
Z1000の派生/上級機種として1978年に登場したZ1-R。そしてその系譜を引き継ぎ、Z1000Mk.IIをベースとしたZ1-RII。この両車は、当時王道だった流線型と決別し、カワサキ独自となるスクエアデザインの基盤を構築した。また吸排気系の刷新で、最高出力90psに到達した記念碑的モデルである。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
カワサキZ1-R 概要:流麗なるカフェレーサー
世界的に流行していたカフェレーサーのコンセプトを取り入れたのが、1978年に登場したZ1-Rだ。ベースはZ1000で、専用のカウルやシャープな造型の外装を装着。
さらに、低いハンドルや集合マフラーを備えるなど、先進的な装備が目玉のモデルだった。車体色は青味がかったシルバーで、ビキニカウルからテールにいたるブルーのピンストライプの縁取りが美しい。
ホイールは当時普及し始めたキャストタイプを採用。最新の装備ではあったが、車体ディメンションをZ1000と変えずに前輪18インチ化したため、高速走行での操縦安定性は良い評価を得るに至らなかった。
後のZ1-RIIは、マークIIをベースにしたため前輪が19インチになり、操縦安定性が大きく改善された。燃料タンク容量も13Lから20Lに改められ、使い勝手が向上。マフラーは2本出しに変更されている。
【1978 KAWASAKI Z1-R】■空冷4スト並列4気筒 DOHC2バルブ 1015cc 90ps/8000rpm 8.7kg-m/7000rpm ■246kg(乾) ■タイヤF=3.50-18 R=4.00-18 ※輸出モデル
左に速度計、右に回転計、その上部に燃費計と電流計を配置。各種警告灯も充実しており、尾灯の断線を表示するランプまである。
Z1-Rのカタログで使われた印象的な写真。夕日を浴びた流麗なボディデザインは、ポルシェ911と並べても遜色がない。
カワサキZ1-R 派生モデル
【1979 KAWASAKI Z1-RII】マークIIをベースとするZ1-RII。足まわりはフロントが19インチ化され、4インチ2マフラーを採用。最高出力は4psアップの94psとなった。
カワサキZ1-R 兄弟モデル
FXは車体も重量もマークII譲りのため、ナナハンとしては大柄で重い。そこでナナハンキラーの異名をもつ軽量コンパクトなZ650ベースのFX-IIが登場。その車体はFX-IIIにも受け継がれた。
【1979 KAWASAKI Z750FX】マークIIの国内版。直線基調のボディも特徴だ。型式はD2で、後のD3は点火方式がトランジスタ式になりZ2直系の最終型になる。
【1980 KAWASAKI Z750FX-II】Z650ベースの738ccユニットを搭載。軽量コンパクトな車体に変貌したが、威風堂々としたカワサキらしさは薄れ、人気は低迷。
【1981 KAWASAKI Z750FX-III】丸型燃料タンクは不人気との判断か、角型デザインを復活。車重は1kg増え、シート形状や表皮パターンも変更された。
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