2015年にカワサキレーシングチーム(KRT)に参加して以来、6年連続でスーパーバイク世界選手権のチャンピオンを獲得し続けているジョナサン・レイ選手が、地元の北アイルランドで基本トレーニングとバイクテストの両方に、一発目のの試験で合格した。
●情報提供:カワサキUK
34歳ジョナサン・レイ選手、バイクの運転免許を取得す
カワサキZ650のメーター前方に大きく掲げられた、赤い文字で「L」が入った標識プレート。これが示すのは、イギリスなどの免許取得時に必要になるラーナー(Learner)ライセンス段階にあることで、日本でいう公道で練習可能な「仮免許」のようなもの。国によって異なるが、申請するだけで送付されたり、取得のために筆記試験が必要(オーストラリア等)だったりする。
ラーナーライセンスが発行されたら、標識を車両の前後に取り付けて一定の練習をするか、ライディングスクールで講習を受けることで、本試験が受けられる状態になる。
いずれにしても驚きなのは、バイクの運転免許を持っていなくても世界最速のライダーになることはできる……ということだろう(笑)。ジョナサン・レイ選手にとってバイクの免許取得は長年の望みだったが、レースで忙しかったためになかなか叶わなかった。それが、今回のパンデミックによるロックダウンで、イギリスの試験を受けるための勉強の時間ができたのだという。
レイ選手は最初にセオリーテスト(筆記試験)を受け、それからバイクにまたがって公道を走る講習を受けることになった。
YOUTUBEチャンネルでレイ選手自身は「信じられないかもしれないが、公道でモーターバイクを走らせることは非常に難しいと感じた。なぜならレースを走っているときには認識する必要のない他の交通、クルマや歩行者に注意を向けなければならないからだ。そういえばクルマの運転免許を取得した際にも大変だったことを思い出したよ」と語っている。
カワサキから送られてきたレーシングスーツやウインターテストバージョンのヘルメットなどのフル装備を前に「ちょっとナーバスになっている」と、やや弱気な様子を魅せるレイ選手。これだけでも貴重な映像と言えるのかもしれない。なにしろ2015年からスーパーバイク世界選手権においてカワサキNinja ZX-10R/RRを駆り、6年連続の世界チャンピオンになっている絶対王者なのである。
そしてレッスンに臨むレイ選手。レーシングスーツの上に蛍光イエローのビブスを着込み、カワサキZ650でインストラクターに見守られながら公道を走り出す。歴戦の教官、スティーブン・ミル氏も絶対王者へのレッスンとあってやや高揚した感じが隠せない。
ドローンという凝った手法で撮影されるのは、普通のスラロームや8の字走行。当たり前だが、フラつくような様子は全くと言っていいほどない。そして直線やカーブの走行、回避、制動などが続けられる。教官の前でウイリーしても叱られないのは絶対王者の圧なのか、現地では“そういうもの”なのか……。
そんな具合に、“バイクレースの世界チャンピオンが公道でライディングを学ぶ”という時間は過ぎていったのであった。そして安全確認の復唱する姿と試験への自信が語られ、1本目の動画が終了する。
2本目の動画は、新たに2ピースのレザースーツを来たレイ選手の「合格したぜ! 小さなミスも大きなミスもなかったぞ」というドアップ映像で幕を開ける。CBT(compulsory basic training)と呼ばれる試験はスラロームや8の字、急制動、カタツムリの速度で走る低速走行などが実施され、基本的なスキルがテストされたようだ。
そして再びスティーブン・ミル氏が同行して公道テストが行われ(テスト風景は撮影不可)、合格が告げられる。絶対王者ですら「新しいスキルを学んだ」という公道テスト。我々のような一般ライダーであれば、なおさら安全には気を配らなければならないというメッセージも込められている。
最後には「(「ピーーー)を注文したぞ!」と語って終了。レイ選手は何らかの公道用バイクを入手するようだが、車名は伏せられている。次の動画では新たな愛車が明かされるか……?!
余談ではあるが、現在日本のMFJ競技ライセンスを取得するには、競技によって原付以上の運転免許を取得または講習会を受講といった条件があるものの、必ずしもその排気量のバイクに乗れる運転免許が必須というわけではない。
〈動画1〉バイクの乗り方を学んでいるぜ!
〈動画2〉試験をパスしたぞ!
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