
ホンダが二輪車の「フロントカウル構造」に関する特許を出願していたことがわかった。2022年6月15日に出願され、公開は2023年12月27日。カウル内を通った走行風によってダウンフォースを得る仕組みだ。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
カウルは2タイプ、それぞれで特許が出願されている!
2027年以降、MotoGPでは現在のようなウイングが禁止または縮小の方向でレギュレーションの改正が行われる予定だ。ほかにもライドハイトデバイスなど、市販車に結び付けにくいとされるメカニズムについても何らかの措置があるのではないかと言われている。
これを先取りするかのような特許がホンダから出願されていたことがわかった。特許名は「鞍乗型車両のフロントカウル構造」であり、2022年6月15日に2パターン同時の出願が同名で行われている。
いずれの特許も、ダウンフォースを大きくしながら空気抵抗を低減することができるフロントカウル構造についてのもの。外側に羽が生えたような構造ではなく、カウル内部を通過した走行風に対して、断面が逆翼形状となった部分でダウンフォースを発生させる仕組みになっている。
通常のウイングも揚力ではなくダウンフォースを発生させるため逆翼形状となっているが、これをフロントカウルの両端に設けることで空気抵抗は大きくなる。これを解決するため、カウルに設けたダクトに走行風を通過させ、その中でダウンフォースを発生させるのがこの特許の骨子だ。
外翼タイプよりも空気抵抗を低減することができるといい、さらにフロントカウルから後方に流れる風を上方かつ外側に向けて流すことでライダーへの風の直撃を弱めることが可能で、これも空気抵抗の低減に貢献する。後方に排出された走行風がライダーを包むエアカーテンのように機能するわけだ。
また、空気抵抗の低減だけでは走行風が車体に張り付くように流れてしまって車体の運動性が阻害されかねないが、この構造では運動性の確保も謳われている。
2種類のカウルはカウルの分割構造やダクトの造りが異なっており、走行風の流し方も異なるため、それぞれに様々な機種で応用ができそうだ。これらは従来もあった、ウイング端を露出させないためのダクトウイングの発展形と見ることもできそうで、ある意味では先祖返りのようなスッキリとしたカウル形状を実現することになりそう。
もちろん、エアロダイナミクスの向上は燃費改善にも効果があるため、公道を走れるスーパースポーツモデルにも適用されることになるだろう。次期もしくは次々期CBR1000RR-Rあたり(まさかのCBR1000RR-RRとか!?)で見ることができる……か?
フロントカウル構造、タイプ1
鞍乗型車両のフロントカウル構造(その1)
フロントカウル構造、タイプ2
鞍乗型車両のフロントカウル構造(その2)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
操作感はまるで4気筒スーパーカブ!? ライダーのクラッチ操作を機械が肩代わりしてくれる電子制御システムの登場だ! ホンダは世界初 二輪車用「Honda E-Clutch」の情報をホームページで公開。発[…]
4輪の車線維持システムと類似 4輪の技術で『車線内の中央を走るように制御する』というシステムがあるのをご存じだろうか。ホンダで言えば「レーンキープアシストシステム=LKAS」と呼ばれるもので、日本語で[…]
コーナリング中の自動ブレーキでも車体姿勢をキープできる これはライダーなら直感的に「そりゃ実現は難しいよね」と思う代物で、たとえばカーブで車体が傾いているときに自動ブレーキが作動したとしたら挙動が乱れ[…]
より操作に忠実な過給機付きエンジンを実現する! ホンダがアフリカツインに過給機を搭載?! そんなニュースが現実味を帯びてきたかもしれない。2020年の特許公開時には海外メディアを中心に話題となったが、[…]
オートクラッチ操作とマニュアル操作を自在に切替可能? 2021年6月にお伝えした『クラッチもバイワイヤ! ホンダの新たな特許、指1本で軽々操作できる……だけじゃない?!』という記事を覚えている方はいら[…]
最新の関連記事(メカニズム/テクノロジー)
【冒頭解説】ECUをサスペンションに一体化、フロントフォークに自動車高調整を初採用 2021年1月に日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合して誕生した日立Astemo(ア[…]
