
「各社からペルチェベストが発売されたけど、マジで効果あんの? 」と、半信半疑のライダーも多いはず。そこで、ワークマンの最新型「アイス×ヒーターペルチェベストPRO2」を着て、35℃オーバーの猛暑日に栃木県までツーリングに行ってみた。正直、あるのとないのとでは大違いだったぞ!
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:大屋雄一 ●外部リンク:ワークマン
最新モデルはペルチェデバイスが3個から5個へ
ペルチェデバイスの個数は、昨年モデルが後ろ身頃に1個、前身頃に2個の計3個だったが、今年は後ろ身頃に2個追加して計5個に。価格は初代から据え置きの1万9800円だ。
電極の入れ替えによって冷却と温熱の両機能を有するペルチェ素子。これを利用した冷暖房アイテムが人気を博している。ワークマンは2023年に初代となる「ウィンドコア アイス×ヒーターペルチェベスト」を1万9800円で発売。大きなペルチェデバイスが背中に1個のみというシンプルな設計で、正直なところ効果はスポット的だったが、保冷剤によるアイスベストよりも使いやすいことが高く評価された。
翌2024年に登場した2代目は、小さなペルチェデバイス2個を前身頃にプラス。バッテリー容量を2倍とし、さらに冷えを感じやすい「ゆらぎモード」を追加した。バッテリーの重量増というネガはあったものの、初代よりも格段に冷たさが感じられるようになり、バイクで使う上での満足度は大幅にアップした。
そして今年発売されたのが3代目だ。小さなペルチェデバイス2個を後ろ身頃の下方に追加し、合計で5個へ。さらにバッテリーは20,000mAhという容量はそのままに、最新のコンパクトタイプへとアップデートされた。付け加えると、付属のType-C変換ケーブルを使用することで、手持ちのモバイルバッテリーも使えるようになったのは非常にうれしい。
付属の専用バッテリーは電池残量カウンター付きで、モバイルバッテリーとしても使用できる。充電時間はPD対応アダプターを使用した場合で6時間、5Vの通常アダプターで9時間が目安となっている。
重量は約1kgだが、着てみると重さを感じづらい
商品パッケージ。B5ノートぐらいのサイズ感なので、店頭で探す際の参考に。
セット内容は、ペルチェデバイス、専用ベスト、専用バッテリー、専用USBケーブル、Type-C変換ケーブルで、この他に取扱説明書と保証書が同梱されている。ACアダプター(DC5V 2A以上)は手持ちのものを使用のこと。
このペルチェベストPRO2の総重量は実測1,034gで、このうちバッテリーは326gだ。持ち上げるとやや重さを感じるが、実際に着用して各部のアジャスターを調整すると、重量感はほとんど消える。ペルチェデバイスの効果を最大限に発揮させるためにも、体にピタリとフィットさせることが有効だ。
専用ベストのサイズはフリーとなっており、フロントおよびサイドのアジャスターを調整することで、Sから5Lサイズ(胸囲80~124cm)に対応する。
アイスモードならメッシュジャケットとの組み合わせがマスト
ペルチェデバイスの表面温度は環境温度に左右され、例えば気温25℃の中でアイスモードを使用した場合、表面温度は約-3℃まで下がる。環境温度との差は最大で約-28℃を公称し、猛暑日の35℃なら表面温度は7℃となる計算だ。ちなみにヒーターモードでは、気温10℃の状態で約49℃まで発熱するという。
さて、今回は筆者の自宅がある千葉県北西部から、栃木県宇都宮市までの日帰りツーリングでこのペルチェベストPRO2をテストした。まずは未着用の状態で出発し、東北道の佐野サービスエリアで休憩後にベストを着用。この時すでに気温は30℃を超えており、最終的に宇都宮市は35℃に達した。
栃木県は塩谷郡高値沢町にある安住神社にも立ち寄る。ここは全国バイク神社認定第一号として知られ、ライダー歓迎ムードが漂う。
スイッチを入れてからほんの十数秒だろうか。ステンレスプレートを通じて冷たさが感じられ、期待が一気に高まる。だが、その上にメッシュジャケットを羽織り、ヘルメットをかぶるころには、「まぁ、こんなもんかな」という気持ちに。確かに冷たくはあるが、保冷剤ほどではなく、しかも効果はスポット的だからだ。
ところが、走り始めてすぐに状況が好転。明らかに涼しいというか、しっかりとした冷たさが感じられるのだ。メッシュジャケットを通過する走行風によって、ペルチェデバイスの排熱効果がアップするのだろうか。ペルチェベスト着用以前と以降とでは、快適性に格段の違いがあるのだ。
東北道を下りて一般道の渋滞にハマっている際、首の後ろあたりにわずかながら熱さを感じた。どうやらペルチェデバイス(大)の排熱が追い付かないようで、メッシュジャケットの内側に手を差し入れてみたところ、確かにこの付近が暖まっていた。このペルチェベストPRO2、アイスモードはデバイス(小)4個のみを作動させることも可能で、そのモードに切り替えたところ熱さは解消した。
スイッチは左胸に設けられており、上がヒーターモード、下がアイスモードだ。
後ろ身頃にあるペルチェデバイス(小)の位置を調整するためのダイヤルムービングアジャスター。
これなしでのバイク移動は考えられない! 超オススメ!
これを執筆している6月下旬現在、一部店舗に流通在庫を確認。欲しい人は急げ!
その後、都内へ出向く際などたびたび着用しているが、これなしでの夏のバイク移動はもう考えられないほど気に入っている。基本的にはデバイス(小)4個モードで使用しており、これなら実際にも4時間ほどバッテリーが保つので十分だと感じている。
専用バッテリーの連続稼働時間の目安。予備バッテリーは3900円で販売されている。
業界的にはペルチェ素子そのものが品薄らしいのだが、ワークマンはそれ以前に発注を掛けていたため、まだ一部店舗には流通在庫があるとのこと。冬にも活躍することを考えると、1万9800円はお買い得と言えるだろう。
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