空冷Zの極北。カワサキZ1000R1/R2が、今もライダーの心を掴んで離さない「単純かつ深遠な」理由【昭和名車:1982~1983】

空冷Zの極北。カワサキZ1000R1/R2が、今もライダーの心を掴んで離さない「単純かつ深遠な」理由【昭和名車:1982~1983】

ニッポンがもっとも熱かった“昭和”という時代。奇跡の復興を遂げつつある国で陣頭指揮を取っていたのは「命がけ」という言葉の意味をリアルに知る男たちだった。彼らの新たな戦いはやがて、日本を世界一の産業国へと導いていく。その熱き魂が生み出した名機たちに、いま一度触れてみよう。この記事ではZ1000Rの概要について振り返る。


●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:山内潤也/YM ARCHIVES ●取材協力:ZEPPAN UEMATSU

生産終了から数年後に王道と派生の立場が逆転

冒頭からこんなことを言うのも何だけれど、’82~’83年に販売されたZ1000R1/2、通称ローソンレプリカは、カワサキにとっての王道路線ではなく、現役時代に大人気を獲得したわけでもなかった。当時の同社の主力は、第二世代の空冷ZとなるZ1000JとZ1100GPで、レースでの活躍を記念して生まれたZ1000R1/2は、Z1000Jの派生機種という位置づけだったのだ。

とはいえ’80年代後半以降は、王道と派生の立場が逆転し、中でも生産台数がわずか900台前後だったR1は、中古車価格がグングン上昇(新車価格が4500ドル前後、当時の為替レートで約110万円だったのに対して、近年の日本における相場は300~500万円前後)。

その背景には、どんな事情があったのかと言うと…単純にカッコいいから、カワサキらしさが存分に感じられるから、などという理由もあるけれど、そもそものきっかけは’80年代後半から始まった、初期のAMAスーパーバイクに対する再評価だろう。

もっとも初期のAMAスーパーバイクでは、ホンダやスズキもカワサキと同等の戦果を挙げていたのだが、中でも写真や動画を通して多くのライダーに鮮烈な印象を与えたのが、’81/’82年にチャンピオンを獲得した、若き日のエディ・ローソンとライムグリーンのZだったのだ。

そしてそのイメージを巧みに取り入れていたからこそ、すでに時代遅れのモデルになっていたにもかかわらず、Z1000R1/2の人気は急騰したのである。 アメリカンカワサキからの要求で生まれた’82年型Z1000R1は、基本的には北米市場向けの限定車だったものの(南アフリカにもわずかな台数を出荷)、’83年型Z1000R2はヨーロッパでも販売が行われ、約5300台が生産された。

ただし、R1のペットネームがローソンレプリカだったのに対して、’83年にはローソンがヤマハへ移籍したため、R2はスーパーバイクレプリカと呼ばれることになった。 なお’82年型Z1000Rは、昨今ではカワサキのコーポレートカラーとして知られているライムグリーンを、大排気量ロードスポーツで初めて導入したモデルである。

とはいえ、ヨーロッパでは不吉と呼ばれるこのカラーに対して、当時のカワサキには逡巡があったようで、750cc以上のレギュラーモデルでライムグリーンが普及するのは、’90年代に入ってからだった。

KAWASAKI Z1000R OUTLINE & EXTERIOR

【KAWASAKI Z1000R】Z1000Jの派生機種として開発されたZ1000Rは、カワサキにとっては’78~’80年に販売したカフェレーサーのZ1-R/II(ベースはZ1000/MkII)に次ぐ、メーカーメイドのカスタムモデルだった。

’80年代前半の日本車では珍しく、スタンドはサイドのみ。北米市場からの要求でカーカー製集合マフラーを標準装備したため、センタースタンドが装着できなくなったのだ。

特徴的なビキニカウルと角型ヘッドライト、エンジン前部のオイルクーラーは、当時の旗艦だったZ1100GPから譲り受けた装備。カヤバ製φ38mmフォークはエア加圧式。

【ライムグリーン以外に2色を設定】ライムグリーンのイメージが強いZ1000Rだが、ヨーロッパでも販売された’83年型R2はポーラホワイトを追加。後継車となる’84年型Z1100Rではスターダストシルバーも設定された。

メーターは同時代のZ1000Jと共通で、トップブリッジ上のボックスにキーシリンダーとトリップ/オドメーターが備わる。

カラーは専用だったものの、外装部品の形状は同時代のZ1100GPやZ1000Jと共通。ただし北米仕様の’81~’82年型Z1000Jには、ラウンドタイプのガソリンタンクが存在した。

段付きシートはローソンが駆ったレーサーのイメージを踏襲。メッシュタイプの表皮も専用設計だ。

ガソリンタンク上にはスーパーバイクチャンピオンを記念するステッカーが備わる。R2ではEDDIE LAWSONのサインが消え、1981-1982 SUPERBIKE CHAMPIONと記されるようになった。

スイッチボックスも同時代のレギュラーモデルと共通。R2の欧州仕様は右側にヘッドライトスイッチを装備。

シート後部に備わる頑強なグラブバーと、左右に張り出したウインカーは、当時の国産ビッグバイクの定番パーツだ。

KAWASAKI Z1000R(1982) SPECS

項目スペック
全長(㎜)2240
全幅(㎜)820
全高(㎜)1230
軸間距離(㎜)1525
シート高(㎜)775
車両重量(㎏)222(乾燥)
燃料タンク容量(ℓ)21.4
エンジン種類空冷4サイクル並列4気筒DOHC2バルブ
内径×行程(㎜)69.4 × 66
圧縮費9.2
総排気量(㏄)998㏄
最高出力102hp / 8500rpm
最大トルク9.3kg-m/ 7000rpm
変速機形式5段リターン
キャスター/トレール29°/ 115㎜
ブレーキ前/後Wディスク/ディスク
タイヤサイズ前/後100/90V19/ 120/90V18

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