●文: ライドハイ編集部(根本健) ●写真: 柴田直行
ほとんど知られていない縦置きエンジンの魅惑的な乗り味、逞しさを増した空冷850Vツインが誘うグッツィだけの心地よさ
100周年を迎えたモトグッツィは、先のミラノショーでまったく新しいV100 マンデッロを発表するなど、伝統の重みに最新テクノロジーでも勢いをみせる、イタリアの個性派メーカーだ。
この縦置きVツイン、100周年のすでに半分以上を遡る1965年のイタリア官公庁向け警護用704cc大型オートバイに端を発したエンジンで、元を辿るとなんと軍用三輪車のエンジン開発から発展するという、そもそも風変わりな運命の持ち主でもある。
当時はハーレー以外に威風堂々とした超大型オートバイが少なかった時代で、その大きさからアメリカで白バイに採用され、それがアメリカでのモトグッツィファンを根づかせるきっかけとなり、現在まで続くメーカーとしての礎を築くことになったのだ。
その巨大なV7はさらに750ccへと拡大する一方で、大柄なアメリカンスポーツとは対極のスリムなヨーロピアンスポーツも派生し、これがルマン850などヨーロッパのみならず日本でも伊達好みな大人のライダーの目にとまり、エンスージアスト向けバイクの象徴となっていった。
この今に伝わる粋なバイク、いうまもなくどこでも目につくほど多くはない。なぜマイノリティなのかという理由のひとつに、縦置きVツインの特殊なエンジン型式があるのは間違いない。
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