
モトクロスコースで見かける、コブが連続したセクション=フープス(ウォッシュボード)。サンデーレースやイベントで使われる身近なコースでも珍しくないので、その走行スキルを身につけておきたい。世界的ライダー・渡辺学選手によるオフロードライディング指南企画『渡辺学のスキルアップラボ』から、本記事ではフープス初心者向けの基礎を伝授するゾ!!
●まとめ:山田晃生 ●写真:長谷川徹 ●外部リンク:ウエストポイント(モトクロスヴィレッジ)
【ツイスターレーシング 渡辺学】’20年のJNCCシリーズでは、2位に43ポイントの大差をつけ、3年連続でチャンピオン獲得(チャンピオン獲得は通算5度目)。今シーズンはツイスターレーシング所属にIBライダーが4名在籍することから、全日本モトクロス選手権の監督業がメインの「スキルアップラボ」院長。JNCCシリーズはスケジュールが重ならないラウンドのみ参戦予定。また、サンデーライダーのお楽しみレース「ヒーローズえんでゅーろ」は全戦参加予定。さらに本業であるマナブギョーザも随時承り中! 一度食べたらクセになる味なのだ。マナブ先生は今日もオフロードを走り、ギョーザを焼く。
フープスはコース場やレイアウトによって種類はさまざま
スーパークロスや全日本モトクロスはもちろん、我々が走るサンデーレースでも、コブの大小の違いこそあれ、比較的ポピュラーなセクションがフープス(ウォッシュボード)だ。各コースによってもキャラクターは異なり、全日本選手権でも使用されるオフロードヴィレッジではコブの間隔が広めで谷間も深く、連続ジャンプのような印象。今回使用したモトクロスヴィレッジのフープスは、まさにフープスらしく、取材時のレイアウトではコブは12個。ラインによって谷間の深さやコブの高さ/角度が若干異なっているが、ビギナーにもチャレンジしやすい設定だ。
難易度が高いイメージのフープスだが、無理せず段階的に練習するのが大事。ビギナー向けのステップアップ練習法をマナブ先生の解説を交えて説明していこう。
フープスには直角に進入すること
モトクロスヴィレッジのレイアウトでは、フープス直前は左コーナーになっており、イン側を走ると曲がりながらフープスに斜めに進入するラインになってしまう。その時にアクセルを開けてしまうとバランスが崩れやすく、転倒のリスクが高い。
マナブ先生「安全にフープスを走るには、手前のコーナーからフープスに真っすぐ進入できるラインを組み立てること。フープス走行中はライン変更をせず、真っすぐ通過することがポイントです。最初のうちは高さが低く、角度が緩やかなコブをつなぐラインを組み立てましょう。」
フープス直前のコーナーでは、アウト側のバンクを使って向きを変え、フープスに真っすぐに進入できるラインを組み立てる。
スタンディングでフープスに真っ直ぐに進入する。
フープスは進入から脱出までスタンディングフォームをとる。
最初のトライでは飛ばずにナメる
ビギナーが初めてのフープスをいきなり飛ぼうとするのはかなり危険。まずはどのラインでもよいので、全部のコブを飛ばずに通過すること(ベタナメ)から始めてみよう。
マナブ先生「まだ始めたばかりのビギナーであれば、飛ぶことを意識せず、前後輪をずっと接地させて通過するのがいいと思います。走行前に下見をし、なるべくコブが低く、コブの角度が緩やかなところを狙って走るようにしてください。谷間が深いところや急角度なコブはジャンプのように高く浮き上がってしまうので、避けたほうが無難です。走り方は、コブの下りでアクセルオン、上りではアクセルオフで、リズミカルな操作も心がけてください。意外に思うでしょうけど、これだけでもけっこう速く走れます」
ベタナメで通過する場合は、コブの下り側でアクセルをちょっと開け、上り側ではアクセルを閉じる。初めての人は、まずこの連続操作で通過してみよう。逆に上りきるまでアクセルを開け続けるとジャンプできる。
フープスには真っすぐのラインで、フォームはスタンディングで進入する。
コブの下り斜面でアクセルオン。
上り部分ではアクセルを閉じる。
ふたたび下り部分でアクセルを開ける。
上りでアクセルを閉じる。コブの高さや角度に合わせ、アクセルをリズミカルにオンオフしよう。
ヒザはショックを吸収できるように軽く曲げておこう。
前輪をコブの向こう側に落とす練習
ベタナメをリズミカルに走れるようになったら、浮かせる練習にチャレンジ!! ただし、いきなりコブの1個目から飛んでしまうと、途中でバランスを崩した時にリカバリーが難しいので最後の2個から始めてみよう。
マナブ先生「ある程度慣れてきたら、飛びたくなるかと思います。その場合、最後の2個のコブを飛ぶ練習からはじめてみてください。この方法ならば失敗のリスクが少ないからです。1個目からチャンレジしてしまうと、ミスってマシンがハジかれた時に3~4個目でアタフタしてしまい、身体を投げ出されて全身打撲…、なんてコトもありますからね。」
いきなり飛んで通過する練習はリスクが高いので、最後の2個までは飛ばずにベタナメで走行し、最後の2個のみを飛ぶ練習から始めてみよう。
最後のコブ直前までベタナメで通過する。
コブの下りから上りまでアクセルを開け、フロントを浮かせる。
コブの下りから上りまでアクセルを開け、フロントを浮かせる。
コブの下りから上りまでアクセルを開け、フロントを浮かせる。
飛ぶのではなく、コブの向こう側に前輪を落とすようなイメージだ。最後の2個ができるようになったら、最後から4個。さらに6個と、徐々に飛ぶコブの数を増やしていこう。
自信がついてきたら2個ずつ処理してみる
フープスによってクリア方法はさまざまだが、ここではコブを2個ずつ飛ぶ方法で通過してみよう。
マナブ先生「最後の2個をクリアできたら、4個、さらに6個という具合に逆算するように増やしていけば、少ないリスクで最終的にフープスを2個ずつ飛ぶことができるようになります。」
コブに対して真っすぐのラインで、スタンディングフォームで進入する。1個目のコブをジャンプで通過する。
コブの谷間ではサスペンションを縮める。
上りきるまでアクセルを開け、サスの反発も利用して次のコブを飛ぶ。前号のジャンプと似た要領だ。
飛びすぎず、次のコブの先に前輪を落とすイメージ。
谷間に着地させる。
再びジャンプの要領で荷重といった具合に繰り返す。
勢いというよりはリズムを重視しよう。
コブのまとめかたは臨機応変に!!
フープスを飛んでクリアする方法は、必ずしも2個ずつがベストというわけではなく、1個~2個~1個でも、3個~2個~2個でも、そのフープスの角度やコブの間隔/土質/マシンの種類/ライダーのスキルなどでも変わってくる。初めて走るフープスであれば、ベタナメ→最後の数個を飛ぶ、で感覚を掴み、自分にとってのベストなクリア方法を探してみてほしい。
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