
ホンダが遂に、二輪車世界生産5億台を達成。それを祝う記念式典が、バイクの一大市場でもあるインドで開催された。記念式典と合わせて見たのは、日本のものづくり精神が息づく現地工場、そして現地に深く根差したバイク文化。エネルギーと活気あふれる、インドのバイク事情と合わせてレポート。
●文:ヤングマシン編集部(ヤマ) ●写真:ホンダ/編集部
州知事や政府関係者のほか、従業員も参加し祝う
四輪車はもちろん、ビジネスジェット機でも知られ、最近では再使用型ロケットでも話題のホンダ。その始まり、つまり「祖業」は二輪車にある。
スタートは自転車用補助エンジンである、1947年のA型。本田技研工業設立の後は、1949年のドリームD型などを生産。1958年には、あのスーパーカブ(C100)も世に放たれている。
その後もホンダの基幹事業として順調に成長を遂げていった二輪車部門は1997年に生産累計1億台を達成。それ以来、2008年には2億台、2014年には3億台と数字を伸ばす。また2018年には年間生産台数が初めて2000万台を超え、2019年に生産累計4億台を達成することとなる。
そして2025年、5億台を達成するに当たり開催された今回の記念式典。二輪車の大きな市場のひとつ、インドにて行われることとなった。
会場はホンダモーターサイクルアンドスクーターインディアプライベート・リミテッド(HMSI)の第4工場で、同社プレジデント&CEOの大谷 包氏や本田技研工業 執行役の加藤 稔氏のほか、工場のある州知事や政府関係者も参加。
特別会場に集まった大勢の従業員の前で、記念すべき日を祝った。
第4工場はグジャラート州 アーメダバード地区 ヴィッタルプールにある。当日にはこの工場に、4番目の生産ラインが新設されることも発表。活況さが伝わってくる。
こちらが、記念すべき5億台目のモデル。現地で大人気だというアクティバで、市街地でもたくさん見かけた。
1948年の本田技研工業設立から77年で達成 1948年に創業したホンダは、「技術で多くの人々の生活をより便利にしたい」というブレないコンセプトで多くの国や地域のユーザーニーズに合った製品やサービスを[…]
道路はとにかくバイクだらけ、販売店も大忙し
式典の後では、インドにおける販売の現場も取材する機会を得た。
道中でも確認できたが、日常の足として、現代の日本よりももっと「当たり前のもの」として日常に溶け込んでいるバイク。
当然販売台数はもちろんのこと、整備に回ってくる台数も非常に多いとのことで、訪れた販売店の整備場でも20名以上の整備士が、忙しそうにバイクを点検・整備していた。
とくにインドでは、ジュエリーや金属製品を購入するのに縁起が良いとされている日(ダンテラス)があり、なんとその日の販売台数は約16万台(インド国内・ホンダ車のみ)にも及ぶという。
2024年における主要4メーカーの、日本国内での新車出荷台数が約32万台(二輪車新聞調べ・推定値)であることを考えると、とてつもない巨大市場だということが分かるだろう。
お邪魔した、旧市街の販売店。日本国旗にレッドカーペット。暖かく迎え入れてくれる。
綺麗なショールームに人気モデルがズラリ。
ヘルメットは一応義務化されているようで、定員など含めた安全に対する意識付けや、子どもへの教育も今後、重要になっていきそうだ。
組み立てから出荷までを直線で行える「無駄」のない生産工程
HMSI第4工場での生産ラインも見学することができたので、こちらも合わせてご紹介しよう。
まず驚いたのは生産ラインの「ストレートさ」。アッセンブリーから検査、出荷まで(本当に)真っ直ぐにレイアウトされており、無駄なスペースを少なくできている印象。
日本国内よりも土地の制約が少ないのだろうが、運搬工程や中間在庫についてもより最適化できていそうだった。
また生産ラインには、人間の数が国内の類似工程のそれよりも比較的多いように見受けられた。
これには「雇用という観点で地域に貢献する」ことのほか、「アルバイトのような雇用形態だと11か月程度までしか雇ってはいけない(=多工程を覚えてもらってもいなくなってしまう)」などなど、地域ならではの理由がある模様。
日本国内で生産することとまた違った、海外生産ならではのさまざまな悩みや工夫があるのだろうと思う。
このほか、現場のリーダーからは工程の工夫や従業員のモチベーションをアップさせる施策、植樹やため池造成、トイレの設置に教育機会の増加など、HMSIが地域に対してどう貢献しているのか等の発表も受けた。
総じて、ただ「製品を作って出荷すればいいのではない」という、日本の「ものづくり」精神が根付いていることを感じた次第だ。
製造ライン。一部の製造業では5Sや6Sなどとも呼ばれるが、整理整頓が行き届き、清掃もきちんとされ清潔な印象。無駄話をする作業員もおらず”しつけ”も行き届いている。
この日は特別に、5億台目の車両と同じホワイト系のカラーがラインに流れていたが、通常インドではブラックなど「ダーク系」のカラーリングが好まれるそう。
工場で振る舞われたカレー。おいしい! でもちょっと辛い! 工場のあるインド西部のカレーは、甘い方なのだそう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
