
「久しぶりにバイクに乗ろうと思ったら、エンジンがかからない!」そんな経験はありませんか? もしかすると、今まさにその状況で困っているかもしれませんね。そんなあなたのバイクが半年以上の長期保管車両でキャブレター仕様なら、分解せずに直せる可能性があります。必要なのはドライバー1本だけ! 試しておいて損はない簡単な方法なので、ぜひ試してみてください~!
●文:ヤングマシン編集部(DIY道楽テツ)
放置車両にやってくるエンジン始動不良
久しぶりにバイクに乗ろうと思ったら、エンジンが始動しない…! セルを回しっぱなしにしてもエンジンに火が入る気配はなく、ガソリンタンクの中身をチェックしてもちゃんと燃料は入っている。以前はちゃんと動いていたはずなのに、なぜ?? そこで焦ってJAFを呼ぶのはちょっと待った。
もしあなたのバイクが昔のキャブレター仕様で、前回動かしてから半年以上時間が経っているといった状況なら、キャブレターを分解することなく直せる場合があります。
ガソリンは劣化すると始動不良を起こす
ガソリンは古くなると劣化します。その理由は、ガソリンの中の爆発に必要な成分が揮発して変質してしまうから。でも、「燃料タンクを開けても腐ったガソリンのような臭いはしないし、傷んだ気配もないのに…なんで?」と思うかもしれません。それは、キャブレターの構造が関係しているのです。
キャブレターには、現在では一般的なインジェクションとは違い燃料ポンプがついていません。その代わり、フロートチャンバーという小さな部屋にガソリンが溜まる構造になっているのです。
そして、そのフロートチャンバーは大気圧を保つために細い通路で常時外気と繋がっています。ところが、それが原因でキャブレター内部のガソリンが傷んでしまうことがあるのです。
燃料タンクの中にはガソリンがたくさん入っていて、その容量に対して空気に触れる面積が小さいため劣化しにくいのですが、キャブレターのフロートチャンバー内には機種によって差はあるものの、基本的には少量のガソリンしか入っていません。そのため、空気に触れて劣化してしまうまでの時間が短い傾向があるのです。
気温や車体の保管コンディションによって大きく変化しますが、筆者の経験上、半年もするとエンジン始動不良を起こす可能性は十分あります。つまり、キャブレターのガソリンを入れ替えさえすれば、エンジンが始動する可能性が高いということなのです!
ガソリンを入れ替える方法
では、どうしたらいいか? まずはガソリンコックをオフにして(負圧式コックならそのままでOK)、キャブレターの底面にあるドレンボルトを緩めてガソリンを抜きます。
フロートチャンバーの下部になるネジがドレンボルト。+ネジのものと-ネジのものがある。
ドレンボルトを緩めるとガソリンが出てきます。受け皿の用意をしておくのがベター。
ガソリンが抜けきったところで、ドレンボルトを元通り締め込んで、ガソリンコックをオンにして(負圧コックならセルモーターを回して)ガソリンタンクからまだ傷んでいないガソリンをキャブレターに流し込んでやるのです。ガソリンが傷みかけていた程度ならば、これだけでエンジンが始動します。
とはいえ、エンジンが始動してもなんとなく調子が悪かったり、アイドリングが不安定になったり、よくエンストを起こすような症状が出るのであれば、なんらかのトラブルが発生している可能性が高いので、早いうちにバイク屋さんに持ち込んで、プロの整備を受けるようにしましょう。
理想は定期的なエンジン始動
私のYouTubeチャンネルのほうでは、「バイクを元気にしたい!」というコンセプトのもと、3日に1本ペースでバイクいじりの動画を投稿しております。よかったら遊びにきてくださいね~!★メインチャンネルはコチラ→「DIY道楽」 ☆サブチャンネルもよろしく→「のまてつ父ちゃんの日常」
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(メンテナンス&レストア)
論より証拠! 試して実感その効果!! 老舗カー用品ブランド・シュアラスターが展開するガソリン添加剤「LOOP」シリーズ。そのフラッグシップアイテムである「パワーショット」をさまざまなバイクやクルマに実[…]
マジックフォームとは? 「マジックフォーム」とは、シャンプーを泡状にして広範囲に噴霧する、プロのような洗車を自宅でも実践できるアイテムです。 泡噴射ができるフォームガン2種(蓄圧タイプ/高圧タイプ)と[…]
