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ホンダの売れ筋モデル「GB350」が発売されてから3年が経過し、空冷単気筒の鼓動感やサウンドの虜になったライダーは多数。そして、当初から燻っていた大排気量版「GB500」の存在が見えてきた! ……かもしれない。
●文:ヤングマシン編集部
グローバル展開では『500cc』のほうが有利になる地域も
ホンダ「GB350」シリーズといえば、直近ではクラシカル要素を強化したGB350Cも新登場し、走りのフィーリングまで変えてくるこだわりっぷりが話題になった。相変わらず販売台数では400ccクラスの上位を走っており、ホンダ人気の一角を占めているのは間違いない。
そんなGB350だが、発表当初から大排気量版「GB500」の存在が囁かれていた。なにしろ、発表当初のメディア試乗会に展示されたシリンダーヘッドには、排気量500cc超へのボアアップを施せるだけのマージンが見て取れたのだ。
しかし、最初に発表されたインドでは350ccが主流だし、日本では免許制度によって400ccを超えるものがなかなか受け入れられない土壌がある。そんなこともあって、GB350が発売されてからも『GB500』の噂は上っては消え、上っては消え……という状況だった。
GB350のシリンダーや車体には、明らかに大排気量版を見越した設計が見られる。ヤンマシスクープ班では上級版の「GB500」が出ると以前からネチネチ予想してきた。ただし日本で500ccの需要は少ないことから、海外での要望がカギになると睨んでいる。画像は2023年時点の予想CGだ。
話が変わってくるのはこれからだ。ホンダは欧州にGB350Sの導入を決め、アジア圏でも数か国にGB350シリーズをラインナップしはじめている。この先は、500ccクラスのほうが受け入れられやすい地域が出てくるはずなのだ。
……といった状況の中、ホンダが海外のいくつかの地域で「GB500」の商標を出願していたことが判明した。アメリカにおける出願日は2024年11月12日であり、これは2025年以降の比較的近い時期に実車が登場することを予感させる。GB350はすでにユーロ5+に適合していることから、ハードルはそれほど高くないはず。
日本で同じモデルが展開されるかはわからないが、いずれかの地域で発売されれば、ユーザーが純正パーツを使って排気量アップのカスタムを行なえる可能性はあるだろう。
予想は2025年発表、2026年までに日本帆含む各地域で発売か。続報に期待したい!!
アメリカなどで出願されたGB500の商標。お早目にカモーン!
【状況証拠】試乗会場に鎮座したシリンダーヘッド
GB350シリーズ発表当初に開催されたメディア向け試乗会では、会場にクランクとシリンダーヘッドが展示された。そこで注目したのは、シリンダー内径とシリンダーヘッドを固定するボルトの距離だ。
手持ちのスケールで計測してみたところ、シリンダーヘッドの外周φ70.0mmはシリンダーと同径で、メジャーで計測してみるとスタッドボルトとシリンダー外壁には約23mmもの厚みがあることがわかった。ということは、安全マージンとして15mm程度の厚み残した場合、ボアはφ86mmになり、排気量は約525ccに。500ccから逆算した場合で言えば、ボア径はφ84mmあれば足りることになる。
左が試乗会場で明らかになったシリンダーヘッドの燃焼室側。バルブ径の大きい方が吸気バルブ、小さいほうが排気バルブだ。燃焼室の径はφ70mmで、四隅にあけられたヘッドボルトの穴からは約23mmのクリアランスが確保されている。ここからボアアップのマージンを検証してみた。右はヘッドのカム側で、バルブ間にオイルを流すことで積極的に冷却していることがわかる。下方の空間はカムチェーンが通る。
もちろんこれは状況証拠に過ぎず、当時ホンダ関係者に聞いて回ったところで公式回答は「その予定はない」だった。ではあるが、その後に向けてマージンを残していることは明らかで、状況さえ整えば発売に向けて動くことはできるはず、との手応えはあったのだった。
じっさい、ホンダのエンジンは昔からある程度のマージンを残して設計されている例も少なくない。たとえば2012年に発売されたNC700シリーズから2016年発売のNC750シリーズにモデルチェンジした際には、73.0×80.0mm=669ccから、3mmボアアップの77.0×80.0mm=745ccへと排気量が拡大されている。
