STD国内発売は5/28

カワサキ新型ニンジャZX-10R/RR詳解【史上最強イカツイ系テンアール、すべては勝つために】

デザインを大胆変更。電子制御なども進化

正式発表時、そのあまりに大胆な顔立ちにバイク界がザワついた新型「ニンジャZX-10R/RR」は、スーパーバイク世界選手権で6連覇の金字塔を打ち立てたジョナサン・レイ選手がV7を狙うためのニューウェポンだ。

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-10R/KRT EDITION】■主要諸元:記事末に記載 ●色:緑×黒 黒 ●価格:229万9000円 ●発売日:’21年5月28日 ※写真はKRT

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-10RR】■主要諸元:記事末に記載 ●色:緑 ●価格:328万9000円 ●発売日:’21年6月25日

エンジンはユーロ5に適合させるとともにパワー特性を向上し、さらに冷却系なども含めてトータルで性能を追求。車体はスイングアームピボット位置を変更したほか、ホイールベースを10mm延長して、さらに軽快かつ”勝負できる”ハンドリングを実現した。

電子制御関連ではプリセット×3、マニュアル×4のライディングモードを新設し、さらにクルーズコントロールまでも装備。さらに、ブルートゥースによるスマートフォン接続を可能とし、”ライディオロジーアプリ”によってGPSによる走行ログや電話通知、各種セッティングなども可能に。

レースのホモロゲーションモデルとしての役割を担うZX-10RRは、世界500台限定とされたシングルシートモデルで、専用のカムシャフトやチタンコンロッドの採用により高回転のレブリミットを1万4300rpm→1万4700rpmとし、パワーバンド自体も500rpm高められている。

逆スラント顔は空気抵抗を7%減らし、ダウンフォースを17%向上。灯火類はLED化され、軽量化も促進した。

実績のあるフレームまわりには大きく手を入れることなく、新しい空力フェイスと電制進化が’21モデルの目玉。ニンジャH2系に続くリバーマークも獲得し、さらなる高みを目指す。

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【’20 KAWASAKI Ninja ZX-10R】’04年に初代が登場。’11型でフルモデルチェンジした後、’13で電制ステアリングダンパー追加、’16で全身をリファイン。’17でRR追加、’18でSEが追加されたWSBKチャンピオンマシン。’19以降はフィンガーフォロワーを採用してエンジンのポテンシャルを高めている。デザイン傾向は’11から一貫してキープしていた。

“勝つ”ために細かく多岐にわたる変更を実施

’20→’21の変更点は、車体ジオメトリーの見直し、電子制御のアップデート、クルーズコントロールの追加、全身の空力デザイン刷新に伴いウイングレット内蔵カウルを採用、空冷式オイルクーラー採用と、細かく多岐にわたる。

スタイリング:エアロダイナミクスを徹底追求

【’21 KAWASAKI Ninja ZX-10R】

車体のスリムさなどは従来と変わらない。シート後端が延長され、ストッパー的な役割を果たすように。アッパーカウルの形状変更も、このアングルだとそれほど目立たない。マフラーは大型化している。

逆スラント顔アッパーカウルにウイングレットを内蔵し、ナックル部分の幅が増している。ウインカーは細身のLEDタイプに進化し、全灯LEDに。タイヤはBS製バトラックスRS11だ。

【大胆に逆スラント】LED化されたヘッドライトは奥に引っ込み、横にウイングを内蔵、スクリーン高も増した。大型化したが空力は向上。

中央にラムエアダクト、左右にヘッドライトの構成はニンジャH2と逆パターンだが、デザインにはそのDNAが感じられる。新型テールカウルには整流板も。リヤの保安部品は簡単に取り外せる。

【ダウンフォースを生むダクトカウル】スタイリング変更の主眼はエアロダイナミクスの追求だ。ドラッグは7%低減するとともに、ヘッドライト左右に内蔵されたウイングレットにより、ダウンフォースは約17%向上している。ウインドスクリーンも従来型より高く、ウインドプロテクションが向上した。

車体&装備:”勝てる”ゆえの小変更

【バランスが向上したフレーム】フレームは従来型ベースながらホイールベースを10mm延長。内訳はスイングアーム長+8mm、フォークオフセット+2mm。ピボット位置を1mm下げてリヤサスの作動性を向上したが、オフセットカラーにより±1mmの調整が可能だ。前後荷重バランスは0.2%フロント寄りになった。

【空冷式オイルクーラー】新たに空冷式オイルクーラーを採用し、水冷経路から独立させることで冷却性能を向上。スーパーバイクマシンからのフィードバック技術だ。

【サイレンサーが大型化】エンジン下の膨張室を縮小するとともにサイレンサー長は126mm伸ばされた。エキゾーストパイプの連結は[1-4/2-3]から[1-2/3-4]に。

【BFF/BFRは新セッティングに】フロントはバランスフリーフロントフォーク(BFF)を継続採用。クランプ幅を拡大したほか、バネレートを21.5N/mm→21N/mmに。リヤはバランスフリーリアクッション(BFRC)を継続採用。バネレートを91N/mm→95N/mmと高め、減衰力はややソフトに。

【オーリンズ電子制御ステアリングダンパーも】電子制御ステアリングダンパーを継続採用。フォークオフセットは2mm増やされ、トレールは107→105mmへと減少している。

【新型4.3インチTFTを搭載】メーターはコンパクトな4.3インチTFT。速度/回転/ギヤポジション/オド/トリップ/燃料残量計/平均速度など表示項目は多数。ラップタイムを中心としたサーキットモードもあり、それぞれダークモードにスイッチも可能。スマホ接続機能もある。

【クルーズコントロール採用!】新採用のクルーズコントロールは左手元スイッチで操作する。スロットルを前に回すかブレーキ等の操作でキャンセル。

【シート後端&ステップが5mmアップ】エルゴノミクスに優れた容量は17Lの燃料タンクは継続採用。コーナリング時に前腕を沿わせやすい形状になっている。シートは後端が5mm高められ、前傾ポジションが取りやすくなっている。ステップも5mmアップでよりアグレッシブに。

メインキーはZX‐10R/RRでそれぞれ形状が異なる。

ZX-10RR:ホモロゲーション仕様の世界限定500台

ZX-10RRはエンジンに高回転化のためのパーツを組み込み、専用ホイールなどで武装したシングルシートのレース用ホモロゲーションモデルで、世界500台限定にて生産される。パンクル社製ピストンはピストンリングをマイナス1本とし、各20g軽量だ。さらに同社製チタンコンロッド/DLCコーティングされたピストンピン/RR専用カムシャフトも採用する。ホイールはマルケジーニ製の鍛造アルミで、タイヤはディアブロスーパーコルサSPを履く。ちなみに、最高出力は10R=203ps/10RR=204psと変わりないが、ラムエア加圧時は従来比で1psアップ(213/214ps)される。

スーパーバイクマシンでも採用するパンクル社ピストンなどにより高回転パフォーマンスを向上。レブリミットは従来の1万4300rpmから1万4700rpmへと高められている。

RR専用装備としてマルケジーニ製の7本スポークアルミ鍛造ホイールを装着。慣性重量の軽減と強度のバランスに優れており、STDモデルにも装着可能だという。ブレーキパーツやサスペンションは10R/RRとも共通。

ZX-10R/RR主要諸元


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