400cc以下なら4気筒より2気筒が優位? CBX400Fが誕生するまでの経緯は、’17年型CBR250RRや’92年型CB400SF、’86年型NSR250Rなどの生い立ちに通じるものがある。 もち[…]
レジェンド:フレディ・スペンサー視点「軽さと許容範囲の広さが新時代のCBの証だ」 私は長年、新しいバイクのテストをしてきたが、その際に意識するのはバイクから伝わる感覚、アジリティ(軽快性)、そして安定[…]
原付免許で乗れる“新しい区分の原付バイク”にHondaが4モデルを投入! 新たな排ガス規制の適用に伴い、2025年10月末をもってHondaの50cc車両は生産を終了しましたが、2025年4月1日に行[…]
同時代の旗艦とは異なる改革の旗手としての資質 新技術はビッグバイクから。昨今の2輪業界ではそれが常識になっているけれど、’80年代は400ccが改革の旗手となるケースが珍しくなかった。CB[…]
経済性と耐久性に優れた素性はそのままに、ブレーキ性能を向上 ホンダはタイで、日本仕様のキャストホイール+ABSとは別ラインになっているスーパーカブ110(現地名:スーパーカブ)をマイナーチェンジ。新た[…]
最新の関連記事(ニュース&トピックス)
KCBMの熱狂とライダーとの交流 1998年から続くKCBMは、コーヒーを片手にライダー同士が親睦を深める、カワサキファンにとっての聖域ともいえるイベントだ。2025年の開催当日は2000台から300[…]
バイク向けの次世代コネクテッドクラスター かつてオーディオ機器を生産し、現在はカーナビやドライブレコーダーといったモビリティ向けの製品を主力としているパイオニアが、2026年1月6日(火)~9日(金)[…]
日本発のトランスフォーマブル・バイク「タタメルバイク」 タタメルバイクは、日本のものづくりの精神と、自由な発想が融合して生まれた「持ち運べるパーソナルモビリティ」だ。最大の特徴は、その名の通りの折り畳[…]
バッテリーで発熱する“着るコタツ”WindCore ヒーターウエア ワークマンの電熱ウエア「WindCore」シリーズは、スイッチひとつで温まることから“着るコタツ”として、累計60万着以上を売り上げ[…]
6999ドルで入手したバイク「VOGER」、ハーレーよりでっかい箱で到着! タンクの中が明るいぞ! 彼女を乗せたらどこに足を置けばいいんだ? ヘッドカバーがプラスチック?! アメリカの人気YouTub[…]
人気記事ランキング(全体)
何でもありルールに世界のメーカーが飛びついた WRCグループBカテゴリーは1982〜86年まで続いたラリー競技。レース好きならご存じの通り、レギュレーションはほぼ「何でもあり」的なニュアンスでした。レ[…]
16日間で211万着の「メディヒール」が物量攻勢で復活 ワークマンが展開するPBリカバリーウェア「MEDIHEAL(メディヒール)」シリーズが、いま爆発的なヒットを記録している。2026年、秋冬商戦に[…]
日本発のトランスフォーマブル・バイク「タタメルバイク」 タタメルバイクは、日本のものづくりの精神と、自由な発想が融合して生まれた「持ち運べるパーソナルモビリティ」だ。最大の特徴は、その名の通りの折り畳[…]
火の玉「SE」と「ブラックボールエディション」、ビキニカウルの「カフェ」が登場 カワサキモータースジャパンは、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開した新型「Z900RS」シリーズについてスペッ[…]
アドベンチャールックは伊達じゃない! 大型バイザーの恩恵 まず目を引くのが、オフロードテイストを感じさせる大型ピークバイザーだ。これは単なるファッションではない。 直射日光を遮る“ひさし”としての機能[…]
最新の投稿記事(全体)
待望のリニューアル!タナックスのキャンピングシートバッグシリーズ! ツーリング用シートバッグの定番として長年多くのライダーに選ばれてきたタナックスのキャンピングシートバッグシリーズがリニューアルされた[…]
Screenshot ヘルメットのトレンドはマットタイプ マットタイプ(ツヤ消し)のヘルメット人気、凄いですよね。 とある販売店さんに聞いたところ、新規でヘルメットを購入される方の約7割がマットタイプ[…]
KCBMの熱狂とライダーとの交流 1998年から続くKCBMは、コーヒーを片手にライダー同士が親睦を深める、カワサキファンにとっての聖域ともいえるイベントだ。2025年の開催当日は2000台から300[…]
400cc以下なら4気筒より2気筒が優位? CBX400Fが誕生するまでの経緯は、’17年型CBR250RRや’92年型CB400SF、’86年型NSR250Rなどの生い立ちに通じるものがある。 もち[…]
2026年2月発売! 注目のカワサキ製新型ネイキッド3モデルに早速触れてみる 10月30日から11月9日までの期間に開催されたジャパンモビリティショーで初披露となったカワサキの人気モデルZ900RSの[…]
- 1
- 2















































