
そろそろ暖かくなってきた地域も多く、バイクでのツーリングや新しいウェアについて考えているライダーも多いことでしょう。今回は、是非注目していただきたいアイテム”エアバッグ内蔵ジャケット”についてご紹介。スタイルからコストまで、バランスよくまとまったHit-Airをピックアップしつつ、解説していきます。
●文:石橋 寛(ヤングマシン編集部) ●外部リンク:Hit-Air
「そろそろ? 」「いよいよ? 」いやいや、もはや定番アイテムです!
バイク用エアバッグの安全性、そして重要性が認められるようになって数年が経っています。その間、各メーカーの進化は著しく、また価格がこなれてきたものも少なくありません。
とはいえ、エアバッグというと、サーキット走行やレース向けで「自分にはいらないかな」と考える一般バイカーもまだまだいらっしゃるかと。実際、サーキットやレースによっては義務化、あるいは義務化を進めているところがほとんど。
ですが、それだけ認められている安全性能を一般道向けに使わない手はありません。ロングツーリングやスポーツ走行はもちろん、近所に原付で出かける際でも「手放せない」という愛用者も確実に増えているのです。
2025シーズンは、エアバッグで安心安全なバイクライフを目指しましょう。
【MX-9】 ●サイズ:M / L / XL / 2XL / 3XL /4XL ●価格:6万4900円
今回ピックアップしたHit-Airの、エアバッグ内蔵ジャケット「MX-9」。通気性と強度を兼ね備えたナイロンメッシュを使い、ライディングの動きを邪魔しないアクティブなデザインが特徴。エアバッグは首から腰まで広く展開し、肩・肘にはプロテクター、脊髄はソフトパッドを標準装備。
エアバッグをオススメするたくさんの理由
ある輸入エアバッグメーカーのデータによれば、ライダーの身体に加わる衝撃が一般的なプロテクターに比べて格段に少なくなるというリザルトが報告されています。”極端”な話、プロテクター装着で骨折するような衝撃でも、エアバッグなら打撲傷で済むといったニュアンスでしょうか。
さらに、エアバッグとプロテクターの双方を着用していればより安全性が高まり、打撲傷を含めさらに軽減させられる可能性だってあるということ。
そして、エアバッグは膨張していない時はコンパクトに収納されているというのも、多くのライダーにとってメリットといえるでしょう。事故を未然に防ぐためには、身体の動きも重要なことはご存じの通り。ところが、安全性を重視するあまり、ユーザーがバラバラと組み合わせた多数のプロテクターでもって体の動きが阻害されてしまう、という笑えない話も聞かれます。
この点、エアバッグはジャケット型、あるいはハーネス型であれ、ライダーの動きを基に作られているので、それを阻害するどころか「着ていることを忘れる」ようなフィッティング、着心地の良さがあることも多いのです。
MX-9のエアバッグ展開イメージ。首のエアバッグはヘルメットで重さの増した頭部の衝撃による過度な動きを抑制。また、腰まわりの衝撃緩和もエアバッグならではの機能で、脊髄プロテクターも併用すればより安全性が高まるはず。
MX-9はダークグレイ(イエローのフラッシュライン付き)ブラック(レッドのフラッシュライン付き)そして、ホワイトグレイの3色をラインナップ。
ジャケットorハーネス「どちらを選ぶべきか」
いまやさまざまなタイプが選べるようになり、初めてのエアバッグはなにを選ぶか迷ってしまうほど。たとえば、「着るエアバッグ」としてバイク用エアバッグのトップブランドに君臨する無限電光のHit-Airでは、ジャケット型とハーネス型の双方をラインナップしており、さまざまなニーズに対応しています。
ちなみに、Hit-Airは46道府県の白バイ隊員がハーネス型を着用していることでも有名。筆者の友人もハーネス型を着用しており、白バイ隊員さんに「お揃いですね」と声がけしたところ笑顔でサムアップされたとのこと。
ともあれ、最初のエアバッグとして選ぶのならジャケット型がオススメです。Hit-Airの最新モデル(MX-9/HDS-MS)なら、エアバッグとしての機能はもちろん、肩・肘のプロテクターも標準装備、しかもライディングジャケットとしての機能性をばっちり確保しています。動きやすさや優れた通気性などライダーに寄り添ったジャケットですから、ツーリングからふだん使いまで、幅広く使い倒せるはず。
また、両モデルともエアバッグシステムの脱着が可能であり、他の無限電光製ジャケットにエアバッグだけを転用できるというのも嬉しいポイントではないでしょうか。たとえば、春夏向けメッシュジャケットと、冬のアドベンチャーツーリング用セミロングジャケットを使い分ける、といったライダーにはうってつけのシステムです。
