スーパーバイク世界選手権の最終戦後、スペイン ヘレスサーキットで来シーズンへ向けてのテストが2日間にわたって行われた。もっとも注目を集めたのは、やはりカワサキからヤマハへ電撃移籍を敢行したジョナサン・レイ選手の動向だろう。
●文:ヤングマシン編集部(ヨ)
総合トップはヤマハのレミー・ガードナー選手
ヤマハのYZF-R1がひと際注目を集めた。ジョナサン・レイ選手の移籍から初走行という大きなトピックに加え、来季でヤマハ2年目のレミー・ガードナー選手がコースレコードを上回るトップタイムを叩き出したのだ。
スーパーバイク世界選手権の最終戦後、10月31日・11月1日にヘレスサーキットで行われたテストで記録した1分38秒448は、最終戦の予選ポールポジションだったドゥカティのアルヴァロ・バウティスタ選手のタイムを0.278秒も削り、堂々のオールタイムラップレコード。2位はSSPチャンピオンからステップアップするニコロ・ブレガ選手(ドゥカティ)が1分38秒726を記録。
そして3位のジョナサン・レイ選手は、初乗りだった初日にウェットパッチで軽い転倒を喫するものの、2日目には1分39秒179と、最終戦予選タイムの1分38秒907まであと0.272秒と迫った。
4位にはレイ選手が抜けたあとカワサキのエースとなったアレックス・ロウズ選手(1分39秒211)、5位にはドーピング違反から4年ぶりのレース復帰となったアンドレア・イアンノーネ選手(1分39秒3335)が入っている。
ジョナサン・レイ選手のコメント
「僕がチームに抱いた第一印象は最高だった。この移籍に合意したあと、チームとヤマハは本当に僕を歓迎してくれて、過ごしやすいようケアしてくれた。まだ最初のテストだからバイクに慣れるのが目標だったけど、少しショックを受けたよ。今まで乗っていたバイクとあまりに違ったからね。もちろんポジティブな意味でだ。R1はとてもユーザーフレンドリーで、本当の限界を極めるのはまた違った話にせよ、本当に乗りやすい。とても豊かなトラクションを生み出し、速く走るよう促しながら自信を与えてくれる。スロットル操作に集中できて、パワーも引き出しやすい。なぜトプラック(今シーズンまでヤマハのエースライダーを務め、2021年にチャンピオン獲得、来シーズンはBMWへ移籍する)があんな走りを披露し、ロカテリがあれほど競争力を発揮したのかが理解できたよ。全てがよかったね! 良いファーストコンタクトセットアップ作業だった。次回はもっと深く突っ込んで作業していきたい。今日はステップバイステップでいくつかのこと、フォークの仕様やタイヤの異なる組み合わせが可能なことを確かめた。僕からは電子制御についていくつか注文したよ。とにかく今日は”ベースセッティング”を使っただけ。次回からは開発パーツを使ったテストがはじまるだろう。2日間を本当にポジティブに過ごすことができ、R1が自分のバイクになったように感じた。2日目の午後は天気に恵まれたしね。きっと明日の朝起きたらもっといいパフォーマンスを見せられるだろう。でも残念ながら、次のテストまで2週間ほど待たなきゃ。みんなに感謝したい。僕は自分自身を楽しむことができたんだ」
その他、テストの模様を伝える写真がたっぷりあります↓
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
あなたにおすすめの関連記事
WorldSBKオフィシャルサイトで公表 スーパーバイクコミッションを構成するドルナ、FIM、MSMAは、幾度にもわたる会合を経て2024年からスーパーバイク世界選手権のレギュレーションを変更すること[…]
キャリア勝利数119は史上最高記録 ジョナサン・レイ選手がヤマハに移籍する?! そんな噂が出回り始めたのは最近のことだったが、シーズン途中にして正式発表に至った。2024年末までだったカワサキレーシン[…]
34歳ジョナサン・レイ選手、バイクの運転免許を取得す カワサキZ650のメーター前方に大きく掲げられた、赤い文字で「L」が入った標識プレート。これが示すのは、イギリスなどの免許取得時に必要になるラーナ[…]
'93年以来、26年ぶりに鈴鹿8耐優勝を遂げたカワサキ。そのクライマックスは、劇的と呼ぶにもあまりに劇的だった。ファイナルラップでカワサキは転倒。赤旗のまま終わった決勝レース。いったんはヤマハの勝利と[…]
手作業で組み立てられる、可能な限り世界選手権に近い使用 トップライダーのトプラック・ラズガットリオグル選手と同じプロセスで個々のライディングスタイルに合わせたセットアップをしてくれるという、幸運な25[…]
最新の関連記事(レース)
機密事項が満載のレーシングマシンたち バイクムック”RACERS(レーサーズ)”は、「いま振り返る往年のレーシングマシン」がコンセプト。それぞれの時代を彩った、レーシングマシンを取り上げている。 現在[…]
