズキXN85

【主要諸元】(1982年 輸出モデル)

  • エンジン種類:空冷4ストローク並列4気筒DOHC 2バルブ ターボ
  • 総排気量:673cc
  • 最高出力:85ps / 7500rpm
  • 最大トルク:7.8kg-m / 7500rpm
  • 車両重量(乾燥):225kg
  • フロントタイヤサイズ:100/90-16
  • リアタイヤサイズ:120/90-17

特筆すべきはその流麗なスタイリングで、大ヒットモデルであるGSX1100Sカタナの進化系とも言える意匠のハーフカウルを装備。80年代特有の空気感を纏ったシャープで近未来的なフォルムは、当時のライダーたちの目を釘付けにした。

全開時のターボフィールももちろんだが、中速のコントロール性の評価も高かった。

もちろんデザインだけでなく、メカニズムも当時の最先端を走っていた。車体関連では、量産市販車初となるフロント16インチホイールを採用したほか、リヤには優れた路面追従性を誇るフルフローターサスペンション、さらにはリモート式プリロード調整機構など数々の先進技術が投入されている。また、エンジン冷却面では、後にスズキのお家芸となる「油冷エンジン」へと発展していく大容量オイルクーラーや、ピストン裏にオイルを噴きつけて冷却するピストンクーリングジェットがいち早く採用されていた。

ラバーマウントされた速度計/回転計一体式メーターには、液晶式のデジタルインジケーターなどが採用していた。

扱いやすさを追求した673ccターボエンジンと最新技術の融合

心臓部となるエンジンは、空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブで、ボア・ストロークは62×55.8mmの673cc。車名である「XN85」は排気量ではなく、最高出力の「85ps」に由来するという珍しいネーミングが採用されている。

空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブエンジン。

車体レイアウトの都合上、シリンダー後部にタービンを配置するためエキゾーストパイプは長くなったが、電子制御式フューエルインジェクションとの緻密な組み合わせにより優れたレスポンスを実現。3000rpmという低めの回転域から過給が始まり、4500rpmからはほぼ一定の過給圧を保つセッティングとすることで、ターボ特有の唐突な特性変化(ドッカンターボ)を極力排除している。

レスポンスの向上を実現するため、タービンの配置にも工夫がされている。

これにより、中速域ではリッタークラスであるGS1000Gをも凌ぐ力強いトルクを発揮しながらも、自然吸気(NA)エンジンに匹敵するリニアで扱いやすいドライバビリティを実現していた。わずかな期間しか生産されなかった幻のマシンであるが、スズキの技術的挑戦の歴史を語る上で欠かせない名車である。

※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。