昨今のアドベンチャーバイクには電子制御デバイスが奢られ、車体は大型化傾向があるがロイヤルエンフィールドの「ヒマラヤ」は、411cc空冷単気筒エンジンを搭載し、過剰な装備を省いた軽量かつシンプルなつくりが魅力。気軽に走り出すことができるヒマラヤでの冒険ライディングは、いつだってライダーが主役だ。
●文:ライドハイ(宮城光) ●写真:真弓悟史
乗り手の五感を研ぎ澄ますシンプルな冒険バイク
便利な時代だ。何をするにも、リアルでなくバーチャルで済ませる。そんな時間の使い方や、生き方も現代だからこそだ。
子供の頃、冒険に憧れた。今回走らせたヒマラヤのエンジン鼓動を感じた時、ふと幼い頃に見た映画を思い出した。小さな子供と愛犬、パイロットが乗り込んだ小型飛行機が広大なカラハリ砂漠に不時着し、生き残った主人公の少年と愛犬がブッシュマン原住民に助けられるまでの出来事を描いた作品だ。
けっして冒険ではなく、命からがら過ごす瞬間が、当時主人公と同じ年齢だった僕には衝撃的な映画として心の何処かに残っていた。究極の場で生きのびるために与えられている五感、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に加えて経験値からくる研ぎすまされた第六感が必要だ。つまり、全神経を集中し、ことに対応しなければならない。
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