
7月3日(金)〜5日(日)、三重県・鈴鹿サーキットで開催された第47回鈴鹿8耐。47回の歴史のなかで初となる「7月上旬開催」となった今年の耐は、真夏の酷暑ではなく、容赦なく降り続く「雨」が主役となる、文字通りの大激戦となった。ヤマハ勢は、ファクトリー体制の「YAMAHA FACTORY RACING TEAM(YFRT)」が、トップのホンダを猛追するも2年連続の2位。しかし世界耐久を戦う「YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team(YART)」は、トリッキーな路面を生き残り4位入賞。シリーズ連覇に向けて大きなリードを築き上げた!
●文:ヤングマシン編集部
YFRT:MotoGP&SBKの刺客とレジェンド中須賀が魅せた「最強の絆」
21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM:2位(188周)
天候悪化の予報により、土曜の「TOP10トライアル」が中止という異例の事態から始まった今年の決勝。5番手グリッドからスタートしたYFRTは、11年連続全日本王者の中須賀克行、MotoGPライダーのジャック・ミラー、そしてSBK(スーパーバイク世界選手権)で活躍するアンドレア・ロカテッリという、昨年同様のドリームトリオで挑んだ。
レースは序盤からヘビーウエット路面となり、セーフティカー(SC)が何度も介入する大荒れの展開に。スタートライダーのミラーが一時7番手まで下がるも、驚異のリカバリーで順位を上げると、バトンを受け取ったロカテッリ、そして「日本のレジェンド」中須賀が盤石の走りで2番手をキープする。
圧巻だったのは終盤だ。最終走者を託されたロカテッリが、トップを走る高橋巧(ホンダ)を猛追。その差を約18秒にまで縮め、逆転のドラマを予感させた。しかし、無情にも雨足が強まり、3回目のSCが介入。そのままレースは終了のブザーを鳴らした。
中須賀克行選手 「決勝で1スティントしか走れなかった悔しさは正直あります。でも、ジャックやロカが僕に対してリスペクトを持って接してくれた。それこそが、今まで自分がやってきたことへの答え。この後の全日本でも、彼らのリスペクトに恥じない走りをします」
ジャック・ミラー選手 「100%出し切った! 最初のスティントはリヤに問題があって生き残るのに精一杯だったけど、その後は全力でプッシュしてホンダとの差を縮められた。改めて言いたい。中須賀さんは本当にレジェンドだ!」
アンドレア・ロカテッリ選手 「鈴鹿8耐は本当にクレイジーだけど大好きだ(笑)。2位という結果は勝ったみたいに誇れるもの。中須賀さんは44歳でしょう? 僕が44歳ならビーチでドリンクを飲んでるよ(笑)。“ナカスガチーム”の一員になれて心から感謝している」
吉川和多留監督は「正直なところとても悔しい」と語りつつも、「世界トップのライダーたちの貪欲さに大いに刺激を受けた。勝つために明日からすぐに次に備える」と、すでにリベンジの炎を燃やしている。
YART:表彰台は逃すも「王座連覇」へ向けた完璧な戦略勝ち!
#1 YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team:4位(188周)
一方、EWCのポイントリーダーとして鈴鹿に乗り込んできた#1 YART(カレル・ハニカ/マービン・フリッツ/レアンドロ・メルカド)は、大人の、そして強者の戦いを見せた。
ノーポイントに終わった昨年の雪辱を果たすべく、4番手グリッドからスタート。ウエット路面での1時間半に及ぶロングスティントを耐え抜いたフリッツ、安定感抜群のハニカ、そして新加入ながら完璧にチームにフィットしたメルカドの3人が、1つもミスをすることなく、超高速ピットワークでマシンを繋いだ。
ライバルであるBMWが異なる戦略を仕掛けてくるなかでも、YARTは自分たちのペースを崩さず冷静にチェッカーフラッグを受け、4位フィニッシュ。目標としていた鈴鹿での表彰台こそ一歩届かなかったが、ランキング2位のBMWに対して「19ポイント差」という大きなリードを維持したまま、最終戦ボルドール24時間へと駒を進めることに成功したのだ。
マービン・フリッツ選手 「昨年はノーポイントでリードも1ポイントだった。それを思えば19ポイントリードでの帰路は素晴らしい結果。日本のファンの応援に心から感謝したい」
カレル・ハニカ選手 「表彰台を目指していたから複雑だけど、このタフな状況で最大限の走りができた。トップ5の中で3人を均等に起用したのは僕たちだけ。ボルドールに向けて自信になるよ」
レアンドロ・メルカド選手 「初めてのYARTとしての鈴鹿だったけど、フィーリングは最高だった。ミスなくクリーンなレースで、BMWに差をつけられた。さあ、次はボルドールだ!」
マンディ・カインツ監督も「トリッキーなコンディションのなか、ノーミスでしっかりとバイクをチェッカーまで運んだ。防衛に向けてすべてを出し切る」と、シリーズ連覇へ太鼓判を押した。
宿敵ホンダに一歩及ばずの2位となったYFRTの悔しさと、世界連覇へ向けて確実に地固めを完了したYARTの底力。雨の鈴鹿で見せたヤマハ・YZF-R1の走りは、間違いなくファンの胸を熱くさせた。次なる戦いの舞台は、フランス・ボルドール。世界王者の称号をかけた、彼らの最後の戦いから目が離せない!
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