ポイントを取りこぼしたバニャイアと、シーズンを通して安定していたマルティン MotoGPの2024シーズンが終わりました。1番のサプライズは、ドゥカティ・ファクトリーのフランチェスコ・バニャイアが決勝[…]
プロジェクトの苦しさに相反する“優しい雰囲気” 全日本ロードレース最終戦・鈴鹿、金曜日の午前のセッション、私はサーキットに到着するとまず長島哲太のピットの姿を撮りに行った。プレスルームで初日のスポーツ[…]
2024年は鈴鹿8耐3位そしてEWCで二度目の王座に ポップが切り拓き、不二雄が繋いできたヨシムラのレース活動はいま、主戦場をFIM世界耐久選手権(EWC)へと移し、陽平がヨシムラSERT Motul[…]
ポップ吉村は優しくて冗談好きのおじいちゃんだった ヨシムラの新社長に今年の3月に就任した加藤陽平は、ポップ吉村(以下ポップ)の次女の由美子(故人)と加藤昇平(レーシングライダーでテスト中の事故で死去)[…]
最新の関連記事(ヤマハ [YAMAHA])
カブとは違うのだよスーパーカブとはっ! みなさんご存知のとおり、スーパーカブは2014年に立体商標として登録されている。この立体商標とは、いわば“形の特許”であり、立体商標として代表的なのは「コカ・コ[…]
品質がよければ年式は関係ナシ!! レッドバロンで取り扱う中古車のじつに90%以上が『5つ星品質』の条件をクリアしている。それを証明するべく、メディア向けに5つ星品質中古車の試乗会が行われた。 『レッド[…]
いい加減さがいい塩梅!? ダートで遊べるPG‐1 「個人車両なので頼むから無理はしてくれるな…」という編集担当の目を盗んでダートセクションにPG -1を連れ込んでみたら、これが何だか楽しくて仕方ない([…]
似ているようでカブとはまったく違うのだ アウトドアテイストの強いCT125ハンターカブが人気だからといって、ここまでキャラクターを寄せてくることないんじゃない? なんて穿った見方で今回の主役であるPG[…]
1位:PG-1/ハンターカブ/クロスカブ比較インプレ ヤマハの125ccクラスレジャーバイク「PG-1」のタイおよびベトナムでの発売に合わせ、CT125ハンターカブ、クロスカブ110との比較試乗をレポ[…]
人気記事ランキング(全体)
全ての個体にシリアルナンバー入り カワサキドイツの設立50周年を記念した特別モデルが登場した。1975年にカワサキドイツが設立されてから間もなく50周年を迎えるが、すでに2025年モデルとして登場して[…]
全貌が明らかになった2017年10月25日 ヤングマシン誌でそれまでスクープを継続的にお送りしてきたZ900RSが、2017年の東京モーターショーの事前発表会で初お披露目された(一般初公開日は10月2[…]
“ヨシムラ”がまだ世間で知られていない1970年代初頭のお話 世界初となる二輪用の集合マフラーが登場したのは、1971年のアメリカAMAオンタリオでのレース。当時のバイク用マフラーは1気筒につき1本出[…]
旧車や絶版車のメンテナンスに最適。使い勝手の良い水性&中性タイプ 塗装やメッキで表面処理を行っても、進行していく金属のサビ。旧車や絶版車ユーザーにとって、サビは常に悩みのタネだ。 サビの上から直接ペイ[…]
110ccベースの4kW制限モデル=新基準原付か 2025年11月の新排出ガス規制導入によって現行モデルの継続生産が困難になり、新たに110~125ccのモデルをベースとした車両に4kW(5.4ps)[…]
最新の投稿記事(全体)
Honda & MAAN Motocicli Audaci presentano il “SuperCub 125X” 生産モデルから大幅に逸脱しない設計……だけど雰囲気は一変! 日本でも好評[…]
2023年モデルで復活した「トランザルプ」の名跡 ホンダは欧州で「XL750トランザルプ」の2025年モデルを発表。アフリカツインにインスパイアされたという2眼LEDヘッドライトを採用し、バイオエンジ[…]
カブとは違うのだよスーパーカブとはっ! みなさんご存知のとおり、スーパーカブは2014年に立体商標として登録されている。この立体商標とは、いわば“形の特許”であり、立体商標として代表的なのは「コカ・コ[…]
品質がよければ年式は関係ナシ!! レッドバロンで取り扱う中古車のじつに90%以上が『5つ星品質』の条件をクリアしている。それを証明するべく、メディア向けに5つ星品質中古車の試乗会が行われた。 『レッド[…]
いい加減さがいい塩梅!? ダートで遊べるPG‐1 「個人車両なので頼むから無理はしてくれるな…」という編集担当の目を盗んでダートセクションにPG -1を連れ込んでみたら、これが何だか楽しくて仕方ない([…]
- 1
- 2