![[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088_02.jpg?v=1677326280)
“4ストロークこそ上級”。そんな時代にRZが待ったをかけた。軽量な車体にピーキーな2ストロークユニットを抱き、大排気量車を追い回す快感。’80年代はレーサーレプリカ熱が沸騰した時代だ。本記事では、市販レーサーTZ250の公道仕様ともいうべき存在であり、RZの後継として登場したTZR250を紹介する。※本記事はヤングマシン特別号 青春単車大図鑑からの転載です。
●文:ヤングマシン編集部
さらに円熟する2スト〈ヤマハ TZR250〉
スズキのガンマ/ホンダのNSと、高性能レプリカが矢継ぎ早に出揃い、大ヒットを記録していた。この潮流をみたヤマハはRZ250Rにカウルを装着して対抗するも、鉄フレームに前後18インチという装備はもはや古めかしく、人気、実力とも水を開けられていた。
’85年11月、ついにヤマハは起死回生のTZR250を世に送り出す。市販レーサー直系の水冷並列2気筒は、吸入方式をピストンリードからYZR500と同じクランクケースリードに変更。ボア×ストロークも54×54mmから56.4×50mmに改めた。
フレームは、ステアリングヘッドとスイングアームピボットを直線的に結んだアルミ製デルタボックスで、形状はレーサーTZと全く同一。乾燥重量はわずか126kgに過ぎず、前後17インチの車体もコンパクトだった。外観上では、TZと瓜二つのフルカウルと赤ホイールも大きなアピールポイントとなった。
発売後、TZRは一大センセーションを巻き起こす。市販車で参加できる改造範囲の狭いSPレースでも戦闘力は高く、瞬く間にTZRが席巻。その一方で初心者や女性にも人気があった。
理由は扱いやすさにある。エンジン特性はシャープに力強く吹け上がりつつパワーバンドも広い。倒し込みは軽快で、自在にラインが描ける。この頃から確立してきた「ハンドリングのヤマハ」のイメージを初代TZRが決定づけた。
かつて2ストはピーキーで扱いにくい特性だったが、TZRで転換期を迎え、新しい時代へ進んだと言えるだろう。
【’85 YAMAHA TZR250】■水冷2スト並列2気筒 ケースリードバルブ 249cc 45ps/9500rpm 3.5kg-m/9000rpm ■126kg ■タイヤサイズF=100/80-17 R=120/80-17 ●価格:54万9000円 ※写真は’87年マールボロカラー(2AW)
’83年に引退したケニー・ロバーツに代わり、ヤマハのエースとして君臨したのがエディ・ローソン。精密な走りから”ステディ・エディ”の異名を取り、YZR500で’84/’86/’88シーズンの年間タイトルに輝いた。TZRはヤマハ+ローソン人気絶頂の中発売されたのである。
ライバルより一段と太く、高い操縦安定性をもたらすアルミ製デルタボックス。RZ以上のハイパワーを受け止めるため、シャーシの完成度も高めてある。YZRと同径のφ320mmローターの大きさも衝撃だった。
【’87 YAMAHA TZR250】こちらはC・サロンのYZRレプリカで、ゴロワーズの青が洒落ている。
ヤマハ TZR250Rの系譜
’85~’88 ヤマハ TZR250:ハンドリングはシリーズベストか
【’85 YAMAHA TZR250】初期型1KTはタコが白文字盤。フロントはシングルディスクとなる。’88でメッキシリンダーやラジアルタイヤを採用し2XTにマイチェン。今なお初期型のハンドリングがベストとする声も少なくない。
’89~’90 ヤマハ TZR250:失敗に終わった後方排気
【’89 YAMAHA TZR250】フルチェンジで2代目の3MAに。レーサーと同様の革新的な後方排気を採用したが、2ストらしいピーキーな特性に変化。フレームもより剛性を増したものの、車重が増加し、ユーザーを絞り込む結果に。
’91~’99 ヤマハ TZR250R:並列からV型へ
【’89 YAMAHA TZR250】’91の3代目3XVでV型2気筒や倒立フォークを獲得。車名はTZR250Rに。以降も熟成を重ね、’93で40ps化。’95で排気デバイスなどを強化した最終型SPRに進化し、’99年頃まで販売された。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事([連載]青春名車オールスターズ)
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
ヤマハXJ400:45馬力を快適サスペンションが支える カワサキのFXで火ぶたが切られた400cc4気筒ウォーズに、2番目に参入したのはヤマハだった。FXに遅れること約1年、1980年6月に発売された[…]
ヤマハFZR400:極太アルミフレームがレーサーの趣 ライバルがアルミフレームで先鋭化する中、ついにヤマハもFZの発展進化形をリリースする。 1986年5月に発売されたFZRは、前年に発売されたFZ7[…]
スズキ バンディット400:GSX-Rのエンジン流用ネイキッド 59psというクラス最強のパワーを持ち、1984年に華々しく登場したGSX-R。 レーシーに設定されたこのマシンの心臓部の実用域を強化し[…]