左は2012年発売のNC700X、右は2016年に発売されたのち2021年にフルモデルチェンジを果たしたNC750X(写真は最新版)だ。排気量アップとともに鼓動感が強調され、2012年[669cc・50ps/6250rpm]→2016年[745cc・54ps/6250rpm]→2021年[745cc・58ps/6750rpm]とパワーアップ。
また、1994年に発売されたRVF/RC45は72.0×46.0mm=749ccだったが、1998年に発売されたVFR800Fでは2mmストロークアップの72.0×48.0mm=781ccになっている。ギリギリの設計であるはずのスーパーバイクレプリカですらマージンが仕込まれていたのだ。
左は1994年発売のRVF/RC45で、当時の馬力自主規制により749cc・77ps/115000rpm。右は2018年にニューカラーとなったVFR800Fで、781cc・107ps/10250rpmだ。1998年のVFR(800)登場時は自主規制もあって781cc・80ps/9500rpmだった。
これらに比べると、GB350のボア径にはかなりの余裕が持たされている。
もちろん、500cc化にともない大きくなったトルクに対し、駆動系の強化やバルブ径を最適化した新作ヘッドが必要になるといった課題も想定されるが、一方でロングストローク設定の小径ボアでオフセットシリンダーを採用したことにより必要となっていた湾曲コンロッドが不要になる可能性も考えられる。
これらの状況証拠はかなり理にかなったものに思え、もしかするとストレートコンロッドの500ccを想定した基本設計をしておいて、348ccで成立させるために湾曲した前後非対称コンロッドを採用したのでは……と勘繰ってしまったほどだ。
いちばん右が件のクランク&湾曲コンロッドだ。
実際のところ、排気量アップでどうなるの?
実際にGB500が登場する(かもしれない)条件は、とにもかくにもGB350がよく売れること。これはほぼ達成したと見ていいだろう。そして、税制や法規の関係で500ccでも問題ない国から強い要望があれば、可能性はさらに高まる。そして実際、要望は多かったとの情報もある。
というわけで、先走ることでお馴染みのヤングマシンとして、500cc化されたGBの乗り味を想像してみたい。
ストロークが同じ90.5mmでボアアップした場合、レブリミットはGB350と同等の6000rpmか、やや下がった5750rpm程度になるんじゃないだろうか。ピストン重量が増すぶんを技術やグレードアップした素材などでで相殺してもらうとして、リミットやピークが同じ回転数と仮定してみると、期待できる数値は最高出力28ps程度/5500rpmに、最大トルク4.3kg-m程度/3000rpmになるだろうか。スロットルをひねったときの蹴り出し感はかなり強くなるだろうし、サウンドもさらに野太くなるはずだ。
トラクションコントロールシステムに相当する「ホンダセレクタブルトルクコントロール」はキャンセル可能。ダート上でも力強いダッシュを見せたが、500cc化が実現したあかつきには……。
アイドリング(1000rpm前後)~1500rpmの蹴り出しも確実に強まり、官能的な鼓動感とダッシュ力は一段と高まるだろう。ここで2つのバランサーをどのように味付けするかがキモになるかもしれないが、個人的には、ややワイルドさを出すためにGB350よりも振動を残し気味にしてもいいのではないか、と思わないでもない。
あと、GB350のように加速時は気持ちのいいパルス感に彩られながら、アクセルを戻すと“ルルルルッ”と静かで柔らかいフィーリングへと変化する美点も残ると嬉しいから、このあたりのバランスをうまく取るか、エンジンブレーキの電子制御でうまいこと(以下略)
いずれにしても、車体まわりに大きな変更はなく500cc化されるのではと予想する。
今回の商標出願によって状況証拠は整いつつあり、GB500の実現にまた一歩近づいたと思っていいんじゃないだろうか。
500cc化しても引き算の美学を貫くのか、それともワイルドさも身につけた新しいビッグシングル像を提案するのか。その答えは2025年~2026年の間に明らかになる……といいなぁ……。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
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