マクドナルドや郵便局などが配達に使っている3輪電動スクーターがある。aideaのAA-Cargoだ。町で見る機会が増えてきている3輪電動スクーターはどんな走りなのか?普段Youtubeやウェブ記事などで試乗インプレッションを多く担当している2輪ジャーナリストの相京雅行氏が性能を探った。
●文:ヤングマシン編集部(相京雅行) ●写真:相京雅行 ●外部リンク:aidea
デリバリーに使われる電動3輪スクーター
コロナ禍になってずいぶん経ちますが、以前に比べてデリバリー文化が広がっています。
Uber Eatsのように個人が配送を請け負うインフラも整ったように感じますが、飲食店がデリバリーをスタートするケースも増加。
我が家の子供達が大好きなマクドナルドがデリバリーをスタートしたのは2010年末頃。当時は真っ赤なジャイロキャノピーが配達してました。
徐々に配達をスタートする店舗が増えてきていますが、コロナ禍でビジネスバイクの生産も不安定に。
そんな中でマクドナルドが2020年10月に本格導入したのがaideaのAA-Cargoです。
今回はデリバリーで大活躍しているAA-Cargoの試乗機会を頂いたので、魅力を伝えたいと思います。
導入されているのはマクドナルドだけじゃない
車両をお借りするために赤坂のaideaショールームに伺いましたが、店内にはAA-Cargoをデリバリー車両として導入、もしくはテスト中メーカーのラッピング車両が展示されていました。
日本郵便やDHLなどの車両がありましたが、目を引いたのが福岡県内を中心に宅配ピザチェーンを展開するピザクックの車両です。
福岡県内で活躍するローカルヒーローが出演する「ドゲンジャーズ」のラッピングが施されていました。
AA-Cargoのバリエーション
AA-Cargoには原付一種に属するAA-Cargo α(アルファ)と原付二種に属するAA-Cargo β(ベータ)がラインナップされており、それぞれリチウムイオンバッテリーが1個搭載されたモデルと、2個搭載されたモデルが用意されています。
今回は原付二種でバッテリー1個が搭載されたAA-Cargo β4をお借りしました。
AA-Cargo β4の足つき
AA-Cargoシリーズのシート高は700mm。車両重量はリチウムイオンバッテリーが1個搭載モデルは209kg、2個搭載は241Kgです。
筆者の身長は164cm、体重62kg、試乗当日履いていたライディングブーツのソール厚は2cmでした。
短足昭和体系ということもあり、ほとんどのバイクは両足踵まで設置することがありませんが、AA-Cargoはべったり。
シートに座っても体重で沈み込むことがありませんが、足を下ろすところのフロアがカットされているため、数値以上に足つきが良い印象でした。
商業車とは思えない質感の高さ
デリバリーを想定した車両なので商業車両なわけですが、質感が高いことに驚かされました。
灯火類は全てLEDが採用されていますし、メーターはフルカラー液晶。
ミラーはシャフト部分がアルミでアルマイト処理され、ウインドウォッシャー液やワイパーのボタンには金属製が採用されています。
使い勝手もバッチリ
メーター左にはUSBポートが2連で用意され、スマートフォンなどの充電が可能となっていて、ハンドルポスト真ん中にはスマートフォンホルダーが設置できるようになっています。
デリバリーでは配達先をナビアプリなどで確認しながら走ることも想定されるのでうれしい配慮です。
加えてコンビニなどで買い物をした際に袋を掛けるスペースも用意されています。
独立したリーン、パーキングロックボタン
ハンドルの左側には車体が倒れるのを防ぐリーンロック、右側には車体が前後するのを防ぐパーキングロックが用意されています。
そのためAA-Cargoにはセンタースタンドやサイドスタンドが用意されていません。両方のロックをかければ駐車可能になります。
リーンとパーキングが独立してるため、例えばリーンロックだけかければ取り回しする際に誤って倒してしまうことがありません。
またハンドル右側には「R」のボタンが用意されており、押しながらアクセルを回せばバックする機構が採用されています。
リーンロックしながら使えば足をステップに乗せてバックすることも可能です。
走り出してしばらくは3輪の特徴になれずにアタフタ
