●文:山下剛 ●写真:BMW
BMWジャパンは、空水冷水平対向2気筒エンジンを搭載するツーリングマシン「R1250RT」を追従型クルーズコントロール採用をはじめとするアップデートを施し、3月8日より予約受付を開始した。納車は3月下旬より開始される予定だ。
悪状況で輝くツアラーとしての強さに、安全性と快適性のさらなる向上
R1250RTは1978年の登場以来、BMWラインナップの中核を担ってきたロングセラーモデルで、伝統のボクサーエンジンと防風性と耐候性に優れる大型フェアリングを特徴とするツアラーだ。
このたびのアップデートではエンジンの排気量やボアストローク、最高出力と最大トルク、そしてシャシーでの変更はないが、電子制御装置のほか、フェアリングなどが大幅に進化した。
新開発のフロントフェアリングは空力性能をさらに高め、長距離かつ高速走行における快適性と運動性を向上。フェアリング上端を低く抑えることで運転時の視界を拡大すると同時に、よりダイナミックな外観を作り出した。
電子制御装置では、前車に自動追従するアクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を初採用したことが大きなトピックだ。これはレーダーセンサーにより前車との距離を計測し、走行状況に応じた適切な車間距離を保つため車両を加減速させるもので、車間距離の調整はスイッチ操作で行い、状況は常にTFTフルカラー液晶メーターに表示される。ACCは30~160km/hの範囲で作動する。また、同時搭載されるダイナミック・クルーズ・コントロール(DCC)は、単独走行時の下り坂などでもエンジンブレーキを活用し、状況に応じてブレーキが作動して速度を維持する。
レバー操作で前後ブレーキを連動させるインテグラルABSプロも進化を遂げ、ブレーキレバーだけでなくフットペダルの操作でもフロントとリアのブレーキが連動するようになった。コーナリング中のブレーキをさらに安全に使えるようになっている。
ダイナミック・トラクション・コントロール(DTC)の制御も最適化されたほか、ダイナミック・エンジンブレーキ・コントロール(MSR)も備え、シフトダウンによるリアタイヤのスリップを抑制する。
TFTフルカラー液晶メーターは横長の10.25インチサイズまで拡大され、フルHDの高解像度によって多彩な情報提供を可能とし、速度計や回転計とともにナビゲーションシステムの地図を表示することも可能だ(現段階では日本の地図には未対応)。また、コンパートメントにはワイヤレス充電システム(1A)を搭載し、スマートフォンを収納するだけで充電することができる。もちろんUSBソケットも備えており、有線での充電(2.1A)も可能。コンパートメント内の温度が35度以上になるとファンが作動するフェイルセーフ機能も備えている。同時にオーディオシステムも進化し、高出力アンプの採用によってより高音質な音楽を楽しむことができる。
従来より採用されていた電子制御サスペンションシステムは、全自動負荷補正機能を備えた「ダイナミックESAネクスト・ジェネレーション」へと進化。より快適で安定した走行を実現している。
車体のバンク角に応じて照射範囲を最適化し、夜間におけるカーブでより広範囲を照らして良好な視界を確保する、新開発の旋回機能付きヘッドライト「アダプティブ・ターニング・ライト」も採用した。
エンジン出力などを変更できるライディングモードプロには、可能な限り燃費を優先した走行をサポートする「エコ」モードが新規に追加された。これにより日本仕様では、「ロード」「ダイナミック」「レイン」「エコ」の4種類からモード選択が可能となった。
また、細かい点では新型ホーン「ダブル・トーン・ホーン」を備えるほか、ETC2.0車載器も継続して標準装備する。
日本仕様ではこれらの装備群がすべて装備されるプレミアムラインのみがラインナップされ、ベースカラーの車両価格は307万円となっている。
BMW R1250RT[2021 model]
【BMW R1250RT[2021 model]】主要諸元■全長2235 全幅990 全高1580 軸距1490 シート高805-825(各mm) 車重290kg(装備)■空水冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ 1254cc 136ps/7750rpm 14.58kg-m/6250rpm 変速機6段 燃料タンク容量 約25L■タイヤサイズF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:307万円~ ●色:白、茶、青、白銀 ●発売日:3月下旬
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