自分のミスではないアクシデントで運命を分ける空気圧! タイヤの空気圧は大事……わかっちゃいるけど、つい面倒でチェックが疎かになりがち。 しかし脅かすワケではないけれど、実は空気圧が適正に保たれていない[…]
メンテナンスで覚えて、カスタムで楽しむモンキー&ゴリラ 今回登場するのは、88ccにボアアップした初期型Z50J-IIIゴリラ(1978)。排気量アップに合わせてキャブセッティングを行う必要性があると[…]
かつてバイク乗りに親しまれていた「解体屋」文化 ボロボロのバイクが無造作に山に(比喩ではなく本当に山積み)なっていて、客は工具を片手にその山に登って部品を剥ぎ取ってきたり、バラした部品を集めてその場で[…]
最新の関連記事(工具)
作業環境を整えるアイテムが、ミスを減らして仕上がりを向上させる 塗装好きのサンデーメカニックといえども、整備で使う工具に比べて塗装関連の道具を使う機会は少ないはず。スプレーガンの置き場が定まらずひっく[…]
「失敗したかも…」を最小限に食い止めるアイテムも欲しい 最初から最後までトラブルなく進行すれば文句はないが、ペイントブースを使えない場合、ゴミが付いたり虫が飛んでくることもある。多くのサンメカが経験す[…]
塗装の仕上がりは段取り次第。作業前と作業後に必要な用品にも注目 塗装するパーツが小さなエンジンカバーなのか、ガソリンタンクなのかで、難易度や緊張感は異なるものの、作業に必要な道具には大差はない。エアコ[…]
多彩なアダプターによる高い汎用性と車載できるコンパクトさが魅力 買い物用の原付スクーターでもサーキットを走行するレーサーでも、タイヤの空気圧管理は重要。空気圧は徐々に低下するため、気がついたら標準値よ[…]
思い通りに調整できないバイクのチェーン バイクのチェーン調整でこんな経験したことはありませんか? 伸びてゆるくなったチェーンを… アジャスターで調整して、チェーンの弛みを適正値に確認して… アクスルシ[…]
人気記事ランキング(全体)
自分のミスではないアクシデントで運命を分ける空気圧! タイヤの空気圧は大事……わかっちゃいるけど、つい面倒でチェックが疎かになりがち。 しかし脅かすワケではないけれど、実は空気圧が適正に保たれていない[…]
1位:「モンキー125」で黄色いモンキー復活【欧州】 ホンダが欧州で、125ccモデル×3車種を発表。いずれも、日本で販売中のカラーリングを纏ったモンキー125、ダックス125、スーパーカブC125の[…]
1990年に撤廃された、国内販売車の排気量上限自主規制 大排気量ランキングの話を始める前に、少し歴史を遡ってみよう。日本では、1969年のホンダCB750Fourの登場を機に、当時の国産車の最大排気量[…]
整備部門に加えて塗装や磨き作業まで社内で行うエルオート。コンディションに応じた最善策で販売車両を製作できるのが最大の強み 数ある絶版車の中で頂点に君臨し続けているカワサキZシリーズ。人気車種ゆえ大物の[…]
オイルの匂いとコーヒーの香り。隠れ家へようこそ。 56designが4月12日に奈良県奈良市にオープンさせる「56design NARA」。以前から要望が多かったという、同社初となる関西圏の新店舗だ。[…]
最新の投稿記事(全体)
レトロポップ感がたまらないカラーを再現 ヤマハのレトロポップさが魅力の原付一種スクーター「ビーノ」。かわいらしいスタイリングそのままに、1/12スケールプラモデルとしてアオシマから登場した。 これまで[…]
ラムエア加圧時は49psの4気筒エンジン、オートブリッパー付きクイックシフターも装備 カワサキのニンジャZX-25R SEは、2023年モデルで令和2年排出ガス規制に適合しながら、最高出力&最大トルク[…]
ニンジャ400と同日発売のストリートファイター カワサキモータースジャパンは、Z250と共通の車体に398ccの並列2気筒エンジンを搭載し、タイヤをラジアルに換装したストリートファイター「Z400」の[…]
ダーク系カラーに異なる差し色 カワサキモータースジャパンは、ニンジャ250と共通の車体に398ccの並列2気筒エンジンを搭載し、タイヤをラジアルに換装したフルカウルスポーツ「ニンジャ400」の2025[…]
スタンダードモデルがブラック/ホワイトの2色ラインナップに カワサキモータースジャパンは、前18/後16インチホイールを履くロー&ロングフォルムなミドルクラスクルーザー「エリミネーター」に追加色を発表[…]
- 1
- 2