筆者は年間で30台前後はバイクの試乗をしていますが、乗り出して30分ぐらいは3輪特徴に慣れずアタフタしました。
一般的な2輪のスクーターと比べると凹凸の影響を受けやすく、走り出しに多少ハンドルを取られやすく感じたのですが、背もたれに背中を合わせてどっかりと座っていると、バランスを崩しやすくなります。
背もたれに背中を当てつつも、多少前傾を取った方が対応しやすく、姿勢を変えてからは劇的に運転しやすくなりました。
車両重量が209kgと250㏄スクーターよりも重いですが、トルクフルで60km/hぐらいまで力強くスルスルと加速します。
幹線道路で車の流れに合わせて60km/hぐらいで巡行してみましたが、車両重量や前後13インチタイヤ、リア2輪の恩恵により安定感はクラスを超えています。
ただ大型のリアボックス付きで重心が高いこともあり、横風には弱い印象も受けました。
旋回する際には倒し込みが重く、交差点などでコンパクトに曲がる際にはしっかりと荷重をかける必要も。
ブレーキはコンビネーションブレーキが採用されており、リアタイヤ左右にはそれぞれ大径のディスクブレーキとシングルポッドキャリパーが装備されています。
巡行時フロントブレーキをかけると減速するにはちょうど良い効き具合と感じましたが、リアブレーキをかけるとコンビネーションブレーキとリアタイヤに装備された2つのブレーキキャリパーが動作するのでガッツリ効きます。
細かいスピードコントロールはフロントブレーキ、しっかり制動したい場合にはリアブレーキを使うと丁度良い感じでした。
動画でインプレッションを見たい方はこちら
補助金も使えるので個人所有もありかも
もしも東京都に住んでいる場合にはバッテリー2個仕様のAA-Cargo β8購入の際に、最大40.2万円の助成を受けることができます。
「車両を3年間保有すること」など条件はありますが、商売やデリバリーに使わなければいけないという縛りはありません。
筆者が試乗した感じだと、AA-Cargo β4は満充電で50km~60kmは走れそうな感じでした。バッテリー2個仕様のβ8なら100km以上は走れるはず。
100km走れれば週末のレジャー使用も視野に入ってくるのではないでしょうか?
※本記事は“ヤングマシン”が提供したものであり、文責は提供元に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
あなたにおすすめの関連記事
徳井さんはご存じこだわりなバイク&キャンプ好き芸人。今回は毎月恒例という某バイク誌の企画にて、試乗車を借りてツーリングキャンプの撮影へ出かけました。自身の愛車トライアンフ ボンネビルT120(関連記事[…]
「カスタムは後でも良い」開発者の拘りを感じる走り 世界的に人気の電動ファットバイクだが、そのほとんどは日本人にはシートが高すぎる。そこで有志のエンジニア達が設計開発を行い商品化したのが、ペダルが付いた[…]
鈴鹿8耐の前夜祭でデモラン カワサキの電動&HEVが走ったのは、決勝を翌日に控えた8/6の鈴鹿8耐前夜祭。ファン向けにカワサキレーシングチームのJ.レイらがトークショーを行った直後、2台のプロトタイプ[…]
ヤマハ E01 概要 静粛かつ無振動で疲れない。これぞ通勤バイクの理想形 EV市場本格化に向け、ヤマハが実証実験用に開発したのがE01だ。残念ながら商品としての市場投入予定はなく、またこの号の発売日に[…]
ビー・エム・ダブリューがBMW Motorrad(BMWの二輪車部門)初の電動スクーター「BMW C evolution(シー・エボリューション)」を警視庁に納入したと発表した。 普通自動二輪車の免許[…]
最新の記事
- 【2024年11月版】150~250cc軽二輪スクーター 国内メーカーおすすめ7選! 125ccの双子モデルからフルサイズまで
- SHOEIがシステムヘルメットのド定番モデル「ネオテック3」に新グラフィック「ANTHEM」を発表!
- SHOEIが「Z-8 YAGYO」を発表! 百鬼夜行をイメージしたバイクパーツ妖怪が目印だ!!
- 【SCOOP!】ついに「GB500」登場へ?! ホンダが海外で商標を出願!
- 【動画】白バイ直伝! 究極の安全ライテク[令和ver.] #8:8の字走行を極めよう!
- 1
- 2