一方で、ハーネス型は前述のサーキット走行や、すでにイカしたジャケットをお持ちの方にオススメしたいもの。Hit-Airではサイズ選択の自由度や、夜間走行向けのリフレクター装備などに加え、保護部位の面積を重視したもの、軽量さを重視したものなどユーザーの好みに合わせて、かゆいところに手が届くモデルが数多く揃っています。
【HDS-MS】 ●サイズ:S / M / L / XL / 2XL / 3XL ●価格:6万3800円
HDS-MSはよりメタリックなニュアンスのメッシュ素材と、カジュアルなフーディスタイルが特徴。エアバッグシステムはMX-9と同様で、首から腰まで展開。
Hit-Airには内蔵されているエアバッグシステムを外して、他のジャケットに転用できるシステムがある。夏と冬でジャケットを替える際など恩恵は大きいはず。
【MLV2-C】 ●サイズ:S/M/L(Sのみ50ccボンベで、それ以外は60cc) ●価格:5万2800円
ハーネス型のベーシックモデルとなるMLV2-Cは筆者も愛用している定番商品。CE認証(EN-1621-4)と、高い安全性を誇るもの。サーキットはもちろん、一般道でもジャケットの上から着るだけなので、オールシーズンに対応可能。
筆者のエアバッグが開いた経験談
かくいう筆者はHit-Airのジャケットとハーネス双方を使い分けています。一般道ではジャケットをおもに使用し、サーキット走行ではハーネスです。また、猛暑の折やオフロード走行時にもハーネス型を使用しており、これはより通気性、涼しさを求めた結果です。
幸いなことに、ジャケット着用時にエアバッグが開くような転倒、事故は経験していませんが、サーキットではその恩恵にあずかったことがあります。筑波サーキットの第1コーナーでの転倒ですから、おそらく60~70km/h程度だったかと。いわゆる開けゴケというやつで、コケた瞬間にバイクがグラベルに滑っていったことを覚えています。
当然、バイクとエアバッグをつないでいたワイヤートリガーが外れて、エアバッグが膨張したのですが、一瞬の出来事で「今開いた」などとは思い出せません。が、開いたエアバッグのおかげで衝撃は感じることなく、わが身が丸太ん棒のようにゴロゴロと転がったことだけを覚えています。また、思いのほかエアバッグの膨張で上半身が締め付けられ、息苦しさまで感じていました。ハーネスのバックルを外せばいいだけのことですが、初めてのことだったので慌ててしまったこともご報告しておきましょう。
ともあれ、エアバッグのおかげで、親指に軽い捻挫を負っただけ(これはさすがにエアバッグでは守り切れません)で済み、他にはどこにもケガや打ち身はなく、医務室で「エアバッグがあってよかったですね」と感心された次第。
なお、筆者がHit-Airを気に入っているポイントとして維持費用の安さも加えておきましょう。初期費用はともかく、輸入品の中には一度開いたら再使用に数万円かかるとか、定期的なメンテナンス費用だけで数万円となるものもあり、安全のことだけでなく財布のことまで気になってしまうはず。Hit-Airなら再使用に使うボンベは1本1300~1500円程度ですから、変な話「いくら転んでも大丈夫」と強がれるのです(笑)。
エアバッグを装着するまで、筆者は何度となく転倒や自損事故でもって大小さまざまなケガを負ってきました。自分の未熟さによるものだけでなく、予期せぬ事故に遭遇したこともたびたびあります。こうした場面でエアバッグを使っていたら、と振り返るたびに後悔のため息しか出てきません。すでにお使いの方からは共感いただけることでしょうが、まさにエアバッグは「転ばぬ先の杖」。バイクに乗るならタイヤやオイルに投資するのと等しく、安心・安全に気を配るに越したことはありません。
MX-9等のジャケットに内蔵されるエアバッグの構造図。前身ごろに見えるボンベは50ccで、着用していれば、存在を忘れるほどコンパクト。なお、エアバッグシステムは脱着可能で、HDS-MSなど対応ジャケットへの転用もできる。
写真はMX-9。エアバッグが展開した後は、こちらのボンベを取り換えるだけで再利用が可能。また、その際は無限電光での点検サービス(有料)も用意されている。なお、ボンベは1本1300~1500円とリーズナブルな設定だ。
レーシングスーツの上にHit-Air(MLV-C)を着用する筆者。動きを邪魔することは一切なく、重さも気にならない。ワイヤートリガーを外さずに降りて、エアバッグが開くことがあるというものの、トリガーはかなりの強さ(約30kg)が必要なのでたいていの場合は(付けっぱなしに)気づくだろう。なお、バイクレース専用モデル(RS-1:5万2800円)はボンベが背面にあり、タンクに伏せる姿勢を妨げない工夫がなされている。
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