ヤマハFZ400R:ワークスマシンと同時開発 市販レーサーと同時開発したNS250Rがリリースされた1984年5月。 400クラスにも同様の手法で開発されたマシンが、ヤマハから世に放たれた。 FZ40[…]
最新の関連記事(名車/旧車/絶版車)
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
輝かしい歴史を持つXT500は、なんと2002年まで生産 そもそもXT500は、1976年にヤマハが初めて作った4ストロークのビッグシングル搭載のトレールバイク。2スト全盛ともいえる時期に、空冷4サイ[…]
フルレプリカのフォルムが遂にリッタークラスへ及びヤマハもラインナップ! 1980年代後半になると、スポーツバイクがレプリカとカテゴリーで区別されるほど、レーシングマシン直系にまでエスカレートしてきた中[…]
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
人気記事ランキング(全体)
超高回転型4ストローク・マルチのパイオニアはケニー・ロバーツもお気に入り 今回ご紹介するバイクは1985年春に登場した超高回転型エンジンを持つヤマハFZ250 PHAZER(フェーザー)です。 フェー[…]
KTMの進化ポイントを推測する 第17戦日本GPでマルク・マルケスがチャンピオンを獲得した。ウイニングランとセレブレーションは感動的で、場内放送で解説をしていたワタシも言葉が出なかった。何度もタイトル[…]
フルレプリカのフォルムが遂にリッタークラスへ及びヤマハもラインナップ! 1980年代後半になると、スポーツバイクがレプリカとカテゴリーで区別されるほど、レーシングマシン直系にまでエスカレートしてきた中[…]
フレディ・スペンサーが絶賛! 軽さと「フォーギビング」な安定性を評価 伝説のライダー、フレディ・スペンサーがHSR九州でCB1000Fをガチ走行し、そのインプレッションを語っている。スペンサーは、CB[…]
輝かしい歴史を持つXT500は、なんと2002年まで生産 そもそもXT500は、1976年にヤマハが初めて作った4ストロークのビッグシングル搭載のトレールバイク。2スト全盛ともいえる時期に、空冷4サイ[…]
最新の投稿記事(全体)
ボルドールカラーのCB1000Fがアクティブから登場 アクティブが手掛けるCB1000Fカスタムが発表された。CB-Fといえば、純正カラーでも用意されるシルバーにブルーのグラフィックの、いわゆる“スペ[…]
“鈴菌”と呼ばれて 二輪と四輪を両方とも継続的に量産しているメーカーは、世界を見渡してもホンダ、BMW、そしてスズキの3社のみだ。1920年(大正9年)に個人経営だった織機向上が鈴木式織機株式会社へと[…]
ナナハン並みの極太リヤタイヤに見惚れた〈カワサキ GPZ400R〉 レーサーレプリカブーム真っ只中の1985年。技術の進化に伴い、各社はレースで培ったテクノロジーをフィードバックさせたモデルを多く打ち[…]
オフロードでASAはプラスに感じられる場面が多い! 驚いたのは写真の緑の機体・オートマチックのASAを積んだR1300GS ツーリングASAのオフロード性能。微妙なクラッチ操作を多用するオフロードでA[…]
前バンクはクランクリードバルブ、後バンクにピストンリードバルブの異なるエンジンを連結! ヤマハは1984年、2ストロークのレプリカの頂点、RZシリーズのフラッグシップとしてRZV500Rをリリースした[…]
- 1
- 2

![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088-01-768x512.jpg?v=1677328348)
![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088_03-768x512.jpg?v=1677327144)

![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088_06-768x512.jpg?v=1677327084)
![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088-05-768x512.jpg?v=1677327628)
![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088_07-768x512.jpg?v=1677326901)
![ヤマハ TZR250|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088_08-768x512.jpg?v=1677327651)
![ヤマハ TZR250R|[’85-]ヤマハ TZR250/R:“ハンドリングのヤマハ”の誕生【青春名車オールスターズ】](https://young-machine.com/main/wp-content/uploads/2023/02/088-09-768x512.jpg?v=1677327659)































