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コロナ禍が影響して新車の入荷数が増えない一方で、密を避けられる遊びとしてバイクの人気がちょい復活。結果、大量のバックオーダーを抱えている車種も多い。では、注文が殺到する車種はどこに魅力があるのか? ヤングマシンテスターとしておなじみの丸山浩氏があらためて試乗して、売れてる理由を再検証! 本記事では、既存ファンから新規ユーザーまで巻き込んで、バカ売れしている原付二種のハンターカブがターゲットだ。
●まとめ:田宮徹 ●写真:真弓悟史 ●外部リンク:ホンダ
カブという信頼性も旅の相棒にしたくなる要素
’20年6月の発売時に、事前予約だけでメーカーが年間販売計画に掲げた8000台を超える爆発的ヒットを生んだのがCT125ハンターカブ。もちろん、そのファッション性に惚れたユーザーもたくさんいるが、アドベンチャーモデルとしての高いポテンシャルに注目してハンターカブを選んだライダーも少なくないはずだ。
【’21 HONDA CT125 HUNTER CUB】主要諸元 ■全長1960 全幅805 全高1085 軸距1255 シート高800(各mm) 車重120kg(装備) ■空冷4スト単気筒OHC4バルブ124cc 8.8ps/7000rpm 1.1kg-m/4500rpm 変速機4段リターン(停車時のみロータリー式) 燃料タンク容量5.3L ■タイヤサイズF=80/90-17 R=80/90-17 ●価格:44万円
【ライディングポジション】意外と足着き性は良くないのだが、これは着座時の快適性を求めた結果。これでも許されちゃうのは、このデザインと軽さがあるから。それに、じつは一番前側に座ればちゃんと両足の裏が着くのだ。[身長168cm/体重61kg]
実際、またがった瞬間からアドベンチャーバイクに通じる雰囲気がある。まずこれをもたらす要因は、ワイドなハンドル。ビッグバイクと比べたらそれほど幅広いわけではないけれど、この車体にこの設定のハンドルが組み合わさると、「なんかアクションしてやるぞ…」とばかりに気分が盛り上がる。試乗しなくても、ディーラー展示車にまたがるだけで”雰囲気”が伝わってくるライディングポジションだ。
エンジンは、長く乗っていても飽きないフィーリング。というより、ライダーをジャマしない。だから、延々と走っていても疲れない。でもそれ以上に着目したいのは”心強さ”だ。カブというブランドに由来する、「コイツなら壊れない/走破できる/低燃費だからガソリンも問題ない」という信頼性は、ど田舎で脇道に入って、あるいは林道を突き進んで、道が狭く細く民家も何もなくなってきたようなときに真価を発揮する。荒れた道をゆっくり進むようなときも、カブ系エンジンなら「絶対にエンストしない」という頼もしさがある。
車体は軽くて、ぬかるんだ道や苔むした小川沿いなどを走ってみたが、コイツならなんとかなる。コンパクトボディだから、もしもそれ以上進めなくなったらUターンすればいいだけのこと。でもこれがビッグアドベンチャーだったとしたら…。なんて考えると、これこそが真のアドベンチャーできるバイク。’60年代ハンターカブからの歴史を無視すれば、コイツはビッグアドベンチャーの”レプリカ”と言うこともできると思うが、レプリカでありながらどこか”本物”の要素、真の実力が備わっている。そして、だからこそ売れるのだ。
原付二種で44万円という価格設定はかなり高めだが、それでもこれだけの数が出るということは、本物の実力が備わっていて、それが自分の価値観に見合うなら、多少高くてもユーザーは選ぶということの証明でもある。そして付け加えるなら、「ひとりでゆっくり、自分のペースで…」というように、旅の景色を思い浮かべやすいのも選ばれる理由ではないだろうか。
売れてる理由その1:スポークホイール&リヤABSレス!
オフロード走行に対応する前後スポークホイールと、最初から省かれている後輪のアンチロックブレーキ機構。林道に分け入って遊べそうな雰囲気が、こういった部分でも高められているのだ。
売れてる理由その2:雰囲気と機能両立の本格装備
エアクリーナーの吸気口は、リヤキャリヤ裏側に配置。キャリヤはデカくて荷掛けフックもあり、タフに使える。アップマフラーやラバーが取り外せるステップも、アドベンチャーバイクとしての雰囲気を高める。
分析結果:ホンダCT125ハンターカブが売れているのは「現実的に操れるアドベンチャー」だから!
近年のアドベンチャー流行りで、その方向に進むライダーも多いけど、林道を走ったり山を登ったりタフな長旅をするなど、本当にアドベンチャーができるのはじつはコイツなんじゃないか…と乗ってみてあらためて思えた。そして、そういう遊びが”誰にでもできそう”なところも大きな売れている理由だ!
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