今も絶大な人気を誇る’80年代の名車たち。個性の塊であるその走りを末長く楽しむには、何に注意しどんな整備を行えばよいのだろうか? その1台を知り尽くす専門家から奥義を授かる本連載、今回は「ヤマハ TZR250(3MA)」について、メンテナンス上のポイントを明らかにする。
●文:ヤングマシン編集部(中村友彦) ●写真:富樫秀明 ●取材協力:モトプラン
- 1 調子を崩す原因はメンテナンス性の悪さ?【ヤマハ TZR250(3MA)】
- 2 ヤマハ TZR250(3MA):メンテナンスポイント
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調子を崩す原因はメンテナンス性の悪さ?【ヤマハ TZR250(3MA)】
オーナーが読んでいたら気を悪くするかもしれないが、3MAは調子を崩しやすいバイク…と、世間の一部では言われている。この微妙な説を、川原さんはどう考えているのだろうか。
「確かに、そういうところはあるかもしれません(笑)。他のTZRやRZなどと比較すると、3MAは始動がちょっとシビアで、プラグがカブリやすい傾向ですし、プラグ交換やキャブレターの脱着には相当な手間がかかるので、調子が悪い状態で乗られているケースが少なくないですから。まあでも、きちんとレストアして本来の調子を取り戻した個体で、オーナーが2ストの特性を理解していれば、そんなに簡単に調子が崩れるバイクではないですよ」
現役時代ではなく、近年になって同店に修理で入庫して来る3MAは、どんな問題を抱えているのだろうか。
「一番多いのはキャブレターの作動不良です。腐ったガソリンの沈殿やジェットの詰まりは、旧車ではよくある話ですが、3MAの場合は長期放置すると、アイシング防止用のクーラントの通路が確実に詰まります。それ以外だと、ガソリンタンク内の錆び、ホースやシールといったゴム類の劣化、充電不良などが、定番トラブルでしょう」
なお1KT/2XTのクランクセンターシールが、ラビリンス構造の金属製だったのとは異なり、3MAはゴム製を採用。ただし、各気筒用のシールが独立しているため、3XVやNSRでよく話題になる“抜け”は、このモデルではほとんど発生しないようだ。
ヤマハ TZR250(3MA):メンテナンスポイント
キャブレター:シリーズ初の電子制御を導入
リードバルブ:吸気系を制御する羽は8葉と6葉が存在
ガスケット:大半が入手可能
エアフィルター:エアボックスの使用はマスト?
インテークマニフォールド:トラブルを呼ぶ前期型の連結ホース
シリンダー&ピストン:焼きつきはほとんど起こらない
クランクシャフト:シリーズ唯一となるセンタープライマリー
トランスミッション:ミッションオイルの乳化に要注意
エキゾーストシステム:扱いやすさなら純正チャンバーが一番
CDIユニット:点火系の構成は年式と仕様で異なる
レギュレーター/レクチファイア:充電不良の主な原因は制圧/整流器のパンク
フロントフォーク:正立式も倒立式も補修部品の心配はナシ
フロントブレーキ:ディスクの代替品はサンスターが定番
タイヤ:ダンロップα-14なら17/18インチに適合
オイル/ラジエーターリザーバータンク:紫外線で劣化が進む2つの樹脂製タンク
フューエルコック:オンオフ式と負圧式の2系統
ナックルガード:耐久性を高めたオリジナルを準備
インテークダクト:破損が多いエアダクト
シートカバー:純正オプションの姿を再現
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