ヤマハ発動機と三菱重工業は、200kgの貨物を搭載可能な中型マルチコプター型無人機(以下、中型無人機)の開発に向けた共同研究を行っていることを発表した。 パワーユニットには、ヤマハが2023年にコンセ[…]
スズキは、5月から7月にかけて横浜・名古屋・オンラインで開催される「人とくるまのテクノロジー展 2025」(主催:公益社団法人自動車技術会)に出展する概要を発表した。 今回のスズキブースでは、2025[…]
ヤマハ発動機は、5月21日(水)~23日(金)にパシフィコ横浜で開催される国内最大級の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)に出展し、同[…]
そもそも「過給機」とは 世界最大規模の2輪車ショーといわれるEICMA(ミラノショー)。2024年11月に開催された同ショーにおいて最大級の注目を集めたのは、ホンダが初公開した電動過給機付きV型3気筒[…]
最新の関連記事(ホンダ [HONDA])
ドリームはホンダ初の本格バイク 1947年のA型からプロトタイプのB型(1948年)、エンジンに加え自転車フレームも初めて自社製としたC型(1949年)を経て1949年8月に登場したのがドリームD型と[…]
以前、Honda E-Clutchを開発した方々にインタービューしたとき「最初はHonda E-Clutchなんていらないと思っていたけれど、一度乗ったら考えが変わった」という話をお聞きしました。 じ[…]
2024年モデル概要:排ガス規制に適合し、実質的な値下げを敢行 2020年モデルでは平成28年排出ガス規制(≒ユーロ4)対応だったため、2022年11月以降は車両の生産自体が不可となっていたが、その後[…]
ホンダ「モンキー125」(2021)比較試乗レビュー この記事ではかわいらしいフォルムと実用性が同居したファンバイク、モンキー125の2021年モデルについて紹介するぞ。ミッションが5速化されたうえに[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
人気記事ランキング(全体)
日本を代表するツーリングロードのティア表だっ! 「次のツーリングは、どこへ行こう?」 そんな嬉しい悩みを抱える全てのライダーに捧げる、究極のツーリングスポット・ティア表が完成した。 ……いや、そもそも[…]
Z1、GPz900R、Ninja ZX-9Rから連なる“マジックナイン”の最新進化系 カワサキは、948cc並列4気筒エンジンを搭載したスーパーネイキッド「Z900」および上級モデル「Z900 SE」[…]
幻のヤマハロータリー〈RZ201〉 1972年東京モーターショウの最大の話題は彗星のように登場したこのローターリー車だ。水冷・横置きツインローターを搭載、また前輪とともに後輪にもディスクブレーキを採用[…]
涼しさの心臓部。それは「素材」と「構造」の魔法的組み合わせ うだるような暑さと、じっとりと肌にまとわりつく湿気。毎年繰り返されるこの季節に、多くの人が少しでも快適に過ごせる服を探し求めている。そんな中[…]
機能性を損なうことなく利便性を高めた、期待の新製品 おたふく手袋は、長年、多くのプロフェッショナルから信頼され続けている老舗軍手メーカー。同社が展開する「BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)[…]
最新の投稿記事(全体)
オートマ・AMT&ベルトドライブ採用の250ccクルーザー! 自社製エンジンを製造し、ベネリなどのブランドを傘下に収めることでも知られる、中国・QJMOTOR。その輸入元であるQJMOTORジャパンが[…]
『ヤングマシン電子版7月号』WEBマガジンの閲覧も読者プレゼント応募も”無料”! 現在、当サイトのトップページに掲載中の『ヤングマシン電子版7月号』において、豪華商品が当たる読者プレゼントを実施中だ![…]
Paceプロジャケット:高い安全性と通気性を両立 前面のMロゴがスポーティな印象を与える新作ジャケット。伸縮性と耐摩耗性に優れたアウター素材が、ワインディングからロングツーリングまであらゆるシーンで動[…]
ドリームはホンダ初の本格バイク 1947年のA型からプロトタイプのB型(1948年)、エンジンに加え自転車フレームも初めて自社製としたC型(1949年)を経て1949年8月に登場したのがドリームD型と[…]
K-2439 フルメッシュロングジャケット:スタイルと機能を両立するツーリングジャケット 腰までしっかりと覆う安心感のあるロング丈でありながら、後襟から袖口へ流れるように入ったラインデザインと、ウエス[…]
- 1
- 2