カワサキ ニンジャZX-10Rディテール写真解説【勝てるバイクだから公道も乗りやすい】

カワサキ ニンジャZX-10R KRTエディション

スーパーバイク世界選手権の絶対王者・ジョナサン・レイが駆るカワサキ ニンジャZX-10RR。そのベース&ホモロゲーションマシンの最新バージョンが発進! 異形にして熟成された、勝つべくして生まれたマシンを徹底検証。サーキット試乗インプレッションの前に、まずはマシンディテールを写真解説する。


●文:伊藤康司 ●写真:山下博央/山内潤也

スタイリング&ライディングポジション

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-10R/KRT EDITION】●色:黒 緑(KRTエディション) ●価格:229万9000円 ※写真はSTD

【鋭さを増した戦闘的なフォルム】サイドビューこそ従前モデルを踏襲するが、ニンジャH2にも通じるフロントマスクは激変。ラムエアインテークは小型化されたがカウル全体で導風効率を維持する。ミラーは簡単に取り外せサーキット走行時に便利。新型テールカウルにも導風スロットが設けられる。

【カラーバリエーション】左からライムグリーン/エボニー[KRT] フラットエボニー[STD] ライムグリーン[RR]

【ライディングポジション】シートとほぼ同じ高さにハンドルがあり、前傾はきついが、ライダーとの距離が近いので昨今のスーパースポーツとしては乗りやすい部類。足着きも両足の指の腹まで着いてくれ、つま先ツンツンのライバルとは安心感が違う。[身長:168cm 体重:61kg]

シャーシ/足まわり/装備

【基本は踏襲の超熟成タイプ】シャーシやエンジンレイアウトは前モデルを踏襲。しかし、スイングアーム長やピボットの位置をミリ単位で変更。エンジンも空冷式オイルクーラーで冷却効率を高めるなど、総合的なパフォーマンスの向上を図る。ルックスこそアグレッシブだが、その内実は極めて堅実だ。

【ワークスマシン直系の足まわり】SBKレースを通じて開発したショーワφ43mmBFFにブレンボM50キャリパー&φ330mmディスクをセット。10Rは3本スポークの鋳造ホイールにBS製バトラックスRS11を履く。

【空冷式で高い冷却性能を獲得】SBKマシンからフィードバックした空冷式オイルクーラーを装備。従来の水冷式と異なり、独立したオイル流路を設けることで高効率な冷却を行い、エンジン性能の安定化を実現した。

【衝撃の“逆スラント”】ひと目で新型とわかる特徴的な逆スラント形状のLEDヘッドライトの横に、コンパクトなウイングレットを内蔵。従前モデルより空力性能を7%、そしてダウンフォースを17%向上。

LEDヘッドライトはバイクでは世界初採用となる三菱製ダイレクトプロジェクションモジュール。従来モデルのハロゲンより軽量(ユニットの重量1650g→1200g)なうえに斬新なルックスを確立した。

【操作しやすいハンドルスイッチ】電子デバイス等の設定を直感的に操作できる左ハンドルスイッチ。クルーズコントロールを新装備し、オプションでグリップヒーターも用意。

【ダークモードも選べるTFT液晶】4.3インチのカラーTFTメーターは一般走行に適した表示と、サーキット走行向けの2パターンを用意。スマートフォンとブルートゥースで接続し、各種情報を共有できる専用アプリRIDEOLOGY THE APPも使用可能だ。

腕と内腿がフィットするタンク形状と合わせ、新型はシート後部を高くすることで完全に伏せた状態から腰を浮かせられ、ストレート走行時の空気抵抗を最小限に抑える。

ニンジャZX-10RR:ジョナサン・レイのための500台

カワサキ&ジョナサン・レイ選手がSBK7連覇を達成するために投入するホモロゲーションマシン「ニンジャZX-10RR」。エンジンは高回転対応の専用カムシャフトや、パンケル社のピストン(1個当たり20g軽量で、全高を押さえる1本リング)&チタンコンロッド(1本当たり102g軽量)を採用し、マルケジーニ製ホイールも装備する、ファン待望の究極スーパースポーツだ。

【KAWASAKI Ninja ZX-10RR】●価格:328万9000円

【サーキット性能をひたすら向上】SBKのレギュレーションに有効に対応するため、レブリミットを14300rpmから14700rpmに引き上げ、パワーバンドも500rpm分高回転側に移行。そのために上記の専用カムシャフトや軽量ピストン&コンロッド等を採用し、レスポンスも向上。慣性モーメントの低減により、ハンドリング向上や前輪荷重のかけやすさにも貢献。

【専用マルケジーニを投入】ニンジャZX-10RRのホイールは7本スポークのマルケジーニ製アルミ鍛造が奢られ、タイヤもピレリ社のディアブロスーパーコルサSPを履く。フロントブレーキホースはステンレスメッシュだ。

【ひとり乗りに特化】シングルシートカバーを標準装備し、ひとり乗り仕様のためタンデムステップは非装備でサイレンサーのステーも専用品。前後サスも専用セッティングが施される。

キーは盗難抑止効果の高いインターナルカット。上が10R用で下が10RR専用と、デザインが異なるところもプレミアム。

【SBK無双のさらなる盤石化】スーパーバイク世界選手権(SBK)において、ʻ15年からライダー&マニファクチャラーズタイトルで前人未到の6連覇を達成したカワサキNinjaZX-10R。ʻ21シーズンはウインターテスト前に、新型ZX-10RRの“先出し“でも話題を集めた。ジョナサン・レイ選手の勢い、もはや誰にも止められない!?

ニンジャZX-10R/RR主要諸元

出力やトルクの変化は少ないが、サーキット走行に適したギヤレシオで加速性能を向上させたり、ライディングモードの進化/熟成や、ストリートでも便利なデバイス装備を充実する。


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